メティー&ベルのアトリエ ーオラリオの錬金術士ー   作:斎藤 晃

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思いついたので投稿します。

今回のアイテム図鑑はDSのリーナのアトリエから持ってきました。
リーナのアトリエは、私が始めて遊んだアトリエシリーズの作品です。
これを書くにあたって、ゲームを探しましたが見つからなかったので、うろ覚えの記憶と想像で補っています。(多分DS本体共々売り払ったと思われる。)


アイテム図鑑No.XXX プティングソード

 

 

 

その日、僕はアストレア・ファミリアの本拠地『星屑の庭』へとやって来ていた。アイテムの納入ではない。商品の運搬や集金などはリリがやってくれているから、僕は調合に専念できる。

では何故僕がここにいるのかというと、ライラさんが助けを求めてきたからである。

 

『セシルがまた引きこもった。しかも今度は1週間も経ってるから、何とかしてくれ。』

 

 セシルさんはこれまでも何度か部屋に引きこもっていたことがあったらしい。その理由は大抵が錬金術絡みなので、今回も僕が原因だろうと当たりをつけて、僕になんとかしろと言ってきたのだ。これって僕の責任なのかな?

 

 という訳で僕は『星屑の庭』へとやって来ているわけだけど、僕一人では心細いのでヴェルフにもついてきて貰った。鍛冶師同士、なにか分かり合えるものがあるかもしれないし。

 

「いや、俺にそんなもん期待すんなよ。それに俺だってなにかショックなことがあれば、セシルみたいに引きこもるかもしれないぞ。」

 

 ヴェルフはそんな事を言いながらも、ついてきてくれる辺り気の良い人だと思う。年齢も上なので、兄貴分というやつだろうか。

 

 それはともかく、詳しい話をライラさんに聞くことにした。応接間で話をするにあたり、ライラさんは狼人の女性を1人連れてきていた。彼女の名前はイセリナさんといい、セシルさんの同期にあたるレベル2のアストレア・ファミリアの団員だ。セシルさんがオラリオに来る途中で出会い、話が弾んで一緒にオラリオへやって来たという。2人とも行き当たりばったりで多くのファミリアの戸を叩いては断られてしまい、ようやくたどり着いたのがアストレア・ファミリアだったという。

 

 以前聞いた話を頭の中にある押し入れへとしまい込み、僕は2人の話を聞いていく。けれど、どうも2人にも引きこもった原因やきっかけは分からないらしい。分かっているのは、1週間ほど前から部屋から出てこなくなったということだけなのだという。一応声をかけたりはしているけど、返事はないらしい。

 

「引きこもったと言ってもな、前回の時は星火鳥(スター・ファイヤー・バード)なんてもの作るためだったわけだろ。今回もそうじゃないのか?」

 

「それはアタシにもわかんね。ただ、今回は期間が長すぎるんだよ。一応食事とかは扉の前に置いてるのを食べてるらしいけど、こちらとしてはいい加減出てきてほしいんだよ。それに巡回の仕事とかもあるしな。」

 

 ヴェルフはセシルさんが部屋に引きこもって、なにか作っているのではないかと疑っているらしい。セシルさんの部屋は、屋敷の庭にある離れに工房と一体化して存在しているという。鍛冶師の商売道具である炉や鍛冶道具に加えて、騒音の問題などもあって離れに工房兼住宅として部屋をあてがわれているらしい。

 

「セシルは結構思い詰める時があって、そうなったら暴走してしまうんですよね。今回もそうじゃないかと思うんですけど……。」

 

 イセリナさんはなにか思い詰めるような出来事が、セシルさんにあったのではと心配していた。この中で1番セシルさんと付き合いの長い彼女がいうのだから、多分そうなのだろう。問題は、彼女にもその出来事がなにか思い当たることがないことだった。

 

「とりあえず離れに行きましょう。」

 

「だな。これ以上は分かることはなさそうだし。しかし工房兼住宅か。俺だってそんな物があったら引きこもるだろうな。鍛冶師にとっては最高の環境じゃねえか。」

 

 離れに行こうと僕が言うと、ヴェルフもそれに同意してくれた。ただ、ヴェルフはセシルさんが引きこもった原因は住環境にあるのではと考えているようだった。僕もそうだけど、クラフターというものは一度熱が入ると周りのことが目に入らなくなることがあるからだ。部屋と工房が一体化してしまっていたら、引きこもってしまうのは極当たり前のことなのかもしれない。

 

