※妖々夢編と萃夢想編の間(春→夏)に日暮がやってそうなこと※
・人里での花見。
・香霖堂でも花見。
・草の根妖怪で花見。場所はたぶん湖の畔
・博麗神社での花見は日付が被ったので行ってない(という設定)
・衣服も夏服に
・香霖堂「霧雨の火炉」with日暮
・妖々夢編で言っていた咲夜ちゃんへの洋服プレゼント。
月 日 ( )
じめっとした梅雨も通り過ぎ、じわじわと蝉の鳴き声も存在感を出してきた今日この頃。ふと我に帰って「俺ってなんでこんな所に来てまで働いてるんだ……?」とか考えてしまうが、もちろん今日も出勤。仕事は無断でサボらないという真面目さが俺の自慢なのだ。
ちなみに面接時の自己PR用の自慢。
遡ることおよそ一ヶ月弱。
霊夢ちゃんを初め、香霖堂へ来たことのあるような輩が呼ばれてもいないのに自然と集まり、持ち寄った酒で花見をした香霖堂裏手だが、もちろん今となってはあの桜の花も影も形もなく、鈍い人だと一目で桜だとは思わないような葉桜っぷりである。
確かに騒がしいと言えば騒がしかったが、あの時花見に来た人の中の極一部の律儀な連中が、珍しく金を払って商品を買って行ってくれたので、そう悪い物でもなかったと思う。是非もっと花見してお金を落として行ってほしい。
が、桜が散ってしまったのでもう客も来ず収入もない。
もしやあの花見の時に追いやられた閑古鳥が、その時の欝憤を晴らすかのように泣き叫んでいるのだろうか。今日に至っては霊夢ちゃんや魔理沙ちゃんも来なかった。
なぜ初夏も過ぎたような今頃になって花見の話をしたのかと言えば、何でも未だに博麗神社では度々花見と銘打って宴会が催されているとの情報が入ったからである。
これはあれだろうか。夏に桜が咲くという幻想が以下略。
秋桜と言えばコスモスだし、冬桜と言えばそういった品種の桜があるが、夏に桜というともう葉桜しかないと思うが、幻想郷の住人は葉桜を見て花見をするのだろうか。
いくらなんでもそんな無理やりな花見は無いと思うが。さて。
そういえば今日は久々に蛮奇さんが部屋にいなかった。どうやら、去年の夏のように夜な夜な湖に遊びに行く生活リズムに戻ったようだ。
部屋で一日中寝転がっているよりかよっぽど健康的であろう。
月 日 ( )
いやまぁ、今日もパッチワーク一号君と人里で働いていたのだが、今日語るべきはそのことじゃあない。つい先ほど、未だに時計を手に入れていないので分からないがまぁ夜中、命知らずとも思えるが俺は博麗神社の花見に行ってきたのだ。いや宴会。
そう、宴会である。
日記に書いたのは昨日だが小耳にはさんだのは数日前という、あの博麗神社で未だに開催されているという花見。その実態が気になって(途中で逃げられたが)蛮奇さんを連れて博麗神社に赴いたのだ。
しかも蛮奇さんに聞けば、なんでも前回の博麗神社の宴会からたったの四日後にまたやっているというのだ。意味が分からない。そこまで酒に飢えているのだろうか。頭まで春になったとか。
そんな魔郷に足を踏み入れてみれば、何やら金髪で大人っぽい凄い女性や桃色の髪のおっとりした女性やら、色々見知らぬ女性が何人もいて到着早々に早速後悔したのだが、主催だと思われる霊夢ちゃん(ほろ酔い)に見つかって名前を呼ばれてしまったので帰るに帰れず、初見の人……妖怪らに挨拶しつつ自己紹介しつつ宴会に参加した。
ちなみに、主催というか幹事は魔理沙ちゃんらしかった。
初見だったのは金髪で夜中なのに日傘を指していて何やら霊夢ちゃんから無碍に扱われていた、何でも大妖怪らしい八雲紫さん。それから、その八雲さんの友人で妖夢ちゃんの主人である桃色の髪の、従者が従者なら主人も主人であると言える亡霊という種族であるらしい西行寺幽々子さん。
西行寺ってのはどこかで聞いた覚えがある。
その後酔いが回って上機嫌な魔理沙ちゃんから紹介されたのは、魔理沙ちゃんと同じく魔法の森に住んでいるらしい御同業の魔法使いであるアリス・マー……なんだったかな。マーガトル?マーガトイド?なんかそんな感じの金髪の美人さん。脇に人形がふわふわしてた。
それからもう一人、あの真っ赤な館に住む本の虫であるパチュリー・ノーレッジさん。紫色の髪と同色の寝間着のような洋服。病弱そうな見た目をしていたがかなりの腕の魔法使いだそうだ。
人の名前を覚えるのはさほど得意ではないが、妖怪や妖怪に関わる人物はみんながみんな特徴的な見た目をしているので覚えるに困らない。……もしや上白沢さんのあの奇妙な帽子にはそういった意図が?
