創世のアームズ・ディーラー〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記! 作:大和タケル
異世界長期滞在3日目。
集合時間の10分前に到着したオレは、南門に集まる4人の冒険者の中にキャロルを見つけた。
彼女もこちらに気付き手を振っている。
「ソーマ、こっちだよぉぉー!」
「キャロルさん、おはようございます」
「ああ、おはよう! 今日はよく来てくれたね。ありがとう」
「いいえ、この間はお世話になりました。今日はよろしくお願いします」
キャロルはニコニコしながら、他の3人を呼び寄せた。
「それじゃ、まずは自己紹介からだね。私はキャロル、剣士さ。このパーティ『ファームガード』のリーダーをやっている。で、こっちが槍使いのディーン」
「ディーンだ。よろしく頼むぜ、兄ちゃん」
キャロルも背が高いが、更に頭ひとつでかい。何より筋骨隆々で強そう。歳はキャロルと同じ20代半ばかな。
「よろしくお願いします」
「じゃあー次は私ね。魔法使いのエリンです。よろしくね!」
ロリっ子魔法使いがきましたぁー!
歳はオレと同じくらい。いや少し下かな?
「よろしくです」
「……ロイド。ナ、ナイフと弓を使う」
無口キャラが登場した。身長はキャロルと同じくらいで、細身マッチョのロン毛。歳はキャロルさんと同じかな。
おそらく、3人の同級生パーティにロリっ子が加わったのだろうと勝手な推測をする。
「アハハ、ロイドはちょっと無口だが優しいヤツなんだ。仲良くしてやってくれるかい?」
ちょっとなのかぁー?
オレもうなずいて自己紹介をする。
「創真です。異国のニホンという国から来ました。ジョブは駆出しの商人ですが剣を使います。皆さん、よろしくお願いします」
自己紹介も終わった所で、キャロルが皆に号令をかけた。
「よーし、ぶどう畑へ出発だ! 細かい事は道々教えたげるよ」
オレ達パーティは南門を抜けると、真っ直ぐ続く広い道を南へ向かって歩き始めた。
道中では、キャロルがクエストの内容を説明してくれる。
「このクエストはね、2日前に近所のピエールさんが泣きついてきたのさ。今回のターゲットはマモシという蛇の魔物なんだが毒が厄介でねぇ、噛まれると3日寝込む猛毒さ。だけど、ここに毒消薬を持ってきたから、すぐに飲めば半日で治るから安心しな」
おーい、それって半日も苦しむって事だよなぁ〜。
オレは心配になって確かめる。
「だ、大丈夫なんですかぁ?」
「ああ、問題ないよ。マモシはレベル8の弱い魔物だし注意してれば噛まれやしないよ。だけど、数が数だから人を集めたんだけど誰も来なくてね。ソーマが来てくれて助かったよ」
ええっ! レベルが8ってオレより上なんですけどぉ〜?
どうにも不安で、もう一度確かめる。
「あのぅ、つかぬ事をお聞きしますが、キャロルさん達のレベルはいくつなんですか?」
「ごめん、まだ言って無かったね。私はレベルが20でDランク冒険者だ。ディーンとロイドはレベルが19でEランク。だけど、今回のクエストでDに昇格の予定だ。エリンはレベル10でEランクになったばかりだよ」
おいおい、みんなレベルが高いじゃないかぁー!
オレの不安は既にMAX、薄々感じる誤解を確かめてみる。
「キャロルさん、オレのレベルって知ってますか?」
「ああ、もちろんさ。母さんからアルミラージのクエストを軽くこなしたって聞いてるし、近所のエバンスさんもアルミラージを全て追い払ってくれたって喜んでいたからね。ソーマのレベルは10くらいだろう?」
ヤバい、この人何か勘違いしてるぅー。オレは恥ずかしそうに上目遣いで答えた。
「レ、レベルは6なんですけど……」
「えっ……?」
キャロルの顔が徐々に青ざめていく。周りのメンバーも驚いて顔を見合わせる。
焦ったキャロルが必死になって皆に同意を求めた。
「ま、まぁなんだ。マモシと同じくらいだし、ギリギリセーフだよなっ、なっ?」
それにしてもギリギリって……。
遂には、開き直ったキャロルが赤い顔で答える。
「よし、私がソーマを守るから任せておきな。薬もあるし死にゃぁしないって!」
「全く慰めになってないんですけどぉー!」
なんか、キャロルが自分に言い聞かせている様に見えるのはオレだけだろうか……?
「あっそうだ! 報酬の取り分の説明がまだだったね。報酬はきっかり5等分だ。ちなみにマモシの魔石は銅貨80枚だから……」
オレはギリギリという言葉でそれどころではなく途中から説明が頭に入って来なかった。
その後はフォーメーションの説明や注意事項やらを受け、ようやくぶとう畑に到着した。
フォーメーションは前衛がキャロルとディーン、後衛がロイドとエリン、そしてオレは四人に守られる形の中央となった。
畑の入口でキャロルが号令をかける。
「さぁみんな、気合いを入れていくよ。進めー!」
ついにパーティの討伐戦が始まった。
レベルが上の4人は警戒しながら歩みを進める。オレも風の剣を構えて歩調を合わせる。
しばらく進むと、キャロルが声をあげた。
「いたーっ、右の木の上に1匹!」
右の木を見ると、マモシがぶとうの枝に巻き付いている。
ディーンがリーチの長い槍で突き刺すと、蛇は木の下へぽとりと落ちた。そして、体をくねらせながら、なぜかこちらへ向かってくる。
動きは遅いが見た目が怖い。恐怖で反応が遅れるオレに突然マモシが飛び掛かってきた。
「うわっ、間に合わない」と思った刹那。
ザクゥーッ!
マモシの頭にキャロルの剣が突き立っていた。そして、キャロルが強い口調でオレに言った。
「ソーマ、気を抜くんじゃないよ! 自分の身は自分で守るんだっ」
オレは泣きそうな顔で答えた。
「そんなぁー、さっきは守ってくれると言ってたよね、キャロルさん?」
【第26話 パーティ 完】