創世のアームズ・ディーラー〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記!   作:大和タケル

50 / 88
第50話 リベンジ オーガ虫

(カタナ)? 聞いた事ないなぁー」

 

 この世界に『刀』という物は無いらしい。オレがメモ用紙に刀の絵を書くと、何かを思い出したアウレがほくそ笑む。

 

「これはサーベルだな。使い勝手は良いんだが、折れ易いんでお勧めしないぞ」

 

 西洋の湾曲剣サーベル。ナポレオンが片手に持ってるヤツだ。

 

 そう言えば、パイレーツオブカリビアンで主人公が使っていた様な……。

 

「違う違う、そうじゃ無い! 形は似てるけど両手持ちで、斬れ味バツグンで、細いけど折れない剣なんだ。るろうに剣心とか知らない?」

 

 途中からの意味不明な説明に、ポカンと口を開けるアウレ。

 

 少し熱く語り過ぎた様だ。るろうに剣心は余計だったかなぁ。

 

 すると、アウレが真面目な顔で答える。

 

「つまり、ソーマはその刀って武器が欲しいんだな? サーベルよりも頑丈で斬れ味抜群の剣が。るろうに何とかは意味が分からんが、お前の求めているモノは理解出来た。俺もそんな凄い剣を作ってみたい」

 

「協力してくれるのか?」

 

「ああ、喜んで! できれば、その刀という武器を一度見てみたいもんだ」

 

 刀かぁ、東雲さんに頼めば用意してくれるかな?

 

「アウレ、もし刀が手に入いったら持って行くよ」

 

 アウレと厚い握手を交わして工房の場所を聞くと、残りのエールを飲み干して店を出た。

 

 推しの宿、和倉屋に着いたのは夜の10時。店員に連泊費用1週間分を払い定番の露天風呂を堪能する。

 

「うーん、やっぱりここのお風呂は最高だなぁー」

 

 部屋に戻ってベッドで横になり、新たにできた武器職人との繋がりを考えながら、オレは心地よい眠りに落ちていった。

 

・・・・・

 

 チュン、チュン……。

 

 目覚めるとアイズウィンドウが点滅しており、目を擦りながら呪文を唱える。

 

「オープン!」

 

大和創真 Lv13 

ジョブ 商人(アームズ・ディーラー)

魔法障壁 Lv1

スキル

1、英雄遺伝子

2、異世界転移

3、交渉術

4、短剣術

5、剣術  必殺技:連撃、切払い、後の先

6、念話術

7、飲酒

8、大食い

9、ボッカ

10、召喚

11、スキルチャージ

12、……

13、……

 

 ステータスを見ると、ゴブリンを2匹しか倒してないのにレベルが3つも上がっていた。それに奇妙なスキルが追加され、その後が空白になっている。

 

 オレは不安からタケじいを呼んだ。

 

「タケじい、何もしてないのにレベルが3つも上がってるんだよ。なんでかなぁ?」

 

「創真よ、召喚獣が倒した経験値の一部がお主の経験値となるのじゃ」

 

「魔鳥は召喚して無いよ」

 

「配下も召喚獣と同じ扱いじゃ」

 

 そういう事か! 自分で倒したゴブリンと魔鳥が倒したガマロ60匹の経験値の一部が流れて来た訳だ。

 

 後は妖しげなスキルチャージだが……。

 

『スキルチャージとは、ノーマルスキル獲得をスキップしてレアスキルを獲得する大チャンス。但し、スキップ回数はランダム』

 

 おいおい、ランダムって自分で選べないのかーい!

 

 オレは、いつ出てくるか分からないレアスキルに期待をかけ、朝食を食べてキルドへ向かった。

 

「今日は天気が良くて気分上々♪ 召喚獣のお陰で稼ぎは順調♪ おまけに武器職人との繋がりも出来て前途洋々♪♪」

 

 鼻歌交じりにスキップしながらギルドに入ると、なぜか冒険者達がザワついていた。

 

 一体、どうしたんだろう?

