閃光の学P   作:瑠和

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思ったよりかけたので続きを早めに
作者は優も好きです


第二話 二人きりの部屋で

ー生徒会室ー

 

「はぁ……………………………………」

 

「…」

 

「……………………はぁ………………」

 

「……」

 

「……………………………………はぁ」

 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!もういい加減にしろ貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!この間っから朝から晩まではぁはぁはぁはぁため息ばかり!!!こっちの不幸まで逃げるわ馬鹿者!」

 

ここは、初星学園生徒会室昨年、選挙で決められた生徒会長の十王星南を初めとして、学園No.2の雨夜燕、そして書記の姫崎莉波。

 

2日前、星南が瑠和との契約を解除した日から星南はため息ばかりの生活だった。それに燕がたった今ブチギレたのだ。

 

「お、落ち着いて燕ちゃん!」

 

「離せ姫崎!!自分から契約を切っておいて……毎日毎日毎日毎日っ!」

 

「し、仕方ないじゃない!まさかこんなことになるなんて………思ってなかったんだから」

 

「………どういうことだ?」

 

「……実はその、私自身が新入生をプロデュースしたいって気持ちに変わりはなかったのよ?でも、契約自体は切る気はなかったのよ」

 

星南意図が上手く汲み取れず莉波も燕も首をかしげる。

 

「だが、貴様から契約終了の話を持ち出したのだろう?」

 

「そ、それは………そうなんだけど………あの…」

 

「なんださっきからはっきり言えはっきり」

 

星南のもじもじした態度に燕は再びいらいらし始めるそれを見て星南は小さく深呼吸して立ち上がった。

 

「彼、献身的に私を支えてはくれていたけれど、ずっと私に真剣に向き合ってくれてる感じはしなかったの……だから……………契約終了なんて話を持ち出せば、彼が私を見てくれる気がしたのよ!」

 

「姫崎」

 

「……何?」

 

「竹刀を出せ。こいつの根性を叩きなおしてやる」

 

「持ってないよ…」

 

「なんなんだ貴様は!!!いつからそんな軟弱者になったぁ!!!!」

 

燕は再び星南に襲い掛かろうとしたが莉波が後ろから羽交い絞めにしてなんとか抑える。

 

「だから落ち着いてって!!」

 

「だって!朝の占いで想い人は追いかけさせると吉って…」

 

「アイドルとプロデューサーだろうが!破廉恥だぞ貴様ぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

燕の叫びが生徒会室に木霊した。

 

 

 

―中庭―

 

 

 

「………まぁ、おはようございます」

 

「…………おはようございます」

 

美鈴に夕食をご馳走になった翌日。校内で再び美鈴に出会った。美鈴はたまたま昼寝をしていたらしいが、そこに瑠和が近づいた時に見計らったかのように目を覚ましたのだ。

 

瑠和は美鈴の隣に座った。

 

「…………昨日は、なんであんなことを?」

 

「あんなこと………とは?」

 

「泰谷さんの性格から考えるに、あんなプロデュース方針は好まないと感じました」

 

「ああ………そうですね。十王星南をさらなる高みへ導けるのは、アナタだとわかったから………というのはどうでしょう」

 

「ははっ。僕はご覧の通りごく普通の青年ですよ」

 

「そうでしたか……」

 

美鈴の反応は、つかみどころがない感じだった。いや、瑠和の発言に対してがっかりしているというような感じだ。

 

(この子は………嘘が分かるのか?)

