魔法科高校の熱を愛する者   作:パクチーダンス

8 / 16
第八話 全校集会

 

 九校戦が終わり、夏休みに突入した金次だが、特に予定など入っていない為、腕立て、腹筋、ランニングなど自分の体を鍛える毎日を送っていた。

 

 兄の克人は、夏休みでも当主・和樹の手伝いをしていて忙しい。最近は、仕事のほとんどを克人が請け負っている為、当主交代も近いだろうと金次は密かに思っている。

 

 夏休みでも学校から課題は出る。金次は後回しにするのが嫌なので、この日までに終わらせると期日を決めて取り組んで、夏休み上旬に終わらせてある。

 

 だから金次は手が空いている為、和樹から「お前も少し手伝え」と電話が掛かり、克人と一緒に仕事をやらされた日もあった。「めんどくせぇ」とぶつぶつ文句を言う金次だったが、やる時はやる男なのであった。

 

 そうして夏休みも終盤に差し掛かった頃、金次の携帯端末から着信音が鳴った。仮眠をとっていた金次は、ベッドから起き上がり、テーブルに置いてあった端末を手に取って電話に出た。

 

「はい、もしもし」

 

『あっ、金ちゃん』

 

 電話の相手は真由美である。

 

「何か用か、真由美」

 

『何もなかったら電話しないでしょ。明後日なんだけど、一緒に出掛けないかしら?』

 

 嫌な流れを感じ取った金次だが、電話をとってしまったのだから引き返せない。

 

「……明後日?何処行くんだ?」

 

『ショッピングモールよ。そろそろ夏も終わるし、秋用の服が欲しいと思って。妹達も一緒なんだけど良いかしら?』

 

「全然構わねぇよ。集合は現地でいいか?」

 

『えぇ。前と同じ、噴水前に10時に集合ね。忘れないでね』

 

 プツンッと電話は切れた。金次は携帯をテーブルに置くと、ハァとため息を吐いた。

 

「また荷物持ちか………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 金次は欠伸をしながら、ショッピングモール一階にある噴水広場に集合時刻の10分前に到着すると、既に真由美と彼女の妹達の姿があった。

 

「あっ来た来た、金ちゃん」

 

「ちょっと遅いよ金次さん」

 

「香澄ちゃん、まだ集合時間前ですよ」

 

 金次に向かって手を振る真由美の側には、ちょっとムッとした顔の少女と、それを宥める少女の姿があった。並んでみると瓜二つ。それもそのはず、少女達は双子なのだから。

 

「普通は男が先に待ってるものでしょ」

 

「香澄ちゃん。金次さんにそれは通用しませんよ」

 

「おいおい、折角、荷物持ちに来てやったのによ」

 

 真由美の双子の妹、七草香澄と七草泉美。二人は双子でありながらも雰囲気は随分と違う。

 

 髪はショートカットで、アウトドア派のような、見るからに活発な女の子が香澄。

 

 ストレートの髪を眉の高さと肩に触れる長さで切り揃えていおり、インドア派というか、お淑やかな女の子が泉美。

 

 数字付き(ナンバーズ)の間では彼女達を「七草の双子」と何の捻りもないままの通称で呼ばれている。金次が初めて彼女達を見た時は「真由美が上手い具合に二人に分裂した」と評していた。

 

「荷物持ちだなんて失礼ね。金ちゃんも、美少女三人と買い物できて嬉しいでしょ」

 

 傍から見れば、金次は世の男性から羨ましがられる立ち位置にいるが、金次自身はそうではない。

 

「顔だけだろ。中身はポンコツだ。特に姉の方はな」

 

「私?何がダメなのよ?」

 

 妹達よりも自分が酷いと言われたことに納得がいかない真由美だったが、金次はこれまでの真由美の呆れた行動を淡々と告げる。

 

「じゃあ聞くが、米を洗剤で洗おうとしていた奴は何処のどいつだ?」

 

「………………」

 

「バレンタインのチョコに、カカオ100%にエスプレッソパウダー使うバカは何処のどいつだ?」

 

「……………………………」

 

「後は「あーー!!もう言わなくていいから!!」

 ……ったく、これくらいで許してやるよ」

 

