ダークネスウォリアー孫悟飯   作:晴歩

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不詳

 フリーザ軍壊滅後、ヒータ軍と呼ばれる勢力が徐々に力をつけ、銀河の裏経済を掌握し、交易・武器・情報の流通を牛耳っていた。

その中でも特に重要だったのが資源ライン。これらを押さえたヒータ軍は、銀河の影の支配者として急速に勢力を伸ばした。

 

 ヒータ軍の資源星フュエルが、何者かに襲撃された。

 

「警報!?何が起きた!?」

 

「外部ハッチが破られた!侵入者だ!!」

 

「どこの勢力だ!?銀河パトロールか!?傭兵か!?」

 

オペレーターが震える声で叫ぶ。

 

「違う……一人……たった一人だ……!」

 

侵入者は、ゆっくりと歩いてきた。

微かな金属音の様な足音。センサーはその存在を拾うが、解析は追いつかない。分かるのは、光を反射する銀色の表皮と、氷のように冷たい光を宿す瞳だけだった。

 

警備兵達が銃を構え、一斉にエネルギー弾が放たれる。しかしその存在は支障もなく歩みを続ける。反撃は瞬時に、無慈悲に返ってきた。数発の閃光、そして兵士たちの叫び声が短く切れる。

 

裏社会の屈強な荒くれ者たちが、たった一人の侵入者に、なす術もなく蹂躙されて行く。

 

 指令室の中央、資源配分端末の前に立つ男がいた。ヒータ軍のリーダー、エレク。彼の指はコンソールの上で震えながらも、画面に映る資源残高を何度も確認していた。数値は膨大だ。彼の目は数字に囚われていた。

 

「放棄してたまるか…!」

 

エレクの決意は揺らがない。彼は端末に手を伸ばし、セキュリティプロトコルを起動して防御を強化する。目の前で人が倒れていく光景を見ながらも、彼の頭の中は、損得で満たされていた。

 

一方で、エレクの兄弟たち三人は、欲よりも本能が先に動いた。マキは顔を青ざめさせ、短く息を切らしながら出口へと走る。ガスは、裏取引用のステルス船の起動手順を叩き込む。オイルは、荷物を投げ込み、船のハッチを閉める。

 

「アニキ、早く来い!」

 

マキが叫ぶ。彼女の声は震えているが、指示は明確だ。三人の動きは無駄がなく、訓練されたように素早い。彼らは資源を守るよりも、まず自分たちの命を優先した。恐怖が判断を鋭くし、瞬時に逃走のための最短ルートを選ばせた。

 

ガスは操縦席に飛び込み、エンジンを唸らせる。オイルが最後に振り返り、エレクのいる指令室の扉を見た。エレクはまだ端末にしがみついている。

 

「修羅場くぐってんだ!わかるだろ!ありゃ、ガスでも無理だ!!」

 

オイルの声が響く。彼らは兄を引きずるようにしてでも連れ出したかった。だがエレクは首を振り、画面の数字を睨み続ける。

 

「ここを放棄するわけにはいかない…!」

 

エレクは叫んだ。だがその声は、外の轟音にかき消される。エレクは防御システムに賭けた。端末は彼の指示を受け付ける、だが外殻の影は一歩、また一歩と近づいてくる。

 

マキが手を伸ばし、エレクの腕を掴む。だがエレクは振りほどく。オイルが叫ぶ。

 

「こんな時のために、脱出船を指令室に横付けしてたんだろ!今すぐ来い!離れろ!」

 

その瞬間、映像の中の存在が、エレクを見据えた。視線が合った。光が走る。エレクの胸が貫かれた。彼の体はゆっくりと崩れ落ちる。マキとオイルは叫び、ガスは操縦桿を握りしめたまま振り返ることもできなかった。

 

「行け!出ろ!」

 

オイルが叫び、エンジンが咆哮する。ステルスは最低限に保たれ、速度を優先して船は銀河へと飛び出した。

 

 

 マキ、ガス、オイルの三兄弟は、裏取引用ステルス船で銀河を逃走していた。ステルスは作動している。だが、速度を優先したため、ステルス性能はフルスペックではない。そのため、銀河パトロールの巡視艇の索敵に引っかかった。

 

「隊長。妙な反応があります」

 

「ステルス反応が薄く出ています。しかし速度が異常に高い」

 

隊長は、判断した。

 

「ふむ。多分何かから逃げているな。各艦、並走の陣を取れ」

 

巡視艇は高度な操舵技術で、速度を合わせて並走を確保した。

巡視艇の隊長が通信を送る。

 

『不審船、こちら銀河パトロール。我々に攻撃の意思はない。状況を確認したい。応答できるか?』

 

マキは絶望した顔で叫ぶ。

 

「化け物から逃げたのに、今度は銀パト!?」

 

オイルは言った。

 

「…いや、むしろこいつらを利用する。今は……生き延びる方が優先だ」

 

ガスは通信を開いた。

 

「……こちら、民間船だ。攻撃の意思はない」

 

銀河パトロールの隊長は、鋭く言い放つ。

 

『無駄な問答をしている暇があるのか?』

 

『民間船がステルス航行などするか。 しかも速度優先でステルスが乱れている。何かから逃げていると見るが?』

 

オイルが舌打ちした。

 

「…やっぱバレるか」

 

ガスは観念したように言った。

 

「…逃げている。化け物から」

 

『化け物?具体的に言え』

 

ガスが答える。

 

「…正体は分からない。名前も、種族も、所属も……何も分からない」

 

マキが震える声で続ける。

 

「金属みたいな肌をしてて……氷みたいに冷たい目をしてた……」

 

隊長が問う。

 

『金属の肌……?それは機械か、生体か?』

 

オイルが怒鳴る。

 

「そんなのこっちが知りたいんだよ!!」

 

隊長は、演技ではないと判断する。

 

『……正体不明の脅威、か』

 

『……了解した。まずは安全宙域へ誘導する。その後、対面で詳しく話してもらう』

 

そして三兄弟は、銀河パトロールの並走に身を委ねた。

 

 

 遠く離れた地下深く、誰も見ない場所で、巨大な演算機が淡々とログを更新していた。そして冷たい電子の囁き。

 

『資源ライン確保完了』

 

『量産フェーズへ移行可能』

 

機械の呟きは静かに、しかし確実に次の工程へと進んでいく。

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