……それはともかく。そんな彼ら彼女らに対して、俺の名前は凡庸だし見た目も平凡なので覚えにくかろうと思っていたが、皆頭がいいのか一発で名前を覚えていた。おお怖い怖い。
まぁ、そんな感じに初見の妖怪が多くて少々尻ごみしていたが、次第に緊張もほぐれまぁまぁ面白かった。ただ、咲夜ちゃんが何だか妙に疲れていたので宴会の料理やら片付けを手伝ってきた。一仕事でもしてきた後なのだろうか。
あとレミリア嬢は紅魔館の主だし、西行寺さんも冥界のお偉いさんだと聞いているが、その彼女等と肩を並べて談笑しているあの八雲さんは一体どんな大物妖怪なのだろうか。気になる。
一応、好奇心は猫をも殺す。と肝に銘じておこう。
月 日 ( )
さてさて、客は来ないが冷やかしは来る。安定の香霖堂である。
俺が覚えている限りではかなりのペースでかなりの量の酒を飲み干していたはずの霊夢ちゃんが、あっけからんとした様子で香霖堂にやってきたのにはさすがに驚いたが、もう霊夢ちゃんの事は半ば妖怪だと思って接することにする。
で、折角なので昨日の宴会は果たして何だったのか聞いてみたが、なんでもやりたかったからやったというか、妖怪が集まってきて宴会になってたというか、そんな曖昧な感じらしい。
そんなんで誰も疑問に思ったりしない辺り、妖怪とかその関係者って妙に適当だよなぁと。
いや、幻想郷の住人は皆心に余裕があるということなのかもしれない。気付いてはいるんだけどまぁ放っておいても平気かな?みたいな。
俺もまだまだということか。精進せねば。
なんやかんやでタダ酒が飲めるから、宴会もいいもんよねぇ……。と、若い女の子らしからぬことを言っている霊夢ちゃんであった。
会場が自分の神社であっても料理を出してやろうという気はないらしい。
思い出したように俺が口に出した、でも結局あれは桜も散ってたし花見ではないよな。というツッコミに対して、霊夢ちゃんは「咲いてるか咲いてないかなんてどうでもいいのよ。誰かが花見って言ったんなら花見でいいじゃない。誰かが困るわけでもないし」と一蹴。
うわぁ。と俺が反論も考えずにいると、「でもなぁんか怪しいのよねぇ」と言いだし瞑目して考え込んでいた。いつになくシリアスである。
ま、事件は霊夢ちゃんの家で起こっているんだ。当事者に任せよう。
月 日 ( )
今日は休日だったが、蛮奇さんが仕事に加えて霧の湖から朝帰りという行動パターンになったので、日中蛮奇さんが寝ている間は俺が暇になるというぼっち故の悲しい休日に戻ってしまった。
友人が人外ばかりだとこうなるのか……。
そんなわけで日中は、順調に夏になって行っているのでストーブを使わなくても大丈夫になり、その結果浮いたストーブの燃料用のお金を懐にしまい、パッチワーク一号を引っ張りながら人里を歩きまわっている際に目を付けておいた本屋――否、貸本屋へと足を運んだ。
その貸本屋の名を「鈴奈庵」という。
さて、貸本屋とは俺がいた外の世界では既に廃れたタイプの本屋である。
その商売内容は読んで字の如く本を貸すことであり、すなわちレンタルビデオ店の本Verであり、つまり外の世界では廃れて当然であった商売である。
なにせタダで、尚且つそれなりに高品質のまま管理された本が借りられる図書館という物が存在するのだ。有料で、尚且つそれなりに埃塗れだったりする本が借りられる貸本屋は、商売あがったりだろう。