 

昨日出会って軽く会話した程度で、十王星南のプロデューサーだったということが見抜かれている。いや、麻央の態度から見抜かれたのかもしれない。

 

そんな話をしていると、どこからか足音が聞こえてきた。

 

「美鈴ちゃんいたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「まぁ………見つかってしまいました」

 

「あれは……」

 

走ってきたのは美鈴のクラスメイトと思しき少女。だが、瑠和はその少女に見覚えがあった。

 

「もう!次の授業始まっちゃう………ってあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!アタシのプロデュース断ったプロデューサーさんだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「まぁ、そうだったんですか」

 

今年の入学式当日。遅刻してきたこの少女と瑠和は話していた。その際にプロデュースしてくれないかと言われたのだが星南のプロデュースをしていたので断った経緯があった。

 

「………ええ。その時は色々忙しかったので」

 

「じゃあ、いまはいいんですか?」

 

そういわれると、どうにもという感じだ。確かにいまプロデュースしているアイドルはいない。自らプロデュースしてほしいというのならスカウトしに行く手間も省けるのだがどうしようかと考える。

 

そこに校内放送が響いた。

 

『プロデューサー科、三年天王寺瑠和君、至急職員室まで来てください』

 

「………すいません。僕はこれで」

 

瑠和は放送に呼ばれたことを言い訳に、その場から去った。

 

 

 

―職員室―

 

 

 

「瑠和君、一体どういうことですか?」

 

瑠和は根尾あさり教諭に呼ばれ、星南とのプロデュース契約を打ち切った理由を聞かれていた。

 

「どういうことも何も、アイドルから契約解除を持ち掛けられたので、それに応じた。それだけです」

 

「でも、このままプロデュースをしないで行くつもりですか?」

 

「そのつもりはありませんよ。一通り落ち着いたら、スカウトに行くつもりです。」

 

「そうですか?でも、せっかく『一番星』にたどり着いたのに……」

 

「たどり着いたからですよ。きっぱりとアイドル活動から離れることができた」

 

「瑠和君……」

 

「もう、よろしいですか?まだ片づけが残っているので」

 

「………お互いに納得してるんですか?」

 

「持ち掛けてきたのは彼女ですよ」

 

瑠和はそれだけ言って扉を閉めた。あさりからの言及をシャットアウトするように。自分でも軽率だったかもしれないことは理解している。しかし、それはもう終わった話だ。風の噂によるとすでに星南も生徒会メンバーに新入生を取り入れ、プロデュースする方針を決めているらしい。

 

だから、これで良かったのだ。

 

「あ、あの!」

 

そんなことを考えながら歩いていると、アイドル科の女の子に声をかけられる。

 

「君は?」

 

「星南会長のプロデューサーをしてた方ですよね!もしよければ、私をプロデュースしてくれませんか!?」

 

(ああ、そうか)

 

考えてみれば当然だ。元々令嬢で一級の指導を受けていたとはいえアイドルを『一番星』まで導いたのだ。プロデュースしてほしい子も当然多い。

 

「ごめん、まだバタバタしているから、また後日に」

 

適当に断って事務所に向かう。

 

しかし、その道中で三人のアイドルに声をかけられた。

 

「はぁ………まさか『一番星』に導いたって実績がこんなに大きいものだとは考えもしなかったな。これなら何も知らずに声をかけて来た佑芽さんの方がよっぽどマシに見える」

 

少し疲れた瑠和はなるべく人のいない場所を目指した。

 

「ここは…高等部の茶道部が使ってる部屋か……。まぁこの時間なら誰もいないだろ…」

 

茶道室の扉を開き、中に入る。靴を脱いでい草の匂いが漂う茶室に入ると、誰かがいた。

 

「…まぁ」

 

逆光で見えにくかったが、先客がいた。

 

逆光のせいか、とても神々しく見えた。振り返る際にフワッと浮き上がった髪、すこし眠たげだがどこか妖艶さも含んだ瞳。

 

再び、泰谷美鈴に出会った。

 

よもや一日に二度もサボりの現場に出会うことになるとは思いもしなかったが、瑠和は何も言わず日が当たる場所へ移動し横になる。

 

「………ひょっとして、アナタもサボりですか?」

 

「そんなところかな。アイドルの要望を断ち切るためにここにいる」

 

「………それは、どういう?」

 

(…………いまここで、星南のプロデューサーであったことを隠しても、いずれ………いや、この子はすでに気付いている。噂も広まってる。気づいてなくても噂を耳にすることは避けられないだろう)

 

瑠和は簡単に事情を説明した。

 