 離れには1分ほどで到着した。人数の割に広いとは言え、20人にも満たないアストレア・ファミリアの敷地なのでそんなものだ。離れは思っていた以上にしっかりとした作りで、煙突も結構な高さがあった。煙突の高さは通風の強さにも繋がる*1ので、かなり本格的な炉を備えた工房ということが分かった。

 

「全く羨ましいぜ。」

 

 ヴェルフはそんな事を言いながら、離れの扉を叩いてセシルさんに呼びかけた。だけど何も返ってこない。再度扉を叩くがやはり何の返答もなかった。

 

「もしかして中で倒れてたりとか?」

 

「いや、煙突から煙が出てる。鍛冶をしてる証拠だな。」

 

 イセリナさんが悪い想像をしていると、ヴェルフが上を見上げながら呟いた。炉は当然ながら燃料を供給しなければ燃え続けない。煙が出ているということは、燃料を供給し続けている誰かがいるということだ。つまり、セシルさんは元気に鍛冶をしているということになる。

 

「はぁ、仕方ねぇ。鍵開けて入るとするか。」

 

 ライラさんは1週間も引きこもって鍛冶をし続けているセシルさんに呆れているようだった。その上で、部屋からセシルさんを引きずり出す決心をしたようだった。

 

 ライラさんは腰のポーチから何かを取り出して、扉の鍵穴に差し込んでガチャガチャいわせていた。これってもしかしてピッキングというやつでは?

 

 目の前で正義の眷族が同派閥とはいえ、他人の部屋の鍵を開けて無断で侵入しようとしている姿を見て、僕はどうすべきか迷ってしまった。ヴェルフをちらっと見ると、頭を横に軽く振っていた。これは派閥内部の問題なので、僕たちが介入すべきではないということだろうか。あとでライラさんが怒られなければいいけど。

 

 部屋の中は蒸し暑くて汚かった。1週間も閉じこもって鍛冶仕事をしていたのだから当然だけど。セシルさんはそんな中でも、炉の前に陣取って一心不乱にハンマーを振り続けていた。僕たちが入ってきたことにすら気づかない様子でハンマーを振っていたかと思うと、壁際の棚へと移動し何かを取り出してから金床へと戻り、再びハンマーを振ろうとしていた。

 

「おい、馬鹿止めろ!」

 

 その瞬間ライラさんとイセリナさんが一瞬でセシルさんのところへと移動して、セシルさんの体に抱きつくように掴みかかって必死に止めようとしていた。ヴェルフはセシルさんが持っていたフラムを奪い取るとセシルさんと炉から距離を取った。

 

 そう、セシルさんが棚から取り出したのはフラムだったのだ。フラムをあろうことか炉の近くの金床で、思いっきりハンマーで叩こうとしていたのだ。それを理解した時、僕は背筋が凍る気分だった。なんて危険なことをするんだ。

 

「離して! 私はやらなくちゃいけないのよ!?」

 

「あー、この馬鹿。いい加減にしろ!」

 

 暴れるセシルさんに、堪忍袋の緒が切れたのかライラさんが鋭い一撃をみぞおちに打ち込んだ。「うぐっ。」とうめき声をあげて力なく倒れ込むセシルさんを、イセリナさんが抱き上げて近くのソファーへとゆっくりと横たわらせた。

 

「ふー、なんとか間に合った……。」

 

「というか、セシルって何をしてたの? 正直自殺するようなタマじゃないと思うんだけど。」

 

 ライラさんとイセリナさんが、セシルさんの眠っている顔を覗き込みながらそんな話をしていた。一方でヴェルフは棚に置いてあるものや、壁に立てかけられていたり、床に乱雑に散らばっている武器の数々を興味深そうに調べていた。僕もそれに興味を惹かれて床に転がっていた剣のひとふりを持ち上げてみる。

 

「なにこれ?」

 

 錬金術で作ったわけではないので効果や特性はないけど、それでもこの剣の異質さは僕でも見て取ることが出来た。というか、これって本当に剣なの?