ではなぜそんな店が存在したのかというと、ご存知の通りかつては紙の価値が高く、そして本の価値が高かったためである。
とまぁ基礎知識を披露したところで、本日行ってみた鈴奈庵の話に入ろう。
入って真正面に見えたカウンターに居座っていたのは、なんと霊夢ちゃんや魔理沙ちゃんと同年代だと思われる女の子で、俺も久々に見た眼鏡っ子であった。人里にもいたのか。あとカウンターの上に乗っかっていた蓄音器が古道具屋店員としてとても気になった。
実に大正モダン。よく知らないけど。
その女の子の名前は本居小鈴というらしく、名前になぞらえたのか髪留めに鈴が付いていて、話してみれば意外に愛想のいい活発な子であった。本屋の娘っ子だから大人しい子かと一瞬思ってしまった俺の予想を大きく裏切り、天真爛漫かつ好奇心旺盛であるようだ。
自己紹介の後、もはや本を見に来たという目的そっちのけで小鈴ちゃんと話していたが、なんでも彼女は稗田の阿求嬢とまあまあ親しいらしく、俺の話も少し聞いていたらしい。やたら外の話を聞いてきた。いやはや幻想郷って狭いな。
俺の適当な外の世界の話が終わると、小鈴ちゃんはすぐさま、鈴奈庵の本はほとんどが外来本なんですよ!と宣伝を始めた。かと思えば適当な本を抜き取り詳しく解説を始めた。きっと将来大物になると思う。
折角なのでいくつか見覚えのある本を借りて帰った。
外来本であるなら口語体の文章なので読める。
月 日 ( )
さてまた休日。
昨日借りた本を読んで日を潰すというのも悪くないが、この本は香霖堂で閑古鳥の鳴き声に耳を傾けながら読むと決めているのだ。今日読むわけにはいかない。
そこで今日は、というか今日も、人里をぶらぶらすることにした。
さすがにもう、幻想郷へ来て一年近く経つので今更真新しい発見もなかったが、少々昼飯には早い時刻に入った軽食屋で凄い物を発見してしまった。
なんと軽食屋の壁に大きな鎌が立てかけてあるのだ。
どうみても実用的ではないような、刃がうねっている歪な鎌であったが凶器であることに変わりはなく、俺は暫し店に入った姿勢のまま固まった。
そして店内に唯一いた先客の、うどんをすする音で我に返り、俺はそのうどんをすすった客――壁に立てかけている鎌に手が届くような位置の席に座っている赤髪の女性に目をやった。
はて、和服ではあるがおそらく人里の人間ではあるまい。と、髪の色と壁の鎌でそう勝手に判断した俺は半ば調子付いてその女性の一つ席を開けて隣に座り、いつも頼んでいる定食を注文した後、その女性に話しかけた。
肩書が死神だったり鎌は飾りだったり今仕事をサボって飯食ってるんだとか色々面白い話を聞けたが、一番驚いたのは彼女の一人称が「あたい」だったことだろうか。
ぶっちゃけ少し感動したので握手してもらった。苦笑いだったが。
名前は小野塚小町というらしい。
軽く自己紹介や話をして彼女はさっさと店を出て行ったが、また会えないだろうかと期待。
しかし死神ねぇ……。確か幻想郷には三途の川が流れてたと思ったが……どこだったかな。
今度調べてみるか。
そうだ。今日の帰りがけにちらっと寄った酒屋で店主が、最近やたら高い酒が良く売れるだと嬉しい悲鳴をあげていた。
おそらくだが、その酒を買って行っている客は赤い館のメイドか死後の国の庭師かその辺だろう。まぁあんな金に困ってなさそうな輩が宴会に参加するのだ。霊夢ちゃんがタダ酒が飲めると喜んでいたのもよく分かる。