「まぁ………それは大変でしたね。では、一緒にサボりましょう」

 

「………はい」

 

美鈴の提案に意義も申し立てず瑠和は受け入れる。隣で横になった美鈴を見て、瑠和は再び別の誰かを重ねてしまう。

 

「もしよければ私をプロデュースしてみませんか?」

 

唐突な申し立てに瑠和は困惑した表情を浮かべるとともに、少し意外な顔をした。美鈴はこういうことを言ってくるようには見えなかったからだ。

 

驚きと共に、瑠和は少し残念に思った。

 

(結局、彼女も他のアイドルと同じ……)

 

「意外に思いましたか?」

 

美鈴の言葉に瑠和は少し驚いて身体を起こす。瑠和の内心を見抜いたのだ。眼も開けず、声も聞かずに。この子には、今朝も、まるで瑠和の心を読んでいるかのようだった。

 

「ですが………私は私を理解してくれる人がいいんです。アナタなら、それができる。そう感じました」

 

「……僕がいなくても、君はいずれ頂点へたどり着く。マイペースに歩き続けて」

 

「はい。そのつもりです」

 

「…………僕ができるのはアナタが快適に歩く手伝いだけです。それで構いませんか?」

 

「ええ…………最初は、それだけで結構です」

 

 

 

 

 

 

わからなかった。

 

彼女は、絶対に自分からプロデュースを願うアイドルには見えなかった。それだけの向上心があるなら最初からサボったりなんてしないだろう。

 

一体何が目的で自分を選んだのか。疑問は残るが、今の学年であまり長いこと担当アイドルがいないのも色々と面倒なのもまた事実だ。

 

「………まぁ、何が目的であれ担当アイドルとしては悪くない…互いに利益があると信じて…」

 

「本当にそれでいいって思ってるの?」

 

瑠和の背後から声がした。後ろには茶髪の少女が立っている。瑠和はその少女を見ないようにしながら答える。

 

「やることは変わらないさ。()()ただ、ジャマにならないようにサポートを……」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

声をかけられた。

 

声がした方を見ると、そこには珍しく普通科の生徒がいた。初星学園放送部部長の「真城優」だった。優の姿を見た瑠和は少し驚いたような表情をしながら、笑顔を浮かべた。

 

「優さん。こんにちは。どうかしましたか?」

 

「聞いてるのは私の方なんですけど………誰かと話してたように見えたましたけど」

 

麻央はあたりを見ながら尋ねる。もしかしたら死角になっていて誰もいないように見えたのかと思ったが、そうでもないことを確認したのだ。

 

「……ここにはずっと僕だけですよ」

 

瑠和と優は多少関わりがあった。廃部寸前だった放送部の部長に星南が無理やり優を推薦したりといろいろあったのだ。

 

「そうですか………あ、ところで星南会長に用があったんですけど…」

 

「ああ………僕はもう星南さんのプロデューサーをやめてしまったので」

 

「ええ!?そう………だったんですか…」

 

「すいません。ああ、でも彼女なら今生徒会室にいると思いますよ」

 

「ああ………そうですか…」

 

(随分お似合いだと思ってたのに。意外だな)

 

瑠和を見送り、優はそのまま生徒会室に向かった。

 

 

 

―生徒会室―

 

 

 

「ところで貴様、なぜあんな男のプロデュースを受けたのだ?」

 

ようやく燕の怒りも静まり、仕事を再開したところで燕はふと気になっていたことを尋ねた。

 

「あら、燕には話してなかったかしら」

 

「ああ、どんな男かと聞いた時も、適当にはぐらかされて終わったからな………さてはお前」

 

「ち、違うのよ?彼、幼馴染なのよ」

 

「幼馴染?」

 

星南は過去の記憶に想いを馳せる。

 

「幼馴染っていうか昔一度会っただけなんだけどね。たまたまこの学園で再会できたの」

 

「おいちょっと待て、まさかこのまま回想に入るつもりか」

 

「そう、彼と出会ったのは…」

 

