創世のアームズ・ディーラー〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記!   作:大和タケル

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第4話 ゴブリンに打つ手なし

 1週間後、日本政府から承認を受けた自衛隊はゴブリン殲滅作戦を開始した。

 

 九州陸自第8師団長は1個大隊で桜島を対岸から包囲すると、砲撃部隊に対地誘導ミサイル発射の指令を下した。

 

「標的は桜島山間部、砲撃開始ぃぃー!」

 

 ズドーン、ズドーン、ズドドドドォーン!

 

 5台の砲撃車両から一斉にミサイルが発射され桜島に着弾する。続けて第2射、第3射と発射され、山の中腹は爆炎に包まれた。

 

 防衛大臣以下自衛隊幹部の面々は、かたずを呑んで偵察機の映像を見守る。

 

 やがて爆煙が収まると、洞窟からゴブリンの集団が現れた。そして、その中の弓を持ったゴブリンが偵察機に矢を放つと、そこで映像が途絶えてしまった。

 

「もう、核しかないのか……」

 

 大臣が独り言をつぶやくと、側にいた幕僚の真壁が助言をする。

 

「大臣、今我々が出来る事はゴブリンを桜島から出さない様にする事だけです。九州部隊には引き続き桜島の包囲にあたらせるのが良いかと存じます」

 

「うむ、それしかあるまい。私は直ぐに総理の元へ報告に行く。幕僚長らは今後の対策を考えておく様に!」

 

 河田防衛大臣は作戦室から出ると、総理官邸へ向かった。

 

・・・・・

 

 作戦失敗から数時間後。

 

 総理官邸では岸本総理、官房長官、副総理が防衛大臣の対面に座り報告を受けている。

 

「総理、本日のミサイル攻撃もダメでした。我々の武器が効かない以上、自衛隊はお手上げです!」

 

 防衛大臣が正直に報告した。

 

「そう結論を急ぐものじゃないよ」

「そうですねぇー、まだ何か手はあるはずですよ。例えば話し合いとかぁ?」

「ゴブリンの好物を交渉材料に使うのはどうですかねぇー?」

「それは良い考えですなぁーハハハ」

「銃火器が駄目なら電気はどうでしょう?」

「それも良い考えですなぁーハハハ」

「河田君、一度防衛省に戻って幕僚達と相談して来なさい」

 

 緊急事態の報告に対し、まるで他人事の様に好き勝手な指示を出す日本のトップスリーにうんざりした河田は、小声で「素人がっ!」と吐き捨て官邸を後にした。

 

・・・・・

 

 それから1週間、防衛省では日々会議を重ねていたが、全く良い案が出てこない。

 

 一方で桜島の包囲は継続され、ゴブリンが桜島から出てくる気配は無かった。

 

 そんな折、東京でゴブリンを目撃したとネットに書込みがあった。事実かどうかもわからないネットの情報に、世間は誰も相手にしなかった。

 

 しかし、その目撃された場所というのが、創真の通う高校の近くだった事で、学校はゴブリンの話題で持ち切りになっていた。

 

♠♠♠♠♠

 

「なぁ創真、学校の近くにゴブリンが出たんだって。怖ぇーなぁー」

 

「毎度の事だが、どこからそんな情報を仕入れてくるんだい慎吾君?」

 

「X(旧ツイッター)といってな、誰かがネットに書込みしたら、近くの人に情報が流れる仕組みがあるんだよ創真君」

 

「ニュースではやってないんだけど……」

 

「それはだなぁ、ウソかホントか分からないからだよ。エヘン!」

 

「所詮は噂話だろ? 胸を張るんじゃない!」

 

 お昼休みの、とりとめのない会話だった。

 

・・・・・

 

 その夜、アルバイトの帰り道で公園を横切ったオレは、木の上でゴソゴソ動く者に気付く。

 

 暗くて良く見えないが、サルでもいるのか? 

 

 気になって立ち止まろうとした時、また頭の中から声が聞こえた。

 

「あれはゴブリンじゃ。創真よ、止まらずに通り過ぎるのじゃ」

 

「誰だっ?」

 

「…………」

 

 先日の事もあり、天の声に従って公園を通り抜けると、空に向かって話しかけた。

 

「天の声さん、助けてくれてありがとう。それで、あんたは誰なんだ?」

 

「カッカッカッ。ワシの名は……、うーんどれにしようかのぉ。そうじゃ、タケじいとでも呼ぶがよい!」

 

「えーと、姿が見えないんだが、どこにいるんだ?」

 

「ワシはお主の目の前におるぞえ。よーく目を凝らして見たいと念じるのじゃ」

 

 オレは言われた通り心で念じる。

 

「お前は誰だ? 姿を見せろ、姿を見せろ」

 

 すると、目の前に白い布をまとった七福神の様な老人が現れた。なぜかサングラスを掛けてピースサインをしている。

 

「ふざけているのか?」

 

「カッカッカッ、ようやく見えたようじゃな?」

 

「で、じいさんは誰なんだ?」

 

「そうじゃのう、ワシはお主じゃ!」

 

「はぁ?」

 

 このじいさんは頭がおかしいのか?

 

 関わり合わずに去ろうとして向きを変えるが、なぜか老人が目の前にいる。首を左右に動かすも老人が視界から離れない。

 

 まるでテレビの左隅にずっと表示される時刻のようだ。

 

「創真よ、慌てるでない。ワシの言い方が悪かった。ワシはお主の一部なんじゃ」

 

「ど、どういう事だ?」

 

「ワシはお主の遺伝子に刻まれた1800年前の英雄の記憶、いわゆる英雄遺伝子じゃ!」

 

「英雄遺伝子だとぉー!? じゃ、じゃあ、あんたが1800年前の英雄って事なのかぁ?」

 

 目の前の老人が胸を張って得意げに答える。

 

「ふふーん、その通りじゃ! さすが我が子孫、飲み込みが早いのぉ。カッカッカッ!」

 

 これが、オレのご先祖様であるタケじいとの出会いであった。

 

「タケじい、一つお願いがあるんだけど……」

 

「なんじゃ、遠慮なく言うてみぃ」

 

「えーと、タケじいが目の前にいてすごく邪魔!」

 

「本当に遠慮がないな。右上に小さくと念じてみるが良いぞ」

 

 言われた通りに念じてみると、タケじいが小さくなり右上に移動した。

 

 テレビかよっ!

 

【第4話 ゴブリンに打つ手なし 完】

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