閃光の学P   作:瑠和

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とりあえずかけた話を投稿しました。続きは4月以降らへんを目標に頑張ります。
作者はダイススレとか好きです

見切り発車で始めたので面白くなるのに少し時間がかかるかもしれませんが、長い目で見ていただければ助かります。Pラブ好きな方は絶対後悔させないので

意見や感想を頂ければ幸いです


第一話 ランディンググラウンド

―初星学園―

 

 

初星学園。ここは、多くのアイドルを目指す少女たちが集う学校。多様化された「偶像」の姿を目指し、夢を持って走り、時に挫折し、時に輝き、青春を謳歌する。そんな学校である。

 

そして、いまこの学校での中庭でスケジュール帳を眺めながら歩くプロデューサー科の人間がいた。

 

彼の名前は天王寺瑠和(てんのうじ るな)。今年で大学三年生になる青年だ。

 

「さて、今日この後は………」

 

次の予定に関して考えながら歩みを進めていると、先に見えるベンチで誰かが座っている、いや、眠っているのが見えた。

 

「あ………」

 

一瞬、別人に見えた。

 

しかし、すぐに見間違いだったことに気付く。眠っていたのは青い髪の少女。顔は知っている。かつて中等部で名を馳せたアイドルSyngUp!のメンバーの一人。泰谷美鈴だ。

 

「……………………ん」

 

瑠和がしばらく目の前で見つめていると、その気配に気づいたのか美鈴は目を覚ます。

 

「………まぁ。ここ、開いてますよ」

 

美鈴はベンチの隣をポンポンと叩く。さも瑠和がそこに座るのが当然だというように。瑠和は少し考え、美鈴の隣に座り、手帳に目を落としたまま口を開く。

 

「今は授業中だと思いますが」

 

「そうですね」

 

「なぜここに?」

 

「とっても………いいお昼寝日和だったので」

 

「つまりはサボりですか?」

 

「そうなってしまうかもしれんせんね」

 

悪びれる様子もないことに瑠和はやや驚き、美鈴を見た。美鈴も前を向いたまま、というか、まどろみながら眼前に広がる景色を眺めているといった感じだろうか。

 

「……………」

 

(確か………彼女は現在高等部。SyngUp!は高等部に上がったと同時に解散したと聞いたけれど……続ける意思がなくなったから、サボっているのか……それとも)

 

「あなたは、私に何も言わないのですか?プロデューサー科の方でしょう?」

 

言いたいことはないのかと言われると、嘘になる。しかし、それを言ったところでどうにかなるものではないというのを瑠和はなんとなくこの少女から感じ取っていた。

 

「君は僕の担当アイドルではありませんから」

 

「……変わった方ですね。私がサボっていると、大抵の方は注意してくるので」

 

「僕に注意してほしいと?」

 

「いいえ?注意しないのであれば、共犯ですね。あ、良ければ、一緒にお昼寝しませんか?」

 

「………」

 

変わった人間だと言われたが、瑠和からすれば美鈴の方が変わった少女だ。会話をすればするほどそれが伝わってくる。ここにいるアイドルは誰もが高みを目指し、必死になっているものだと思っていたからだ。

 

瑠和は手帳を閉じ、瑠和は空を見上げる。

 

「この学園の空、こんなに広かったんですね」

 

「はい。たまには、息抜きするのはいいことだと思いますよ」

 

美鈴に言われるまま、入学からずっとプロデューサーとして徹してきた業務から一時的に解放され、瑠和は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

「イ……パイ……先輩、起きなさい?」

 

瞳を開けると目の前には正しく偶像(アイドル)と呼ぶにふさわしい少女が立っていた。

 

「………星南。おはよう」

 

瑠和の前に立っていたのは十王星南。去年『一番星』に輝いた名実ともに初星学園のNo.1アイドルだ。そんな彼女と対等な言葉づかいで話す瑠和は、当然彼女の担当をしている。

 

「珍しいわね。アナタがこんなところで昼寝してるなんて」

 

「ああ、そこの泰谷さんに………」

 

瑠和が身体を起こして隣を見たときにはすでに美鈴はいなくなっていた。瑠和が眠った後にいなくなった様だ。

 