 妹達は「マジか……」というような目で姉を見つめていた。姉としての尊厳を金次に粉々に破壊され、恥ずかしい黒歴史を暴露された真由美の顔は、トマトのように真っ赤に染まる。

 

「もぉー金ちゃん、私をいじめて楽しい?」

 

「お前は大抵人を弄る側の人間だろうが、それが通用する俺じゃねぇんだよ」

 

 ケラケラと笑う金次を、顔を覆い隠す手の隙間から睨み付ける真由美。

 

「さぁ、もう行きましょう!」

 

「はいよ」

 

 この場から逃げるようにササッと歩き出す真由美の後ろを、金次は双子と着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 買い物がひと段落した頃、一同は昼食を取る為にショッピングモールにある複数の飲食店が並ぶフードコーナーで食事をした。ちなみに三姉妹は洋食、金次は和食を食べた。

 

「少し席を外すわ」

 

「OK」

 

 昼食を食べ終わり、リラックスしていた金次達。真由美が立ち上がり、化粧室に行ったところを確認した香澄と泉美は、向かい側の席に座る金次に対して前屈みになる。

 

「それで?実際の所どうなのさ、金次さん」

 

「何が?」

 

 何の脈絡もなく訊ねてくる香澄に金次は首をかしげるしかなかった。

 

「お姉様のことです。金次さんは、お姉様の事がお好きではないのですか?」

 

 香澄の言いたい事を補足するかのように、次は泉美が質問を飛ばしてくる。それに対する金次の答えは、

 

「全然」

 

 否定の二文字であった。金次自身、彼女のポンコツな部分に目を瞑れば好感が持てる人物である。良い所も沢山ある。しかし、金次が真由美に向ける感情は、"like"であり"love"ではないのだ。

 

「本当ですか?今ならお姉様も居ませんし、本当のお気持ちを私達に伝えてくれても良いんですよ?」

 

「一ミリもねぇよ」

 

 執拗に聞いてくる双子に、金次は少しウザったく思っていた。

 

「つうかよ、真由美は五輪家の長男と縁談があったんじゃねぇのか?あれ結局どうなったんだ?」

 

 確か真由美には、同じ十師族であり五輪家の長男である五輪洋史が彼女の婚約者候補に上がっていた筈だ。

 

「いつの話してるの?あの話はもう無くなったよ」

 

「へぇ〜、知らなかったわ」

 

 自分で聞いた金次だが、香澄の返答に対して、興味がなさそうに相槌を打った。

 

「洋史さん、真面目で良い人そうなんだけどな〜。真由美には合わなかったか」

 

 金次は、テーブルに置いてあるピッチャーを手にとってコップに水を注ぐ。そして口に運びズズッと飲む。

 

「まぁ、あれで良かったと思います。洋史さんは、確かに良い人ではあるんでしょうが、私から見たら頼りなさを感じてしまいます」

 

「……泉美、俺はお前のその率直な物言いは好きだが、他人を傷つけるリスクを頭に入れとけよ。ふとした時に出ちまうからよ」

 

 泉美は「どの口が言うんだ」と目で訴える。そう言う金次だが、社交パーティーで会った時の洋史への印象は泉美と変わらない。

 

「色々と試して行けば良いんじゃねぇか?その内、合う奴が見つかるだろうよ」

 

「それではお姉様が、節操の無い女性だと思われてしまいます。金次さんがお姉様を娶ってくだされば、私達も安心できるというもの」

 

「いや、だからねぇよ」

 

 この双子、特に泉美の方は真由美と金次をくっつけたいと思っているが、金次がそもそも真由美に気がないので成立しない。

 

 だが、泉美の心配する気持ちも分かる。この時代、女性魔法師は早くに結婚して子供を産むことが求められている。高校生でも婚約者がいる者もいるし、大学に通いながら育児休学する女子学生は珍しくも無いんだとか。下手すると、婚期が遅れて相手がいないことにも。

 

「姉よりも自分達の事を心配しな。まだ中2だろうが、あっという間に年食うぜ」

 

「金次さんも、私達とあまり年変わらないですよ」

 

「親父臭い」

 

「今しか出来ない事をしろってことさ」

 

 双子と話しているうちに、「おまたせ〜」と真由美が化粧室から戻ってきた。

 

「さぁ、次は金ちゃんの服を見ましょうか」

 

「俺の?」

 