 

 

ー二年前ー

 

 

 

「ここが………初星学園か…」

 

今日は初星学園の入学式。天王寺瑠和は、プロデューサー科の一年生として初星学園の門をくぐった。

 

少しの不安と、これから切り開く輝かしい未来で、少しでも心にある後ろめたさを振りきれるのではないかという希望を抱きながら。

 

ある程度のオリエンテーションを終え、とりあえずこの日は帰ることができるようになった。

 

だが、これから高等部のアイドルたちをスカウトするのだから、高等部を見学しようという者の方がほとんどだ。

 

プロデューサーという、責任あるものに自分からなりにいこうという人間たちの集まりだ。意識も一般的な大学に比べれば高い人間が多いのだろう。

 

正直瑠和はどちらでも良かったが、とりあえず見に行くことにした。

 

「新入生のプロデューサー科は最低でも一年はスカウトは出来ない…。そう考えると、注目すべきは一年生や中等部の高学年か…」

 

学校のルールと、それにあわせたプロデュースの計画を練りながら歩いていると、一人の女性ととすれ違った。

 

「……ね、ねぇあなた!」

 

呼び止められたのは自分か?

 

そんな疑問を抱きながら振りかえると、そこにはまっすぐ瑠和を見つめる高等部の女生徒がいた。

 

ウェーブのかかった美しい金髪は毛先が赤く、メッシュだろうか、金髪の中に所々に赤い部分も見える。整ったスタイルに美しい顔立ち。

 

見るからに「アイドル(偶像)」というような少女が、そこに立っていた。

 

「僕?」

 

「あなたっ!ひょっとして、天王寺…瑠和…じゃない!?」

 

ピタリと名前を言い当てられる。はて、この少女と自分は一度でも会ったことがあるだろうか。特に名のある人間でもない自分が名前を知られている理由にはならない。

 

「君………は」

 

「覚えてない!?私よ!星南よ!十王星南!!」

 

十王といえばこの学校の理事長の名前だったかなどとぼんやり思い出す。理事長の娘だか孫だかとなると、この少女と会うタイミングといえばどこだろうと考えていると、瑠和の脳裏に声が響いた。

 

「私はね!いつか必ずあの夜空に輝く星のようなアイドルになるの!」

 

記憶の中でそう笑う少女の面影が、いま目の前にいる少女と重なる。

 

「…………星南?」

 

「思い出した?」

 

それは、十年以上も前の話だ。

 

瑠和の両親は十王家や倉本家のような大きな家系を持ってはいない。しかし、とある伝てで十王家が開いたパーティーに呼ばれたことがあったのだ。

 

そこで、幼いころの瑠和と星南は出会っていた。

 

 

 

―食堂―

 

 

 

思わぬ再会を果たした二人は食堂で軽くお茶をした。

 

「まさか、こんなところで再開するなんてね」

 

「君も随分立派になっ……なりましたね」

 

「………何なの?その変な敬語」

 

瑠和は妹がいることもあり、年下相手には距離感の近い言葉を使ってしまう。プロデューサーになるということで瑠和は改めて言葉遣いを気を付けようとしていた。

 

「変かな…?」

 

「苦手なら無理する必要ないと思うわ。ため口でアイドルと会話するプロデューサーも多いし。ところで、どうしてここに?」

 

「どうしても何も、それが僕に一番適正があると思ったからだよ。高校の時はスクールアイドル部のマネージャーをやってたからな」

 

「ああ、部活でアイドルやってるっていう……なるほどね…」

 

「………そういう君は、昔っから変わらないな」

 

「星南でいいわ。当たり前でしょ。物心ついた時から、私はアイドルだったんだから」

 

「………ま、頑張れよ、星南。応援してる」

 

瑠和は飲んでいたお茶をすべて飲み干すと、席を立った。そのことに、星南は訝しむ。

 

「………そういうあなたは変わったわね。昔はもっと………そう。キラキラした眼をしていた」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