 

「どうやらセシルは色んなものを材料に武器を作ろうとしてたみたいだな。ほら、こいつなんてポーションを材料にしてやがる。」

 

「は??? ポーションなんて武器の材料になんてならねえだろ?」

 

「それを無理やりしていたみたいだな。どうやったらそんな発想に至れるんだよ……。」

 

 ヴェルフは頭が痛むのか右手で頭を押さえていた。本来なら装備材料にならないものを材料にする。その奇天烈な発想に流石のヴェルフもドン引きだったようだ。ライラさんもその事実に開いた口が塞がらないほど驚いた様子だった。

 

「多分さっきのフラムも材料にしようとしてたんだろうな。」

 

 ヴェルフが指差した棚には、フラムだけではなくレヘルンやドナーストーンも置いてあった。これを材料に武器を作ろうとしていたのか……。一歩間違えなくても大惨事である。

 

「ところでさ、薬や爆弾を材料に武器って作れるの? 私からしたら無理そうにしか思えないんだけど。」

 

 イセリナさんはヴェルフの話を信じられないというか困惑した様子だった。正直僕も信じられないけど、ヴェルフは本職だから多分間違いはないと思う。

 

「一応ユニコーンの角なんて薬の材料だが武器にも使えるな。あとはベルの作ったインゴットとかも材料に出来るから、他のアイテムを材料にしようというのも分からない話じゃない。が、普通は絶対にやらないんだよな……。」

 

 結局セシルさんの発想は根本からオカシイというのがヴェルフの結論だった。特に爆弾を材料にするなんて、自殺志願みたいなものだから自分なら絶対やらないとまで言っていた。

 

「う、……私、また寝てた……?」

 

 その時、うめき声をあげながらセシルさんが目を覚ました。ゆっくりとソファーから体を起こしたものの、頬はやつれ髪はボサボサで目の焦点も少し怪しかった。

 

「あー、とりあえずだなセシル。……もうちょっと寝てろ。」

 

 ライラさんはそんなセシルさんを見て、無慈悲にももう一撃頭頂部に拳骨を一発放った。セシルさんは再び夢の住民となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、僕たちは再び『星屑の庭』へとやって来た。ぐっすりと眠って元気になったセシルさんは、アストレア・ファミリアの皆や僕とヴェルフに何故引きこもっていたのかなどを教えてくれた。

 

 結局のところ、ヴェルフの考察は殆ど正解だったようだ。工房兼住居という最高の環境で、自らブラック労働に勤しんでいただけのことであった。星火鳥(スター・ファイヤー・バード)の成功もあり、色んなアイテムを発動体として武器を作ろうと研究し続けていたのだと言う。

 

「研究熱心なのもいいけどね、私たちも心配したんだからね。」

 

「うっ、すいません。」

 

「全くだ。それに派閥としての仕事もある。治安維持のための巡回をお前はサボったのだ。分かっているな。」

 

「はい、申し訳ありませんでした。」

 

 床に正座したセシルさんは、アリーゼさんや輝夜さんの言葉に丁寧な土下座を披露して謝罪した。その上で、もう2度とこんな事をしないようにと約束させられた上に、罰として本拠地の掃除当番を1ヶ月させられることになった。それに加えて、工房での寝泊まりを禁止することにしたらしい。セシルさんの部屋は母屋の方に新しく用意するそうだ。

 

 ここまでは正直僕たちはここにいる必要は無かったんじゃないかなんて思ってしまった。だけど、本題はここからだと言う。

 

「セシルが作ったものがどういったものなのか知りたいのよ。セシルもあまり覚えていないようだし。」

 

「殆ど眠らずに作っていたようで、記憶が曖昧らしい。私たちでは何が何だか分からないからな。」

 

「そこで2人の出番というわけよ。さあ、何を作ったのか教えてちょうだい。」

 

 2人の言葉に僕たちは顔を見合わせた。正直言って僕にはあまり自信はなかったけど、ヴェルフは仕方ないなといった様子で承諾した。僕もそれに続いて、中庭へと向かうことになった。

 

 中庭には工房から運ばれた武器がきれいに並べられていた。長剣に短剣に槌に斧に……。様々な武器が並べられている中、一際異彩を放っているものがあった。

 

「多分これはヘビの抜け殻を材料にしたやつ。こっちはハチの巣だと思う。これは……何だっけ?」

 

「なあ、この円柱形のものは魔剣を材料に作ったのか?」

 

「えーと、確かそれをこっちの剣の穴に差し込んで使うのよ。魔剣が壊れたら次の穴に入っている魔剣に切り替えることが出来るわよ。錬金剣でも使えるから、属性の違う魔法を次々に放つことも出来るわね。」*2

 

「……これを使った奴は破産しそうだな。」

 

「凄く面白そうで心をくすぐられるじゃない。一体いくらかかるかは考えたくないけど。」

 

 セシルさんが作ったものは意外と言ったら失礼かもしれないけど、まともなものが多かった。大半のものは材料に使ったアイテムの効果を引き継げていなかったけど、武器としてはきちんと使えるようだった。

 

 ただ、ガンブレードとかいう剣は、ヘンテコな見た目の上に魔剣や錬金剣が幾つも必要なので一式揃えたら破産しそうだけど。アーシャの使っているディアマント*3を参考にしたらしい。ヴェルフ曰く「色々と無理しすぎていて、剣として使うのは無理。杖としてなら可能性はある。」らしい。杖としては優秀なのだとか。ヴェルフも杖について勉強し始めたらしくて、少しは理解できると言っていた。

 

 最も、輝夜さんもアリーゼさんは見た目よりも費用について心配していたけど。確かに面白い武器だけどこんなの買える人っていないんじゃないかな?

