メティー&ベルのアトリエ ーオラリオの錬金術士ー 作:斎藤 晃
不思議シリーズの掛け合いは大好きでした。
アイテム図鑑No.XXX 生きてるナワ+α
アイテム図鑑No.XXX 生きてるナワ
ある日のこと。アストレアファミリアのマリュー・レアージュが僕のアトリエを尋ねてきた。
まあ、アトリエとは言っても礼拝堂だった場所の瓦礫や椅子とかを撤去して、錬金釜を置いただけだけど。要らなくなった椅子は”アルゲイン版”に加工し、瓦礫は”簡易石材”の材料にして、少しずつアトリエらしく作り変えているところなのだ。
そんな僕のもとに、マリューさんはあることを頼みに来たのだった。
「無傷で犯罪者を捕まえる道具ですか?」
「そうなんだよね。この間引ったくりをした冒険者を捕まえようとしたら酷く傷つけてしまって。相手がレベル1ということもあったんだけど、うまく手加減できなくてひどい怪我をさせてしまってね…。」
マリューさんはレベル3の
「警邏活動で必要な道具ってことですね?」
「そうだよ! 私は皆よりも非力だから、ついつい力を込めてしまうけど、レベルが下の人相手だと上手く力加減が出来ないから困ってるんだよ!」
マリューさんの声にはあまりにも切実な願いがこもっていた。
だから、僕はこう返すしか無かった。
「僕に任せてください!」
美人の
僕はこれまで攻撃アイテムや回復/支援アイテムは作ったことがあるけれど、それ以外のアイテムを作った経験はとても少なかった。
そんなわけで、僕はお母さんを頼る羽目になったのだった。
「無傷で人を捕まえるアイテムねぇ。」
お母さんは暫く視線を上へと向けた後、僕に答えをくれた。
「生きてるナワとか、イバラの抱擁とかかしらね。」
お母さんの言ったアイテムはどちらも聞き覚えのないものだった。
いや、1つだけ聞きたくなかった言葉が聞こえてきた。
「生きている…?」
「『生きてる』という特性があるのよね。それがついているアイテムって、自分で動いたりするのよね。ほら、覚えてない? ヘルミーナさんの作った生きてるパイ*1のこと。」
…アレは酷い思い出だったよね。ヘルミーナさんが作った生きてるパイは、悪ノリでヘルミーナさんが作り出した無限に食品が湧き出るという薬品*2も相まって、人間を襲いかかってくるヤバいパイが無限に出てきて酷い目にあった事があった。
僕はアレに群がられて、転倒させられた上に穴という穴から甘ったるいチョコやクリームが…。
あのせいで僕は甘いものが駄目になったんだよね…。
「…それってすごくやばいんじゃあ…。」
「きちんと管理できてれば大丈夫なはずよ。そう、管理できてればね…。」
お母さんもあの出来事には何か言いたいことがあったようだった。
僕はそれを汲み取って、こう答えた。
「そ、そうだよね…。」
僕はとりあえずお母さんに教えてもらった2つのアイテムを作ってみることにした。
「というわけで作ってきました。」
それから暫くして、僕は『星屑の庭』へとやってきていた。
マリューさんに頼まれた、犯罪者を捕まえるアイテムを持ってきたのだ。
「それで、この生きてるナワとイバラの抱擁を作ってきたのですが…。」
生きてるナワの方はまだいい。動きはキモいけど、無害だ。敵意もなく、甘くもないって素晴らしい。
「うわ、動きがキモッ!」
生きてるナワを見せたところ、マリューさんから容赦ない言葉が出てきた。
とは言え、使い方を実演して見せたらマリューさんは喜んでくれた。
「キモいけどすげーな。でもレベル4のあたしなら、ふんっ! ってあれ? 抜け出せない?」
実演した相手はライラさんだった。偶然居合わせたので、相手になってやると言ってくれたので、遠慮なくグルグル巻になってもらったのだ。
ライラさんはその状態から抜け出そうと力を入れるが、その瞬間に絶妙な具合でナワが緩んでしまい引きちぎれないようで、全然抜け出せる様子は見られなかった。
「レベル4でも拘束できるって凄いよ! これがあれば傷つけずに捕まえられるよね!」
「見た目はキモいけど凄いなこいつは。」
生きてるナワに指示して、ようやく解放されたライラさんも絶賛してくれた。
「で、もう一つのこいつはどういうものなんだ?」
「それが、実はですね…。」
一応持ってきたはいいが、イバラの抱擁は今回の依頼では使えそうもなかった。とは言え、せっかく調合したのだし、ダンジョンなどで使えないかなと思い持ってきたのだ。
「これも基本的には相手を縛る道具なんですけど、毒を与えちゃうんですよね…。」
「駄目じゃねーか!」
結局イバラの抱擁も一応アストレアファミリアが引き取ってくれた。ダンジョンに潜った時にでも使ってみるということだった。流石に警邏活動では使えないし、それが当然なんだろうけど。
こうして、僕はまた1つ依頼を達成した。
アイテム図鑑No.XXX 生きてるパイ
新鮮ピチピチのパイ。味はチョコとカスタードとプリンのうちからどうぞ。
自我と知性があるから、自分が食べられるために作られたと理解している。
生き残るために人間に攻撃を加えてくるから、気をつけて食べよう。
ベル
「パイは嫌だ。甘いものは嫌だ。」
アーシャ
「ああ、うん。あれはひどい出来事だったな…。」
イクセル
「錬金術士ってやつはどうしてこう、皆アレなんだ?」
メティー
「何いってんの、食材もお菓子も新鮮な方が美味しいに決まってるでしょ!」
一同
「「「!!?」」」
アイテム図鑑No.XXX 生きてるナワ
命令すると思い通りに動き出す魔法のナワ。敵をぐるぐる巻きにして、動きを止めちゃったり出来る。
これを応用すればいろんな生きてる道具が作れるよ。
見た目がヘビみたいでキモいけど。
ベル
「拘束用の道具です。荷造りには使えませんでした。」
ライラ
「なんか最近、街ではあたしたちが特殊な趣味に目覚めたとか言われてるんだけど。」
輝夜
「試行錯誤を繰り返していますが、芸術的な縛り方が出来て素晴らしいです。一部の男神にも何故か人気なようです。」
アストレア
「この間ヘルメスがやってきて、ちょっと特殊な事に使いたいから、売ってくれないかとか言われたんだけど…。」
アイテム図鑑No.XXX イバラの抱擁
イバラが湧いて出てくるという液体。
この液体をかけられると、イバラに絡まれ身動きができなくなってしまう。
作り方によって様々な毒を付与することができる。
ベル
「拘束用アイテムその2です。」
マリュー
「これ攻撃アイテム! 私が欲しいものと絶対に違うから!」
リオン
「上手く使えば、強力なモンスターでも足止めが出来そうですね。」
アストレア
「ヘルメスには、不思議なナワの代わりにこれを渡そうかしら…。」
電波(天啓)が降りてきたので書きました。
書いてて面白かったです。
紅白アトリエでは図鑑での掛け合いが復活したようで嬉しい限りです。(まだ買ってないけど。)