界王神界。
妖精アクアは魔界への次元通信を開いた。
「ネバ様……聞こえますか。アクアです」
返答までのわずかな沈黙。
「お前さんか……聞こえている。どうしたね」
アクアは率直に伝えた。
「現在、宇宙が消滅の危機にあります。宇宙中から強力な戦士を集める必要があり、界王神様は魔界へ向かうおつもりです。ですが、通常の移動では間に合いません」
ネバは短く息を呑んだ。魔界の長老たる彼でさえ、宇宙規模の危機に表情を曇らせる。
「…状況はそこまで逼迫しているのか」
「はい。ネバ様のお力で、界王神界から魔界への回廊を開く事は可能でしょうか?」
ネバは答えた。
「不可能ではないが、こちら側からだけでは無理だ、そちら側からの協力も必要だ。時間はかかる。だが、宇宙船で往復するよりは早いだろう。回廊が開けば、界王神界から魔界への瞬間移動が可能となる」
アクアは頭を下げ言った。
「ありがとうございます!界王神界より、全力で支援します!」
界王神は深刻な表情で呟いた。
「急がねば…魔界までの移動時間が惜しい…往復では、間に合わないかもしれない…」
魔界へ向かうには長い道のりが必要で、瞬間移動は使えない。
だが、その常識を覆す声が、静かに背後から響いた。
「界王神様」
振り返ると、界王神界の知の妖精アクアが光をまとって浮かんでいた。
「私は、魔界のネバ様とジゲアドを交換しています」
「ジゲアド?」
「次元通信アドレスです」
「ああ…」
アクアは続けた。
「そしてネバ様と共に、界王神界から魔界への、瞬間移動が可能な回廊を設置しました!あとは、界王神様の許可が下りれば、開通させられます!」
アクアは内心恐れ震えた。逼迫した状況とは言え、勝手に行っていい限度を遥かに超えている。どのような厳しい処罰が課されても不思議はない。
界王神はアクアを見つめた。
その瞳には、驚きが含まれていた、だが、希望を宿し答えた。
「……アクア。よくここまで準備してくれました」
アクアは震え頷いた。
界王神は、決意を固め命じた。
「許可します。回廊を開通させて下さい!」
アクアは頷き静かに告げた。
「ダーブラ様からは、すでに許可をいただいています。魔界側の次元壁は、ネバ様が調整済みです。すぐに開通させられます!」
そしてアクアは、術式を展開する。
界王神界の空気が震え、次元の膜が軋む。
魔界への道が、いま開こうとしていた。
魔界。
界王神とキビトは、その重い空気の圧力に包まれる。
二人は緊張を隠せないまま魔王城へと足を踏み入れる。
その奥、玉座の間。
玉座に座る男、ダーブラ。
魔界の王であり、界王神ですら威圧を感じる存在。
彼は界王神を見て言った。
「珍しい事だな…」
界王神が自ら魔王城を訪れるなど、通常ではあり得ない。
その事実だけで、ダーブラは状況がただ事ではないと理解した。
界王神は頷き、逼迫した現状を説明する。
ダーブラは、界王神の言葉が虚言ではないと悟り目を細める。
界王神は続ける。
「我々は選手候補を集め、異空間にて大会までの修行と選抜を行う予定です。その選抜選手の候補の一人として、あなたの力を……そして魔界の戦士たちの力を貸していただきたい」
玉座の間に沈黙が落ちた。
そして、ダーブラはニヤリと笑い答えた。
「候補の一人として…か。面白い……。私が、戦力外となる事もあり得る規模の招集という事か」
界王神は焦った。これは、ダーブラに対して侮辱に値してしまったのではないかと。だが、ダーブラは笑った。
「よかろう。私も協力しよう」
界王神は胸を撫で下ろした。そして、ダーブラは続けた。
「それと、私以外にも候補を出そう」
ダーブラはその候補を告げた。
魔人クゥ、魔人ドゥ、三体のタマガミ達。
「さらに……ナメック人のネバも同行させよう」
界王神は驚いた。
「ネバ……?あのご老体を?」
ダーブラは言った。
「ネバは老人だが、深い知識と魔術を持つ。戦士たちの修行において、彼の助言は大いに役立つだろう」
それは僥倖であった。界王神はその提案を受け入れた。
こうして、魔界からは、ダーブラ、魔人クゥ、魔人ドゥ、三体のタマガミ達、ナメック人ネバ、そしてさらに、彼らを招集する過程で、ドクター・アリンスと大魔女マーバも同行することとなった。
界王神は敬意を込めて言った。
「感謝いたします!あなた方の力があれば、我々の宇宙は必ずや生き残れるでしょう!」
ダーブラは玉座から立ちあがり微笑した。
「では行こう。時間がないのだろう?」
界王神は頷き、面々は修行空域へ移動した。
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