キヴォトスの独裁者 作:坂間
「…此処か」
先程いたタワー程では無いがかつての世界の新大陸の超大国の摩天楼を遥かに超す眼前の高層建築に生唾を呑む。
「はい、此処に【シャーレ】の部室があります」
「この建物にも君達と同じ様な輪状の浮遊物があるのか」
「ヘイローのことでしょうか?」
「君は…」
返答に詰まる私を見た彼女は整った姿勢で非礼を詫びる。
「申し訳ありません名乗りが遅れました、私はトリニティ総合学園正義実現委員会副会長、羽川ハスミと申します。」
「すまない必要の無い気を使わせてしまって事前に七神に名を聞いてとくべきだった。」
「いえ」
「一つ聞くがその正義実現委員会と云うモノは何だ?」
『只の治安維持組織ですよ先生、ダラダラ話してないで早く行きましょう。事態は一刻を争います。』
ホログラムに映し出されるリンが話に横入りして話を切り上げさせる。
「…先生傷の具合はどうですか?痛むようなら今からでも病院に」
「大丈夫だ君に手当てしてもらってから随分と痛みが引いた」
ヘルメット集団相手に虚勢を張って突破した後私の傷を手当てした少女、守月スズミが心配そうな表情浮かべている。
「それでは行こうか」
「え!?先生も行くの!?その傷で!?うーん……確かに先生が行くべきなんだろうけど…」
「そうです、暴徒を突破しただけであり制圧していない以上安全ではありません。それに首謀者となった生徒の動向が不透明な以上、室内戦になり得るシャーレ内部は危険です。それにその負傷…下手に動けば悪化します、せめて主席行政官と応援が到着するまで待機するのが良いと思います」
「だが事態は一刻を争うのだろう?」
私の言葉にユウカとハスミは口籠る。
「勝敗は時間で決まる、動ける時に動かなくては勝てる戦いにも勝てん」
彼女達は脆い私の安全を確保しようと、リスクがもっとも少ない選択を執ろうとしている。
これ以上時間は浪費したくはない、何のために腕を打ち抜いてまでヘルメット集団を撒いたのだ。
「七神もそう思うだろう?」
『はい、私含め応援がすで向かっています。建物の地下で会いましょう』
ホログラムが崩れリンの姿が消え通信が遮断される。
「分かったな、先程のヘルメット集団が追ってくる可能性がある四人はここを守れ。私は地下室へ行く」
「しかし…既に侵入されていたら……」
「心配するな。その時は四つん這いにでもなって逃げる」
「冗談ではなく…!」
私の適当な返答に怒るスズミが言葉を言い終える間にシャーレの扉を開く
「先生!」
「早瀬、羽川、守月、火宮、不満なのは分かるがこれは連邦捜査部『シャーレ』の顧問としての命令だ。」
「っ…!」
「くっ…!」
「……!」
ハスミ、スズミ、チナツが動きを止める。
物分かりが良くて助かる。
私がシャーレの扉に手をかけようとした時、ユウカが素っ頓狂な声を上げる。
「いやちょっと待って!?シャーレに生徒に命令を下す権限なんてないでしょ!?勝手に権限を都合よく拡大解釈しないで下さい!」
「チッ…!」
「先生!?今舌打ちしましたよね!?」
独裁者たるもの都合よく解釈せよ、独裁者の基礎中の基礎のそれが分からんとはユウカには独裁者は向いていないな
他の3人も冷静になり始めたのを感じ急いで扉を開き身体を滑り込ませ扉を閉める。
「…それではまた会おう」
「なんか良い感じに締めてもダメですからね!?」
そう背後からユウカの声が聞こえた気がしたが気の所為に違いない
感想くれると作者が腹踊りします