月 日 ( )
休暇が終わったので香霖堂へ出勤。
んで、いつも通り客も来ず無駄話に花が咲き、貸本屋で借りた本をペラペラと読み進めただけの一日だったのだが、今日も重要なのはそのことではなく、またもや行われた花見である。
いやだから花咲いてねぇだろってことで宴会と呼称しよう。
またやってんのかーマジかーという軽い感じで足を踏み入れてみれば、顔ぶれは前回と一緒。自己紹介も済んでいるので俺もそれなりに楽しめた気がする。
ただ、なんだか時折向けられる探るような視線を疑問に思った。
はて、一体何を疑われているのか。
丁度隣にいた魔理沙ちゃんに「俺なんかしたかな?」とか聞いてみれば「そういや日暮は酒を持ってきてないな。宴会なんだぞ、宴会」と背中をバンバン叩かれながら上機嫌に言われたので、次から参加するときは酒を持ってくるかと思った。
まさか自由奔放な妖怪達から宴会参加時の暗黙のマナーでケチ付けられるとは。
前回は咲夜ちゃんが疲れたような雰囲気を醸し出していたが、今日はアリスさんがしきりに溜息をこぼしていて暗い感じだった。なにかよくないことでもあったのだろうか。と、仲良くないながらも少々気になった。
そうそうアリスさん。
数日前は下の名前だかファミリーネームだかがあやふやだったが、つい最近の文々。新聞の「神社の裏の木に大量の藁人形」という記事に名前が載っていたのを思い出した。
その記事によればフルネームはアリス・マーガトロイドさんだそうだ。英語は嫌いだったのでスペルの想像もつかない。Marga……tloid?うん。考えないようにしよう。手紙を出すわけでもないのだ。
相変わらず両サイドで人形がふわふわしていた。
次会ったら触らせてもらおうと一人決心した。
月 日 ( )
五日に一度の俺の稼ぎ時。パッチワーク一号の出番である。
今日もそれなりに売れて満足。ちなみに真っ先に売れた品は園芸用品だとおもわれる小人の置物。不思議の国だか鏡の国だか……いや、間違えた。七人の小人はシンデレラだったか?多分その小人が元だと思われる小物であった。
香霖堂の出張販売のおかげか、俺もだいぶ人里に馴染んできた気がする今日この頃である。
最近では人里の子供たちが俺の事を道具屋の兄ちゃんなどと親しげに呼んでくるので、嬉しさ半分戸惑い半分。人里で道具屋というと霧雨店だろうに。
子供たちが道具屋の兄ちゃんと呼ぶので、時たま道具の修理なんかも依頼されるが、そういうのは専門ではないので素直に霧雨店を紹介することにしている。いや、森近君ならできるんだろうけど、そうなると一日かかるからね。
にしても、道具屋の店員と聞くと道具のことなら何でもできると思われてしまうのか。うーむ、ただの売人というか雑用係みたいなものなんだけどなぁ。
いやはや、困った困った。
なんなら、俺も昔の森近君みたいに弟子入りとかするべきだろうか。森近君に弟子入りしたら技術よりも知識だけが身に付いて頭がパンクすると思うが。
そこんとこどう思う?と、家を出るところだった蛮奇さんに尋ねてみたら、別に道具屋になりたいわけじゃあないんでしょう?だったらそんな必要無いじゃない。と、手をひらひらさせつつ言って、さっさと去って行った。
俺もそんなに悩んでないということを感じ取ったのだろうか。非常に適当だった。
2016/4/11 落ちた画鋲を拾って元に戻す程度の修正をしました。