政略結婚で嫁いだ先は国民全員がサンタクロースの王国でした 作:北河ゆん
洋服の街――
木造建築が立ち並んでいる所らしい。
金をお菓子に張り付ける文化もあるようだ……是非食べてみたい。
馬車の扉を叩く音が聞こえる。
目を微かに開け、扉を開ける。
「リリシラ様、お初にお目にかかります。
「ええ」
華やかなドレスに比べて、落ち着いている雰囲気。
「ラスファインさんも、お城に行かれますか?」
「僕は……このあたりでゆっくりしていますので、お気になさらず」
「そうですか、残念です……ルナセインさん、リリシラさん、こちらに来てください」
ルナセインを起こし、
お城は五階建てで、全体的に白く塗られていて、屋根の上には猫耳のような突起が上に付いている。
城に入ると、木の香りが鼻をくすぐる。
「こちらです……」
奥には一つの部屋があり、真ん中に一人の男性が座っていた。
「よくぞお越しくださいました、リリシラ殿、ルナセイン殿。拙者、
私とルナセインは、一枚のクッションに腰を下ろす。
ルナセインの座り方を見ながら、真似してみる。
この姿勢は足に負担がかかる。
時間が経つたびに、ビリビリと足の裏に変なのが流れる。
「こちらでございます」
ルナセインは、
「確かに、頂戴しました。手紙から設計図を作る工程を、半分ほど手伝わせてはもらえないだろうか?」
「いえ、結構です」
私は、ママーラから預かった伝言を
「八割ほど終えているので、お気遣いは不要でございます」
八割終えているというのは、相手に納得させるための常套句であり、実際は一割ほどしか進んでいない。
しかし、お金を渡す頃には終わっているだろうと、言っていた。
「なるほど。八割終えているなら、手助けは不要ですね」
「では、おいとまさせていただきます」
ルナセインは片足を立て、固まっている。
勿論私も、同じ状態になっている。
膝が笑っちゃって、立ち上がれない。
思わず自分の足を見つめてしまう。
膝の笑いが治まり、立ち上がったときには、ルナセインの姿はなかった。
「ルナセインさんは、どちらへ?」
「一足先に帰られましたよ」
すぐに私は、壁の方へ振り向いた。
「リリシラさん、帰られる前に
「ええ、寄ってみます……」
すぐに、馬車に戻ってしまったルナセインに、疑問を持ちながら馬車に戻ることにした。
城の門の前で、ルナセインが一人の男性と話している姿がみえる。
私は駆け足で、近づいた。
「ルナセインさん、早いですよ」
「ごめん……恥ずかしくて、足が勝手に逃げていた。申し訳ない」
「この方は?」
「
「
「ご存知でしたか。では、
私たちも、後に続く形で歩き出す。
周りの光景は、木造建築が並び、石やレンガで作られた建物とは違う雰囲気が漂っていた。
その家の周りには、赤い布が掛けられた椅子が並んでいる。
「お待たせしました」
「金箔抹茶カステラでございます」
「金箔?」
「金箔というのは、金を薄くしたものです」
「おお……」
......金って、食べられるの?
装飾品とか、食器とかに使われるものじゃないの?
赤い布が掛かっている椅子に座り、カステラを口に入れる。
噛む前に、ルナセインの方をみると、金箔を包んでいる抹茶のカステラを口に放り込んで噛んでいる。
金箔は、食べられるものみたいだ。
細い木製のフォークで半分にして、口に入れる。
舌で、カステラと金箔を分けた。
抹茶のカステラは、かなり味が染みていて噛めば噛むほど、深い茶の味わいが口に広がる。
金箔は、口に溶ける紙を食べているみたいで、味はない。
「どうでしょうか? リリシラ様」
「ええ、美味しいです。金箔って必要ですか?」
「見栄えという部分では、必要です」
なんだ、現地の人もそう思っているのか。
次の第9話「見積もりの旅~野菜の楽園~」は3月1日18:00投稿