キヴォトスの独裁者   作:坂間

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砂漠の独裁者
独裁者は胡散臭い


 

日が暮れだし西日が差し込み出した午後の執務室で一つの封筒に目が止まる。

 

 

「……アビドス廃校対策委員会、か」

 

 

一度封を切り確認をしたが優先度は低い。

 

生徒数はたったの5名という驚愕の人数で構成されるアビドス高等学校、書類の内容は端的に言えば【暴力集団に攻撃を受けているから助けて欲しい】というものである。

 

 

名の通り廃校寸前にまで追い込まれている。

原因は根本的な暴力集団のせいではない。

 

手紙には書かれていなかったがとある筋を通じて調べさせると分かった。

 

アビドス自治区の原因不明の砂漠化の発生とそれに対する対策の失敗によって財政は傾き生徒は去り防衛物資は揃えられずマトモな防衛を行えず少しずつ押し込まれているそうだ。

 

 

それに彼女達は【9億】と云う子供が背負うには重すぎる借金を背負っている。

 

この借金とは先程話した砂漠化対策の際に投じた費用を集める際の借金が膨れ上がったモノだ。

 

 

しかし、妙だこの借金は学校のモノであり彼女達のものではない。

他の生徒がしたようにアビドスを捨て他校に行けば良い話だろうに。

 

それが気掛かりで仕方なかった。

 

書類仕事も飽きてきた所、気分転換に行ってみるのも悪くあるまい。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「此処までで結構、感謝する」

 

 

私を此処まで運んで来たヘリのパイロットの生徒に会釈し降りる。

と私の護衛をするためについてきた生徒が二人降りる。

 

 

ヘリに気づいたのか三人の少女が物陰から私を見ている。

その内の一人に限っては尻尾が物陰からはみ出て揺れている。

 

 

「君達がアビドスの生徒達かね?」

 

 

物陰に問いかける、だが答えは返ってこない。

 

 

「名乗るが遅れたすまない、私の名前は…いやそれよりも【シャーレ】の顧問と言ったほうが通りが良いか?」

 

 

「えっ、シャーレってあのシャーレ?」

 

 

「支援要請が受理されたの…?」

 

 

ふむ…最初から名乗っておくべきだったな

 

私の名乗りとゴニョゴニョと物陰がヤケに騒がしくなる。

暫くすると物陰から眼鏡を掛けた真面目そうな印象を受ける少女を先頭に恐る恐る出てくる。

 

 

「シャーレの先生が来てくださるとは知らず…何も歓迎も出来ずすみません…私は奥空アヤネと申します」

 

 

「…黒見セリカって言います」

 

 

「十六夜ノノミです☆」

 

 

私はアヤネの言葉に引っ掛かる。

此処に向かう前に一通、速達便で手紙を出した筈だ。

 

 

「ん?手紙を送った筈なのだが…届かなかったかね?」

 

 

私の言葉に眼鏡越しからでも分かるほど目を丸くする。

 

 

「手紙…ですか?手紙なんてもの……来てましたか?セリカちゃん」

 

 

「え?あー…来て無いわよ、多分…」

 

 

「多分他の手紙と一緒に捨てちゃったんですね☆」

 

 

「ち、違わよ!?」

 

 

セリカと呼ばれた猫耳の生徒が図星を突かれたかの様に動揺する。

 

 

「まぁ良い、要請された物資は追って届ける」

 

 

「はい!ありが─」

 

 

彼女が感謝を述べようとした時南の方向から銃声が鳴り響く。

 

 

 

「ま、まさか…!?」

 

 

「嘘でしょ…!タイミング…最悪なんだけど!?」

 

 

彼女達は突然と狼狽え始める、これが件の暴力集団だろうか。

 

 

「ふむ、何やら武装集団が着ているようだな。」

 

 

予め護衛に飛ばさせておいたドローンの映像からアビドスの校舎らしきモノにヘルメット集団、この世界でヘルメット団と呼ばれる武装集団が行軍していた。

 

 

「っ…!すみませんが─「あぁ急いだ方が良いな、行くぞ」!?」

 

 

「先生も来るの!?」

 

 

「その為に私をわざわざ此処まで呼んだのだろう?なに、邪魔はしない少し気になったのだよ、返せるはずも無い借金を背負っているにも関わらずこの場所を捨てず守り続ける君達がね」

 

 

「な、何でそのこと…」

 

 

アヤネが酷く狼狽える。

 

 

「話は後にしよう、さもなくば借金を返す前に学校が奪われてしまうぞ?微力ながら多少の後方支援はしようじゃないか。」

 

 

胡散臭い笑みを浮かべる私にアビドス生は顔を顰めながらアビドスを防衛する為に向かっていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

「宜しいのですか?時間の無駄では…」

 

 

アビドスに向かう護衛の一人が私に問いかける。

不思議なのだろう恩を売る価値もない弱小校に時間を費やす事が。

 

 

「確かにそうかも知れん」

 

 

「ならば…」

 

 

「だから無駄だったと思わない為に今から動くのだ。覚えて置くと良い無駄だったかどうかは結局は自分の感じ方次第だ」

 

 

彼女は私の言葉が理解出来ないと言わんばかりの不服の表情をバイザー越しから浮かべ何か口にしようするがもう一人の護衛に私語を慎めと言わんばかりに小突かれ黙る。

 

 

今はそれで良い、いつか分かる日が来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

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