 

 ガンブレードのことは置いておいて、次の武器に移った。見た目は普通の片手剣だ。嘘だ。これっぽっちも普通じゃない片手剣だった。

 

「ねえ、これってプリンだよね?」

 

「そうだと思うけど……、ってシャウ何で怒ってるの?」

 

「3日前にシャウが買っておいたプリンが冷蔵庫から消えたの。」

 

「へ、へぇー。」

 

「セシル、お前が犯人かー! シャウのプリンを返してよ!」

 

「ご、ごめんなさい-!」

 

 何とセシルさんはプリンを武器の材料にしてしまっていたのだ。何でこんな物を材料にしようとしたんだろうか。一度セシルさんの頭の中を覗いてみたいと、つい思ってしまった。

 

「えーと、確かぷにぷに玉って食べられるのよね。ぷにゼリーとかにして。」

 

「そうですね。そのままでも一応は食べられますけど。」

 

 ぷにぷに玉は神秘の力と食品のカテゴリーを持つ素材である。とにかく何にでも使えるので、ぷにぷにを見つけたら狩り尽くすのが錬金術士の作法だ。どうせすぐに復活するし。

 

「だから食品も武器の材料に出来ないかなって思ってね。錬金剣みたいに、あっと驚くものが出来るかもしれないし。」

 

「それでシャウのプリンを盗まないでよ!」

 

「お前なんつー発想してんだ。言っとくが褒めてないからな?」

 

 シャウさんはセシルさんに対して怒り心頭なようだ。話を聞けば大人気店のプリンで、1時間以上行列に並んだ末にようやく手に入れたプリンを、夜食に食べようと冷蔵庫に入れておいたところ無くなってしまったそうだった。セシルさんにはっきりとした記憶はないようだけど、多分シャウさんのプリンなんだろう。

 

「と言うか本当のプリンみたいに柔らかいし匂いもプリンそのものなのに、常温に置いても腐ってないのな。どうなってんだこれ?」

 

「お願いだから俺に聞かないでくれ……。」

 

 ライラさんがヴェルフに尋ねているけど、ヴェルフも専門外すぎて分からないようで頭を抱えていた。僕も全く分からないけど、多分鍛冶師の技術ではないのだろう。『鍛冶』の発展アビリティの範疇を超えているとしか思えない。

 

「よし、セシル。アストレア様にステータスの更新をしてもらいなさい。多分新しいスキルが出てるかもしれないわよ。」

 

「へ?」

 

 そう言ったことを話し合っていると、アリーゼさんがセシルさんにステータス更新をするようにと提案してきた。アリーゼさんはこの摩訶不思議なプリンソードを見て、なにか変な……新しいスキルが発現しているのではと考えているようだった。輝夜さんたちも同意見なようで、ヴェルフも「頼む。『鍛冶』のアビリティーのせいじゃないって証明してくれ!」と懇願すらしている有様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリーゼさんはセシルさんを連れてアストレア様の元へ突撃した。突然の話に目を白黒させて戸惑っていたアストレア様だったけど、アリーゼさんから話を聞くにつれて表情が真剣なものへと変わっていった。

 

 そして、セシルさんはステータス更新をしたわけだけど……アストレア様共々頭を押さえながら戻ってきた。

 

「……セシルに新しいスキルが確かに発現していたわ。」

 

 そう言ってアリーゼさんに羊皮紙を渡した。アリーゼさんはそれを食い入るように見ていたけど、暫くすると困惑した表情をした。アリーゼさんから手渡された輝夜さんも呆気にとられた表情をしている。

 

「ベル、お前の意見を聞かせてくれ。」

 

 輝夜さんは何と僕に羊皮紙を渡してきた。ステータスを他人に、ましてや別派閥に見せるなんていいのかな?