「自分の服を見てみなさいよ。周りを見ても、上下黒のジャージなんて着てるの貴方だけよ」

 

 金次が着用する服は、どれもオシャレではなく機能性重視である。いつなん時に何が起こるか分からない為、動きやすい服装を好んで購入している。

 

「俺はいいよ」

 

「駄目。ちゃんとオシャレしないとモテないわよ。香澄ちゃん、泉美ちゃん、次は3階のメンズコーナーね」

 

「わかったよ」「わかりました」

 

 こうして、金次は三姉妹の着せ替え人形として遊ばれたのだった。三姉妹が一人一つのコーデを決め、上下揃えた三組の服装を買わされてしまった。そして帰り道、

 

「そういえばさ」

 

「ん?」

 

 隣を歩く真由美が金次に耳打ちをする。

 

「もうすぐじゃない?アレの結果が送られてくるの」

 

「あ〜、確かもうすぐだったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏休みが明けて、第一高校は二学期に突入した。今の生徒会長、副会長の任期は後僅かとなり、例年なら、真由美達二年生の代に引き継ぎが始まる頃合いだろう。しかしそれとは別に、生徒会室の雰囲気は、ただならぬ緊張が走っていた。

 

「皆さん、長らくお待たせしました」

 

 生徒会室には生徒会役員一同、金次、そして克人がいる。彼ら彼女らは、この日をずっと待ち侘びていた。誰かの唾を飲み込む音が聞こえている。皆の視線の先には生徒会長のデスク、その上に置かれている一枚の茶封筒。その中身には、

 

「昨日、百山校長のもとに、魔法教育機関から封筒が届きました」

 

 それは、第一高校含め日本国内に9校設立されている国立の高等魔法教育機関である国立魔法大学付属高校を、その全てを管理する教育機関からのお達しであった。

 

「5月頃、私達が考えに考え抜いた、最大限公平かつ文句のつけようも無い新制度の案。その後、百山校長含め教師全員とで協議し、細かな補強をしてもらい完成したモノを7月に提出しました。そして、その結果が返って来ました」

 

 

 

 あれは5月に入ったばかりの話、一科生・二科生の逆転現象が起こった時期と重なる。金次が一科生の連中を相手している間に、生徒会室では皆が考えてきた新制度の案を、ああでもないこうでもないと議論を繰り広げていた。

 

 時には議論の余地無く下されたモノや、アイデアとアイデアを合体させたりするなど、熟考を重ねた末に辿り着いた先に、一つの"形"が出来上がった。

 

 その"形"となったモノを百山校長に持って行き、

 

「却下」

 

 はい。これの繰り返しであった。これを指の数ほど試みた。何度もtry&errorを積み重ね、ようやく百山校長は首を縦に振った。

 

 そして、放課後および休日をまるまる返上して、教師を交えて"形"を支える柱の形成や粗探しを行い、気付いたら夕方だったなんてザラにあった。

 

 最後は百山校長によって魔法教育機関へ提出。今までの努力の結果が、この封筒の中に入っているのだ。

 

 

 

 

 

「早く開けろよ会長」

 

「ちょっと金次君、まだ心の準備が」

 

「開けないなら俺が開けるぞ」

 

 焦らす会長を待たないと金次は封筒に手を伸ばしたが、それを真由美と克人が後ろから止める。

 

「ちょっ!?何すんだよ!?」

 

「金次、ちょっとは空気を読め」

 

「そうよ金ちゃん、こればかりは会長に開けてもらわないと」

 

 生徒会長は、一呼吸おいて封筒を手に取る。百山校長はこの中身をまだ見ていない。「君達が先に見るべきだ」と言ってこの封筒を生徒会長に渡した。

 

 生徒会長は引き出しからペーパーナイフを取り出し、封の折り返し部分に刃先を差し込んで、スライドさせて切っていく。

 

 封を開封すると、中には一枚の白い紙が。

 

「な、何が書いてあるんですか?」

 

 あずさの緊張した声が生徒会長に耳に届く。会長は封筒から三つ折りされている白い紙を抜き取り、それを広げる。そこに書いてあったのは、

 

「………………………」

 

 生徒会長は一向に口を開かなかった。

 