「泰谷美鈴さんがいたの?SyngUp!の?」

 

「………ああ」

 

「ふぅん………仕事人間のあなたが絆されるなんてね。美鈴にはそういう何かがあるのかしら」

 

「さぁ………そういえば今何時だ?」

 

「何時も何も、もうお昼休みよ?食堂に向かっていたら、アナタが寝ていたのよ」

 

「そうか………すまない。お昼、一緒に食べるかい?」

 

「そうね、ミーティングを兼ねて、ね」

 

 

 

ー食堂ー

 

 

 

「あなた、いつもそれね」

 

「…好きなんだ」

 

瑠和が頼んだのは卵かけごはんだ。珍しいメニューではあるが、金欠のアイドルにはありがたいメニューらしい。瑠和は、この三年間、食堂に来るたびにこれを食べている。

 

「アイドルに栄養がどうのこうの言う割には、あなたはなにも考えてなさそうね」

 

「そんなことないさ」

 

「…まぁ、いいわ。じゃあミーティングだけど………私は去年、HIFで優勝し、『一番星』になった。これもアナタのおかげね」

 

「僕は何もしていない。キミの実力あってのことだよ」

 

「謙遜するのね。まぁ、そういうことにしておくわ。それで、今後の活動に関してなんだけど。私、卒業後はプロデューサーを目指そうと思うの」

 

その言葉に、瑠和はさすがに箸を止めた。星南の顔を見る。変わらず自身に満ちた表情。その顔から、何を考えているのかなんとなく察しが付く。

 

「そうですか」

 

「だからね、卒業後のことを考えて、学校にいる間に少しでもプロデューサーのことを学び、経験を積むために、少し申し訳ないのだけれど、あなたとの契約は終わりにしようと思うの」

 

その言葉に、瑠和は少しだけ驚いた顔をする。しかし、すぐに食事を再開した。

 

「そうか、頑張れよ」

 

その言葉に星南は少し悲しそうな顔をした。それに瑠和は気づきながらも追求しようとはしなかった。

 

「……………………………そう…なら、今日であなたとのプロデューサー契約は終わりね」

 

「はい。いままでありがとうございました」

 

 

 

ープロデューサー科ー

 

 

 

契約解除の話をした翌日。貸し出してもらっていた事務所を片付けるために瑠和は学校に来た。

 

机の上を片付けながら、最後に星南がした悲しそうな眼を思い出す。

 

「ああいう顔もするんだ……軽率だったか……」

 

机の上に飾られていた写真を手に取り、眺めた。

 

「そうだよな。鐘嵐珠と同じか…」

 

一旦ごみをまとめて、ゴミ捨て場まで運ぶ。その道中、妙に学園内が騒がしいことに気付いた。瑠和は近くにいたアイドル科の生徒に声をかける。

 

「こんにちは」

 

「え?あ、こんにちは…」

 

「なんだか、アイドル科が騒がしいように思えるんだけど、なにかあった?」

 

「ああ、去年の『一番星』の十王星南さんが、プロデューサー業をやるってことで色々話題になってるらしいです」

 

昨日の会話は食堂でした。そこらの生徒に聞かれていておかしくない。大方噂好きの生徒が聞き、広めたという感じだろうと瑠和は考えた。

 

「今朝なんか、星南会長にプロデュースされたい生徒が何十人も三年生の教室を押し掛けたとか」

 

「すごいな、僕たちの活動の結果か……」

 

「?」

 

「ああ、いえ、こっちの話です」

 

「あれ?リーリヤ何してんの?」

 

そんな会話を見知らぬ女生徒としていると、その女生徒の知り合いと思しき少女がやってきた。話していた少女はリーリヤという名前らしい。言われてみれば確かに海外の血が混じってる顔つきをしていると思った。

 

「清夏ちゃん」

 

「ん?そちらさんは?」

 

「プロデューサー科の者です。学校内が妙に騒がしいので、事情を伺っていました。」

 

「ああ、『一番星』のこと?プロデューサーとの契約打ち切って、今度は自分がプロデューサーになろうってやつっしょ?あれ、わかんないんだよねぇ~」

 

