「ここが鬼狩りの親玉が住む屋敷か。間違いないのだな?」
「はい無惨様、産屋敷の気配を感じますので、まだ逃げ出してはいないようです」
「気配か、貴様の勘は正確無比だから疑っていないが。まあいい、さっさと終わらせるぞ」
「お待ちください」
「何?」
雲一つない青空が広がる日中にて、鬼舞辻無惨は上弦の壱である
「これは……巧妙に隠されていますが火薬の匂いがします。もしかすればこの屋敷を吹き飛ばす程の威力があるかもしれません」
「は?自分の屋敷に火薬を?まさか自爆するつもりだとでも?正気なのか?……異常者共の親玉だしそれくらいはするかもしれんな」
「自棄になって道連れにでもするつもりか。私には通用しないが、貴様は不味いのではないか?鬼は火薬の爆発で死ぬ事はないが身体を覆う服が破れれば日光に晒されるぞ?」
「ご心配には及びません。爆風程度なら軽く躱せますので問題はございません」
「えっ、爆風は個人の努力や技術で躱せるものなのか?私は初めて聞いたのだが……いや、うむ、化物に道理など通用しないか。問題ないのならばこのまま乗り込むぞ」
「はい」
何も問題はないと話す
「やあ、そろそろ来るとは思っていたよ。初めましてだね鬼舞辻無惨。私の事は知っているだろうが自己紹介させてもらうよ。私の名は産屋敷耀哉、鬼殺隊の当主であり1000年以上前から君を探し続けていた産屋敷家の当主さ」
「……」
「そして君の隣にいるのは、恐らく上弦の壱だね?始まりの剣士に比肩する怪物まで来るとは、いよいよ私の命もここまでのようだね」
鬼の始祖が昼間から堂々と屋敷に乗り込んできても産屋敷耀哉は平然としており、表向きはにこやかな様子を見せていた。そんな産屋敷を見て無惨は気味が悪いと思いつつ瞬時に反応できるよう警戒を続けていた。
―
―表面上は穏やかな様子ですが、どす黒い殺意を感じます。自分の命にかえてでも無惨様を仕留めるつもりのようです―
―チッ、傍迷惑な異常者め。面倒だがここで始末しておくか―
「でもまさか鬼が白昼堂々と屋敷を訪ねてくるとは予想できなかったよ。しかも上弦の壱と違い肌を日光に晒していても平然としているなんて……鬼舞辻無惨、君はまさか」
「ん?ああ、やはり気になるか。そうだとも、私は遂に太陽を克服したのだ」
産屋敷の問い掛けに無惨は笑顔を浮かべて答える。長年の悲願であった太陽の克服を成し遂げた無惨は得意気な様子で話を続けた。
「この屋敷に向かう前は少しばかり草原で日光浴をしていたのだ。太陽とは素晴らしいものだな、それに雲一つない澄み渡った青空も1000年ぶりに見る事ができたが、とても綺麗で感動してしまったよ。天や神仏も私を祝福しているのかもしれないな」
「ッ!……………ふぅ、そう、そうか」
「ん?何が不満なのだ?」
神仏も私を祝福していると上機嫌な様子で言葉を続ける無惨を見て産屋敷は思わず形容し難い表情を浮かべており、そんな産屋敷を見た無惨は不思議そうな顔をしていた。
「まあいい、私がここに来た理由はわかっているだろう?太陽を克服したついでに貴様等に引導を渡そうと思ったのだ。だがその前に聞きたい事がある」
「なにかな?」
「貴様は何故諦めなかったのだ?鬼狩り共が今も存続できていたのは
無惨は心底不思議な顔を浮かべて産屋敷に尋ねていた。上弦の壱にまったく対抗できず生殺与奪の権を握られてもなお足掻いていた彼等が理解できなかったからだ。
「そうだね、君からすれば理解できないだろう。私が、我が一族の産屋敷家が君の打倒に心血を注いでいた理由が。ちょうどいい機会だ、君と我が一族の因縁について話したいのだが構わないかな?」
「フン、いいだろう。言ってみろ」
太陽を克服して上機嫌な無惨は気まぐれで産屋敷の話を聞く事にしたのであった。
「君は知らないだろうが、君と産屋敷家は血が繋がっている親戚の関係なんだよ」
「なんだと?それは初耳だが……それが私とどう関係があるというのだ?」
「かつて君が鬼となった時に神仏が私達に罰として呪いをかけたのさ。短命で病弱になる呪いをね」
「は?」
「追い詰められた私の祖先達は鬼を倒す事に心血を注ぐよう宣託を受け鬼を狩る為の組織を設立した。それが鬼殺隊だよ。すべては鬼舞辻無惨、君を殺して一族を蝕む呪いを解く為にね」
「はぁ?」
「……はぁ、異常者達が私を倒すのにここまで執着する理由はわかったが、随分と馬鹿馬鹿しい迷信だな」
産屋敷の話を聞き終えた無惨は心底呆れた表情を浮かべていた。そして頭の悪い子供に言い聞かせるような態度で産屋敷に自分の疑問を伝える事にした。