 何も言わない生徒会長に、皆が互いに顔を見合わせる。「まさか…」と誰もがそう思った。暗い顔する一同だが、金次だけは気付いていた。

 

 いや、金次の立っている角度からでしか見えなかった。微かに、彼女の口角が上がっていることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、第一高校の朝のホームルームでは、臨時の全校集会が開かれることを教師の口から聞かされた。一限目は急遽無くなり、生徒達は講堂へと足を運ぶ。

 

 何故集められたのかが分からない生徒がほとんどの中、講堂に入ると、百山校長含め教師全員が一番手前の席に座っているではないか。一体何が始まろうとしているのか、席が埋まるにつれて生徒達のヒソヒソ声がチラホラ聞こえる。

 

 すると舞台袖から姿を現したのは、片手にマイクを持った生徒会長。彼女は真剣な面持ちでステージの中心へと立った。

 

 そして、そのヒソヒソとした声が無くなり、講堂が静まり返った頃、彼女は口元にマイクを近づけた。

 

「生徒の皆さん、そして百山校長含め教師の皆さん、お集まりいただきありがとうございます。まず最初に言っておくと、この臨時集会は、私が百山校長に無理なお願いを聞いてもらい、開かせてもらいました」

 

「何故ここに集められたのか、それを話す前に私は皆さんに伝えたい、いや、言いたいことがあります」

 

 生徒会長は講堂内にいる生徒達をグルリと見渡した。やはりまだ、一科生と二科生とで席が分かれている。そんな決まりは無いのに。

 

一科生(ブルーム)二科生(ウィード)、この学校で禁止されている言葉ですが、多くの生徒が使用していることを、いまさら言わなくても理解されていることでしょう」

 

 生徒会長はふぅと一呼吸置いて話し始める。

 

「しかし、一科生が二科生を見下した態度をとる、それだけが問題ではありません。二科生の間にも、自らがウィードだと蔑んで、諦めを受容している」

 

 生徒会長に向けて野次が飛ぶ。それは二科生(ウィード)が、彼女が発した"諦め"の部分に対してのものだった。後ろからの野次に「うるさいぞ」と一科生(ウィード)から声が飛ぶ。

 

 野次を飛ばされても、生徒会長は凛々しい表情を崩さない。

 

「私は長い間、ずっと悩んできました。この意識の壁をどうやって排除出来るのか。ですが、それは容易なことでありません。何故なら人間とは、自分と他人とを比較したがる生き物だからです」

 

 他者と比較する。それは別に悪いことでは無い。そこから自分を如何様にも成長させることだって出来る。しかし、

 

「それを悪い方へと助長させているのが、今ある我が校の二科生制度です。皆さんも理解しているように魔法師の人口は少なく、魔法を教えられる者が圧倒的に少ない現状では、優秀な生徒を優先的に教えるという策が講じられています」

 

 それが、この学校で重要な魔法実技の個別指導を受ける権利である。

 

「全員に不十分な指導を与えるか、半数に十分な指導を与えるか、この学校は後者を採用されています。そこに差別は確かに存在します」

 

 再び、野次が飛ぶ。またも二科生からのものであった。「学校が悪い」や「俺達にも平等に与えるべきだ」との声が講堂内に響く中、

 

 

 

      「うるさい!!!!」

 

 

 

 生徒会長の声がそれらを掻き消した。

 

 

「まだ喋ってる途中でしょうが!!

         黙って聞いてなさい!!」

 

 

 彼女の声に誰もが唖然とする中、ステージの舞台袖で一人、ケラケラと笑う者がいた。

 

「デケェ声」

 

「金ちゃん、静かに」

 

 生徒会長は息を整え話し始める。

 

「私は貴方(二科生)達には呆れるわ!何が平等よ!そんなのこの世界にあるわけないじゃない!この才能が全てなクソみたいな世界で、私達(一科生)貴方達(二科生)も等しく生きていかなくちゃいけない。高校生にもなって、そんなことも分からないまま生きてきたの!?」

 

 生徒会長は積もりに積もった、今までの鬱憤をここで晴らすつもりなのだと、金次は舞台袖で眺めていた。

 

「ぶつぶつ文句を言っても仕方ないじゃない!人が足りないんだから!ああだのこうだの言ってないで、自分をひたすら研鑽しなさいよ!」

 