突然現れた清夏という少女の言葉に瑠和はやや首を傾げた。清夏の恰好はいかにもギャルというような身だしなみだ。きっと、星南の気持を十分に理解してないのだろうと瑠和は考える。

 

「星南さんは、この先のアイドルのことを考えているようだけど?星南さんの気持も理解してるから、星南さんのプロデューサーだって…」

 

「あっはは、暇なんだね、その人たちさ。アイドルってそんな先考えてる暇ないっしょ」

 

「…………暇?」

 

「じゃないの?自分の理想像……トップアイドルになることを、それから自分の担当アイドルをトップアイドルにさせること考えてたら、この先のアイドルのことなんて考えてられないと思うけどねぇ~」

 

瑠和はその言葉に、少し視線を逸らした。いつか星南は言っていた。トップアイドルの定義とは何かを。彼女は「それぞれが胸に思い描く理想像にたどり着いた時がトップアイドルになった時」だと。

 

目の前の清夏も同じ考えなのだと思った。だからこそ『一番星』になった星南をトップアイドルになったと思わず「暇」だといったのかもしれない。

 

「…………トップアイドル………か」

 

 

 

 

 

 

―夜―

 

「はぁ。色々片付けてたらもうこんな時間か」

 

気付けばもう日は暮れていた。一日事務所にこもって片づけをしていたが、星南が顔を見せることはなかった。星南の私物もある程度まとめたので、後で取りに来るようにお願いしようかと考えながら下校しようとした。

 

そのとき、前方に見えるベンチで、誰かが座っているのが見えた。

 

「………ん?」

 

「すぅ………すぅ………」

 

「泰谷さん……」

 

また、泰谷美鈴に出会った。放っておこうかと思ったが、もう日が暮れている。身体を冷やすのもよくないだろうと思い、声をかけた。

 

「泰谷さん、泰谷さん。起きてください。もう放課後ですよ」

 

「…………まぁ、また出会いましたね。おはようございます」

 

「はい。おはようございます。もう夜です。身体を冷やしてしまいますよ」

 

「まぁ………いつの間にかこんな時間まで寝てしまったのですね。起こしていただき、ありがとうございます」

 

「……………もう遅いですから、よかったら送っていきますよ」

 

「そうですか……では、お言葉に甘えて」

 

瑠和は美鈴と共に帰路につく。聞けば美鈴は寮暮らしらしい。であれば大した距離ではないのでわざわざ送っていく必要もなかったかと思うが、女の子が夜道を一人で歩くのもそれはそれで危険だと思い、最後まで一緒に歩いた。

 

「女子寮はここですよね」

 

「ありがとうございます………なにかお礼をと考えているのですが、もし、よろしければお食事でも作りましょうか?」

 

「………結構ですよ。それに男子が女子寮に入るには許可が必要です」

 

「寮長が許可を下されば、それで万事OKですよ」

 

その時だった。誰かが瑠和のてを掴み、一気に拘束しようとした。しかし、瑠和は背後から手を掴まれた瞬間、反射的にそれを抜け出し、逆に拘束しようとしてきた相手を組み伏せてしまった。

 

「あぐっ!そんなバカな!?僕の嗜んでた格闘技が破れるなんて……美鈴!ボクを放って逃げるんだ!」

 

「まぁ……麻央寮長」

 

瑠和を拘束しようとしたのは、女子寮の寮長、有村麻央だった。砂はそれに気づくとすぐに手を離し、後ろに下がる。

 

「あ………有村麻央さんでしたか。申し訳ありません。お怪我はございませんでしたか?」

 

「いたた………なんだ、よく見れば星南の………」

 

そこまで言葉が出たとき瑠和は人差し指を立てて口の前に添える。それを見た麻央は少しハッとして口をつぐんだ。

 

「申し訳ないね。不審者がナンパでもしてるのかと思って」

 

「麻央寮長。私、この方に送っていただいたお礼に食事を作って差し上げようと思っているのですが………寮の食堂に入れても?」

 

「イヤ、ですから僕は…」

 

「ああ、構わないよ。僕も彼のことは少し知っていてね。少し話もしたいし、是非とも招待しよう。僕もご相伴にあずかっても?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

「いや、僕の意見は……」

 

