元男、女に惚れられる……なんで?   作:庭顔宅

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第一話

 目新しい制服に身を包み、美しく着飾った両親に見守られ、この花織学園の入学式は行われる。

 

 新入生代表の挨拶から始まり、学園長の挨拶で続き、終わりの挨拶で終わる。そうして、全てのプログラムが終わり、クラスでの生活が始まった。

 

 そうしてオリエンテーションや、委員会決めなど、それなりに色々な事が行われたが、特別何かが起こることは無く。自然と一日が終わって行った。

 

 鏡を見る。

 

 そこに移る姿にも、今では驚かない。

 

 首元で整えられた以上には整えられない黒のボブに一重の瞼。その中にあるのは溶け込むような黒い瞳孔で、大きな胸部以外に派手さがない。真顔が普通で、稀にビジネス笑みを出す程度。俺自身、派手である事と露出は好ましくなく、実に俺らしい外見。

 

「はぁ……実に慣れてしまった」

 

 湯舟に肩まで沈むと、つい淡い声が漏れてしまう。だけども、今日一日でたまった疲れが癒されていくのを感じる。

 

 じっくりと浸かった後、指先を空気に触れさせる。

 

 細く、白く、よく鍛えられた指だった。

 

 視線を下げれば見える。

 

 最低限度は、と鍛えらえたこの体は、美しい肉体美を作り出していた。そこに感じるのは違和感と好ましい感情が混じった何か。

 この世界で俺は、TS転生という物を体験していた。男から女に、大人から子供に。いと不可思議、だが原因など分かるはずもない。気が付けば赤ん坊だった。

 

 そうして成長し続けてきて今、高等生になった。

 

 生憎と女の関係性という物に、何処か合わない感性を持っている時点で、友達を作ろうという意識は無かった。この家はそこそこ余裕があるからゲームなり、何なりと、時間を潰す手段は沢山あったし、妹が居た。だからこそ、新たな出会いを求めることも無く、どこか寂れた生活をしていた。

 

 だが、後悔はない。慕ってくれる可愛い妹という存在は、想像以上に俺の心をくすぐる存在であったし、ゲームは楽しい。

 

 それが要因だ。

 

 今日行われたオリエンテーションの時、俺は会話に入り込めなかった。そして俺に向けられた目を見ればわかった。どこか俺を避けている、と。

 中等学園の頃、何度か警察沙汰を起こしている。そうして広まった噂に尾ひれ背びれがついてしまっているのだろ。

 

 それが原因なのだろう。そうして無事に、初日に作れた友達は0人という結果につながった。

 

 だが、それでいい。適当に家族を可愛がって、適当に卒業して、適当に就職して、楽に楽しく生きる。

 

 それが今世における俺のポリシーだった。

 

「おねーちゃーーん!!ごはんできたよ!!」

 

 おっと、長風呂をし過ぎたようだ。妹が呼んでいる。早く上がろう。

 

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