 次に、生徒会長は一科生が固まって座る場所に指を差した。

 

貴方達(一科生)だってそうよ!何がそんなに偉いの!?私から見れば、自分がエリートだと勘違いした大馬鹿野郎よ!!平気で他人を見下す者が、人の上に立つ資格など無いわ!!」

 

 ハァハァと生徒会長は肩で息をする。マイクを使っているとはいえ、大きな声の出しすぎで呼吸を荒くしている。だか彼女は終わらない。

 

「そもそも、この学校の制度が駄目なのよ!なんで明らかに差別を煽るような制度を作ったのか甚だ疑問だわ!みんなも可笑しいと思わない!?入試成績が、入学してからの三年間に影響するなんて。じゃあその三年間の間で、一科生よりも成績を伸ばした二科生はどうなるのよ!その者にこそ、個別指導を受ける権利が与えられるべきだわ!」

 

 次は教師陣に対して指を指す。「えっ?私達も?」といった顔をして目を丸くする。百山校長は表情を一切変えず、彼女の言葉に耳を傾けていた。

 

「私達生徒会は、このクソッタレな差別意識も制度も変えたかった!5月に行われた一科生・二科生の逆転もその一つ。だけど、本当の目的はこの学校、いや魔法教育機関に対して、新しい制度を叩きつける事だった!」

 

 その時、一科生・二科生問わずどよめきが起こった。自分たちが知らない水面下で、生徒会がそんな事を画策していたなんて。

 

「そして遂に、私達生徒会は、魔法教育機関へ新制度の案を提出し、それが審査の結果認められました!」

 

 どよめきは最高潮に達する。すると、生徒会長の後ろに大きなスクリーンが落ちてくる。

 

「これが来年から始まる、全国9つある国立魔法大学付属高校全てに導入される新制度です!」

 

 

 

   国立魔法大学付属高校  新制度 

 

 ・入学時、新入生は入試成績によって

  A〜H までのクラス分けが行われる。

 

 ・全てのクラスに同じカリキュラムが行われる。

 

 ・A〜D のクラスの者に、魔法実技の個別指導を

  受ける権利が与えられる。

 

 ・毎月クラス分けのテストを実施する。

 

 ・個別指導を受ける権利を持つ者は、その権利を

学校側に返還することで、権利を持たない者に

与えられる(ただし成績順)。

 

  1位 権利返還

  ・

  ・

  ・ 

  100位 

  101位 権利付与

 

  (101位の生徒が権利を返還した場合、

    さらに下位の成績の者に付与される)

 

 ・この制度は、生徒達の競争心を煽るためのもの

  であり、皆の成長を望むものである。

 

 

 

「来年から一科生・二科生制度は撤廃されます!この新体制により、全ての生徒に出来る限り(・・・・・)の公平で平等なチャンスが与えられます!」

 

 スクリーンに映し出された文字を、生徒達は目を凝らす。今までとは明らかに違う体制を目にして、希望が芽生えたのは二科生達。

 

「これが今の限界です!ですが誰であれ努力すれば、チャンスを掴むことはできる!上のクラスの生徒は決して安心出来ない!下のクラスから這い上がってくる生徒に追いつかれないよう、努力を怠ってはいけない!」

 

「競争意識を芽生えさせ、仲間と共に切磋琢磨することで、自分をさらに上へと高めていくのです!そして将来、私達が次代の日本の魔法界を背負っていく一員となるのだ!」

 

 歓声が巻き起こった。それは一科生・二科生を問わず、教師も校長も、皆が手を叩いて生徒会長を称賛した。立ち上がる者さえいた。涙を流す者もいた。

 

 

 

「会長、やりましたね……」

 

 舞台袖で涙を流す副会長。ようやく自分達の努力が身を結んだ瞬間だった。

 

「やったわ!あーちゃん!」

 

「さ、七草先輩!?苦しいです!」

 

 真由美があずさに抱きついたり、生徒会の皆んなとハイタッチしているのを見て笑みをこぼす。

 

「上出来じゃねぇか……」

 

 4月から今日まで、長いようで短かった自分達の戦いがようやく終わりを告げたのだ。鳴り止まない拍手を、生徒会長はその身に浴びる。それを金次は目に焼き付けていた。このさき一生、この出来事を忘れないように。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。