勝手に話が進められ、瑠和は半ば無理やり寮内の食堂まで通された。美鈴はすぐにキッチンに行き、料理を始めた。瑠和はその姿を眺めながら椅子に座っていた。

 

その眼に、他の誰かを幻視しながら

 

「隠しているつもりですか?」

 

麻央が向かいの席に座り、訪ねてきた。隠しているものは当然星南のプロデューサーをやっていたことに対してだ。

 

「まだ話が大きいからね、風当たりの強いうちは」

 

「………そうですか」

 

麻央と瑠和は星南のプロデューサーをやっていた時から面識があった。三年生になってから同じクラスになったこともあってそれなりに仲が良かった。

 

「お待たせしました。急だったので、簡単なものですが」

 

美鈴はカレーうどんを作ってくれた。どうやら余っていたカレーのアレンジらしい。

 

三人は席に着き、カレーうどんをすすり始める。

 

「いかがですか?」

 

「うん、おいしいです。泰谷さんはお料理が上手なんですね」

 

「はい。お料理も、お掃除も、家事は大体得意です。少し前まで、ルームメイトがいたので、その子のお世話を…」

 

「………賀陽燐羽さんか、月村手毬さんですか?」

 

「よくご存じなんですね。その通りです。ユニットが解散してから……誰かのお世話をしていなかったので…」

 

「なるほど……」

 

「それにしても、星南のプロデューサーももったいないコトをしたよね、星南の良さは、まだまだ伸ばせたと、思うんだけど」

 

唐突に麻央が間接的な自分の話題を出してきた。話したいことというのはこれかと瑠和は少し怪訝な顔をした。

 

「………はは、そうかもしれませんね。でも、彼女のプロデューサーも、それなりに考えがあって、ああしたんだと思いますよ」

 

「星南さんのプロデューサーのやり方正しくないですよ」

 

軽く受け流そうとした瞬間、真横から美鈴の言葉が刺さった。驚いて横に視線を向けると、美鈴がまっすぐに自分を見ていた。その眼に、瑠和は少し怯える。

 

「正しいやり方があるなら、教えてほしいって星南さんのプロデューサーは言うと思いますよ」

 

「ありますよ。正しいやり方………絶対に間違わない完全なプロデュース方針の樹立です」

 

何を言い出すのかと思いきや、瑠和はその言葉を聞いて笑いだしてしまう。瑠和が笑ったことに、美鈴は首を傾げた。

 

「おかしいですか?」

 

「もしそんなことできる人がいるとすれば、それはもう神様ですよ」

 

「では、あなたが神になったらいかがですか?」

 

美鈴の向けてくる視線。それは、不思議なものでまるで自分のすべてを見透かしてくるような視線だった。

 

「そんな人が出てくる頃には、アイドル全部が、『一番星』になっているだろうね」

 

「ふふっ……そうかもしれませんね。ですが………それを「やる」のがプロデューサーの役目では?」

 

「………」

 

確かにそうだ。プロデューサーはアイドルの前では神にならなければならない。それは絶対だ。間違いは、許されない。

 

「だから僕は……」

 

「?」

 

「………おいしかったです。ご馳走様でした」

 

瑠和はさっと食事を終わらせ、食器を片付ける。

 

「………………おいしかったですが、あまり軽率に男性を自分のパーソナルスペースに入れるべきではないですよ。こんなことはこれっきりにした方がいい」

 

「………そうですね。それでは、おやすみなさい」

 

 

 

―瑠和の家―

 

 

 

瑠和は家に帰る。大学進学し、一年経ってから引っ越したマンションだ。夕食はすでに済んでいるので、シャワーを浴び、ベッドで横になった。

 

(暇なんだね、その人たちさ)

 

(プロデューサーのやり方、正しくないですよ)

 

「…………」

 

今日出会って来た少女たちの言葉が、蘇ってくる。瑠和は星南の写真を眺めながら独り言をつぶやく。

 

「じゃあ教えてくれよ………この仕組み深さを、破壊する方法を」

 

 

 

 

続く




主人公は(同作者のラブライブ作品「彼方の近衛(https://syosetu.org/novel/271104/)という作品の主人公でもあります。

高校時代誰とも結ばれずに進学した設定です。
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