「百歩譲って貴様等と私が親戚の関係だとしよう。だが私本人を呪わず親戚でしかない貴様等を呪って私を打倒させるよう計らうだと?なんだその性根が腐った回りくどい方法は?素直に私を呪えばいいだろうに」
「……」
産屋敷を見つつ無惨は言葉を続ける。
「それに子々孫々にまで呪いが続いていただと?無関係な子孫まで呪うとは理不尽な代物だな。貴様等も私ではなく呪いをかけた神仏達に恨みを向けるべきではないのか?」
「……」
「いいかよく聞くがいい、貴様等のそれはただの逆恨みだ。断言しよう、神仏の呪いなど存在しない」
無惨は自信満々な様子でこの世界に神仏の呪いなどないと断言する。
「何故なら私に呪いなどいっさいかかってきてないからだ。1000年以上生きているがいままで神仏から呪いをかけられたと感じた事は一度もない。それにだ、私は遂に太陽を克服したしむしろ神仏から祝福されていると言ってもいいくらいだろうな」
「ッ」
「貴様等を蝕む病は呪いではなくただの悪質な病気だ。わかったな?……ではもういいだろう。介錯してやる。最後に何か言う事はあるか?」
―無惨様、来ます―
「……チッ」
言いたい事を言い終えた無惨はさっさと面倒事を終わらせるべく産屋敷を始末しようとする。だが
「やはり、察していたようだね」
「貴様自爆するつもりか?正気の沙汰ではないな。鬼に火薬が通用するとでも?病が脳を侵してまともな判断もできなくなったようだ」
「いや、これで仕留められるとは思ってないよ。後は子供達に任せるつもりさ。ではさようなら」
産屋敷は穏やかな様子で目を閉じた後……屋敷に仕掛けられた火薬が点火され周囲に閃光と轟音が轟いたのであった。
「……本当に異常者だったな、1000年以上生きた私でもあそこまでの異常者は奴だけだと確信できるぞ」
「無惨様、ご無事ですか?」
「ああ、問題ない。貴様が庇ってくれたから傷一つないとも。このスーツも無事だ」
爆発に巻き込まれた無惨達であったが無傷であった。自分のお気に入りである衣服が無事なのを確認した無惨は安堵しつつも、ふと疑問が湧いたので
「貴様はどうやって爆風を凌いだのだ?日中で血鬼術は使えないはずだが」
「爆風と衝撃波を斬り隙間を作りました」
「お前は何を言ってるんだ?」
よくわからない事を言っている
「爆風を、斬る?いや無理だろうそれは。あの忌々しい耳飾りの男でもそんな事はできな……でき……で……うむ、そうだな。化物ができるというならできるのだろうな、うん」
常識的に考えて不可能だと言おうとした無惨であったが、耳飾りの剣士や
「ふむ、接近してくる人間の気配が複数あります。なかなか鍛えている人間のようで恐らく鬼狩りかと」
「なるほど、あの異常者は子供達に任せると言っていたがこの事か。逃げずに向かってくるとは余計な手間が省けたな……
「かしこまりました」
<人物紹介>
●無惨様
→太陽を克服して調子に乗っている鬼の始祖。産屋敷ボンバーをくらったが無傷だった。お気に入りのスーツが無事で安堵しつつも
爆風って斬れるものじゃないだろと思いつつも化物はルール無用だと思い直してそれ以上考えない事にした常識人である。
●
→第二の縁壱なら産屋敷ボンバーだってノーダメで凌げると思います(確信)。無惨と産屋敷が会話をしていた時は空気を呼んで沈黙していた部下の鑑である。
●産屋敷耀哉
→漆黒の殺意を持つ鬼殺隊の当主。無惨様が太陽を克服したのを見て衝撃を受けており、この時ばかりは神仏にたいしてほんの少しだけ怒りを覚えていたようだ。
この世界でも躊躇なく産屋敷ボンバーしており、無惨様の異常者ランキングで無事殿堂入りをはたすのであった。
●産屋敷家の呪い
→神仏が産屋敷家にかけた短命の呪いだが無惨様本人は全く知らなかった。一応原作でも無惨様が倒された後、産屋敷輝利哉君が長生きしているので呪いは本当にあったのだろうが、無惨様本人を呪わなかった理由はよくわからないです。
●産屋敷ボンバー
→みんな大好き産屋敷ボンバーだが無傷で凌がれた。縁壱が無惨様ポップコーンを無傷で凌いでいたので、第二の縁壱である
爆風と衝撃波を斬ったのは血鬼術ではなく技術によるものであり、黒死牟も頑張ればいずれ習得できるだろう。
●鬼狩り達
→お館様の敵討ちに燃える精鋭達。次回戦う事になります。
今回は短めに終わると思います。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。