 

「この中でセシルの新しいスキルについて語れるのはお前だけだろうからな。」

 

 輝夜さんはなにか諦めにも似た含みのある言い方だったので、仕方なく羊皮紙を受け取った。羊皮紙には基礎アビリティの数値は書かれてなく、スキルのみが書かれていた。多分他の人に見せるためにそうしたのだろう。スキル欄にはこう書かれていた。

 

 

 

粘体素人(プニ・ノービス)

 装備製造時、発展アビリティ『神秘』が非常に低確率で一時発現する。

 ※もっと頑張りましょう。

 

 

 

 僕はあまりの文言に目が点になった。発展アビリティ『神秘』は非常に貴重な代物らしい。僕もスキルで発現するらしいけど、その恩恵を実感したことはない。作ったアイテムの性能が少し上がったかなくらいのものだ。

 

 それをセシルさんは発現したらしい。けれど、凄く低い確率でしか発現しない上に、もっと頑張りましょうなんて言う応援までされているのだ。ふざけている、というか馬鹿にされているようにも思えるスキルだった。

 

「あの、アストレア様、これって……。」

 

「本当なら希少なスキルということで祝福してあげたいのだけどね……。」

 

「どう考えても天界の神々に馬鹿にされてますよねっ!」

 

 僕の質問に、アストレア様とセシルさんは渋い顔で答えてきた。どう考えても馬鹿にしているようにしか思えない。天界の神々は、一体セシルさんのことをどう考えているんだろうか?

 

「と、とりあえず本当に時たまだけど『神秘』が発現するわけだから、運が良ければすごい装備を作れるようになったわけよね。前向きに考えましょう!」

 

 アリーゼさんはそんなふうにセシルさんを元気づけようとしたけど、当の本人は項垂れてしまっていた。ごめんなさい輝夜さん。僕には的確なアドバイスは出来なさそうです。

 

 

 

 

 

「なあ、このスキルが発現したのって、どう考えてもぷにぷに玉で装備を作ろうとしたからだよな?」

 

「多分そうだと思うけど……。」

 

「ふざけろ。もしかしたら俺にもこんなふざけたスキルが生えるかもしれないのかよ!」

 

 ヴェルフは鍛冶師としてのプライドが折れてしまったのか、頭を抱えて座り込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイテム図鑑No.XXX プティング・ソード

 

 分類:食品

    武器・片手剣

 

 片手剣にプリンを練り込んで作った、下界の歴史上おそらく誰も作ったことがない奇天烈な武器。

 感触はプリンそのものだし、匂いもプリンそのものだよ。

 だけど食べようとは思えないよ。

 

ヴェルフ

「鍛冶師って一体何なんだろうな……。」*4

 

ベル

「一応分解してみたけど、主材料にプリンが出たよ。ちなみに剣なのに『食品』カテゴリーでした。なにこれ……。」

 

アリーゼ

「ダンジョンに持ち込んで使ってみたけど、上層なのにモンスターパーティーが起きたわ。しかもプリンの部分だけ器用にモンスターに持っていかれちゃった。」

 

ウランダ

「もしかして、……私の大切に取っておいたザッハトルテが無くなったのも……セシルのせい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイテム図鑑No.XXX ガンブレード

 

 拳銃と剣を融合させた武器だよ。弾薬には魔剣か錬金剣を使うよ。

 ちなみに、魔剣は数十万ヴァリス以上、錬金剣は2000万ヴァリスもするから破産覚悟で使う必要があるよ。

 

輝夜

「部品が多いからか重心がブレまくってるな。」

 

イセリナ

「ギミックは凄くかっこいいと思うんだけど、消費コストを考えると貧乏性の私には気が引けるよね」

 

ヴェルフ

「発想はすごいぞ。はっきり言って剣としては駄目駄目だが。杖としては破格の性能じゃないか?」

 

シャウ

「これって、私みたいなレベル1でも、複数の攻撃魔法をノータイムで切り替えられる画期的な神武器なのでは……!?」*5

 

 

*1
煙突効果と呼ぶ。

*2
ダンまち版ガンブレードである。

*3
リボルバー拳銃。

*4
遠い目をしながら。

*5
なおコスト。




食べ物がくっついた武器って意外とRPGで出てきそうですよね。バナナソードとか有名だと思います。
ガンブレードは、いわずと知れたファイナルファンタジーシリーズで出てきたロマン武器です。現実の拳銃と剣の合体武器は色々と夢が壊れる形をしていますし、まともに使えなかったようです。
ダンまちでガンブレードを再現した場合、魔剣が弾薬代わりになると思いました。対費用効果は多分最悪の部類になると思います。
セシルとヴェルフのコンビは書いていて面白かったです。
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