瑠和が入学してから、二週間が過ぎた。授業の履修登録も完了し、忙しい日々が始まった。しかし、この日、瑠和は中庭で昼寝をしていた。

 

「あら、いくら一年生とはいえ、いくら何でも怠けすぎではないかしら?」

 

声がした。瞼を開くと、そこには星南が立っていた。

 

「……空コマってやつだよ。そういうお前は?授業中じゃないのか?」

 

「もう昼休みよ?どれだけ寝てたのかしら?……………ちょっとあなたが気になって………ね。昔に比べて随分と……濁った眼をしている」

 

そういわれ、瑠和は一瞬ハッとした。星南の言葉が図星だったのか、別のことに気づいたのか、わからないが瑠和はそのまま寝がえりをうつ。

 

「ずいぶんメルヘンなことを言うな」

 

「似合わないかしら?」

 

「いいや……………生憎、俺はお前と違って輝かしい未来を夢見ながらここに来たんじゃない」

 

「どういう意味?」

 

「これからプロデュースするであろうアイドル達には申し訳ないが、責任が重くて、忙しい方が何も考えずに済むって思ったから来た。僕は、きっとサポートする方が向いてるしな」

 

「……そう」

 

星南はそれだけ返すと、瑠和の隣に座る。

 

「随分あっさりしてるな」

 

「………どうして?とでも聞いてほしかった?」

 

「いいや」

 

その返事から少しだけ沈黙が生まれた。春先の心地よい風が吹く中、瑠和は横目で星南を見る。まっすぐ前を見つめるその姿勢は今の瑠和にはまぶしいものだった。

 

「ねぇ、もしよかったら、私のプロデュースしてみない?」

 

星南の提案に、瑠和は笑う。

 

「ははっ…冗談はよせよ。これまで一級の指導を受けてきた君を僕が?僕はただの凡人だよ」

 

「私だってただの凡人よ。一級の指導を受けないと輝けない星。でも、だからって夢を諦めたり、特別な環境に甘んじるつもりもない。私は頂点に輝きたい。つまりは『一番星』。そこにたどり着くのに、プロデューサーの力は確実に必要になる」

 

星南は真剣な目で瑠和を見た。その態度すら、瑠和の疑念を深めるだけだ。たかが十数年前出会っただけのに、なぜこんな自分を欲するのかが見えてこない。

 

「そもそも僕はまだ一年生だ。プロデュースはできないよ」

 

「ならこうしない?私は今年、HIFに参加する。それで、もし、私が優勝できなかったら私をプロデュースする。それでどう?」

 

「………なんで僕にそんなに執着する?ほかにもプロデューサーはいるだろ?」

 

「私はおじい様……十王理事長の孫娘だから」

 

「ああ……」

 

星南の言いたいことはなんとなくわかった。この学校の理事長の孫娘となればそれをプロデュースする責任は、普通のアイドルに比べて何倍も大きいものとなる。自分からプロデュースしようなんてもの好きはいないのだ。

 

「わかったよ。じゃあ、考えておくさ」

 

 

 

―現在―

 

 

 

「それで一年の時は優勝できなかったから約束通りプロデュースしてもらったってことよ」

 

「………ちなみにその時の恩恵はどれくらいのものだった?」

 

「そうね………彼自身、そこまで何もしていなかったわ。私のレッスンメニュー見直して、食事管理をしてくれて………本当に()()()()()はしてなかったわ。けれど、一年の時に比べて私の実力は確実に伸びた。私自身が限界だと感じるほどに」

 

「最低限のサポートで、最大の恩恵……か。確かにプロデューサーとしての実力はなかなかのものの様だな」

 

「だけど、彼はそれ以上はしてくれなかった。なんだか機械と一緒にいるみたいだったわ」

 

「それが会長が言ってた「見てくれない」っていうことですか?」

 

莉波の問いに星南はうなずいた。燕もようやく星南の言い分に納得したのか、それ以上は尋ねようとしなかった。

 

「………はぁ」

 

「気持ちは理解してやるからとりあえずそのため息をやめろ」

 

 

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