 

 オレは近くの冒険者に尋ねる。

 

「何かあったんですか?」

 

 すると、その冒険者は何とも複雑な表情を浮かべた。

 

「よ、よう兄ちゃん、今な、アグルヒルの農地で大変な事が起きているんだ」

 

「大変な事って何ですか?」

 

「オーガ虫だよ。昨日から大量発生して農作物を食い荒らしてんだ」

 

「オ、オーガ虫ィィィーッ!?」

 

 脳裏にオーガ虫の恐怖が蘇り、引き攣った顔のオレを見て、その冒険者は頷きながら話を続ける。

 

「そうだよな、そんな顔するよな、オーガ虫だもんな、狩りたくね〜よなぁ……」

 

「嫌なら狩らなければいいじゃないですか?」

 

 オレが意見すると、冒険者は掲示板の貼り紙を指差した。

 

「兄ちゃん、貼り紙を見てみな。俺の複雑な気持ちが分かるからよ」

 

 そう言い残すと、彼はブツブツ言いながら酒場の方へ歩いていった。

 

 さっそく掲示板の貼り紙を見る。すると、そこには驚くべき事が書かれていた。

 

『緊急クエスト、Lv3オーガ虫大発生につき換金率2倍(銅貨50枚→銀貨1枚)』

 

「おおおーっ!」

 

 あまりの高額に気持ちが揺れる。強烈なニオイさえ我慢すれば超簡単なオーガ虫がゴブリンと同じ銀貨1枚だ。これは超超お得な討伐依頼なのだが……。

 

 頭の中で悪臭とお金を天秤に掛けてみる。

 

「うーん、結論が出ない」

 

 取り敢えずマップを見てオーガ虫の出現場所を探すと、そこには更に驚くべき事が書かれていた。

 

『緊急告知、オーガ虫の駆除が終わるまで、他の魔物の換金を停止します。ギルマスより♡」

 

「な、な、なんだってぇぇぇーっ!?」

 

 この告知が意味する所は、オーガ虫が駆除されるまで他の魔物の換金ができない。つまり、オーガ虫を避けて通れないという事だ。

 

 オレの顔も先程の冒険者と同じ複雑な顔になる。

 

「タケじい、どうしよう?」

 

「創真よ、アルミラージのレベルはいくつじゃったかのぉ?」

 

「えーと、確かLv5。そうかっ、Lv5のアルミラージでLv3のオーガ虫を狩ればいいのかぁ」

 

「おのおの一匹だけなら、匂いもつかんじゃろ。あとは兎達の報酬を用意してやれば良い」

 

 早速、オレ達は兎の報酬を買う為に中央通りへ向かった。

 

 通りには多くの八百屋があり、その中でも人参が安い店を探して回ると、人参の相場は銅貨2枚から3枚という事が分かった。

 

 取り敢えず銅貨2枚の安い店で人参を100本買い、運び出そうとして大きな問題に気付く。麻袋に50本も入れると、重すぎて運べないのだ。

 

 仕方がないので、八百屋の店主に相談するとリアカーを貸してもらう事ができた。但し銀貨3枚。人参100本よりも高い。

 

 オレはリアカーを引いて因幡さんが配下を連れて消えた山の方、つまり転移の丘へ移動すると、兎の御守りを強く握りしめた。

 

「因幡の白うさぎ召喚!」

 

 すると、目の前の空間の渦から因幡さんが現れた。

 

「因幡さん、久しぶり。元気だった?」

 

「これはこれは創真の旦那ぁ、あっしはいつでも元気だぜぇー! で、何か御用でやすか?」

 

 腰が低くて好感が持てる。ヤタとは大違いだ。

 

 さっそく因幡さんにカメムシ、いやオーガ虫の討伐を依頼する。もちろん報酬はアルミラージの大好きな人参だ。

 

「因幡さん、実はね……」

 

 話合いの結果、報酬はオーガ虫の魔石1個で人参2本となり、因幡さんは不思議な踊りと鳴き声で部下達を呼び寄せた。

 

 キュー、キュー、キュゥゥー!

 

 しばらくすると、沢山のアルミラージが転移の丘に集まってきた。その数100匹。

 

 オレはリアカーに積んだ100本の人参を見つめる。

 

 まずい、人参が足りないぞ。

 

 こちらの焦りを知ってか知らずか、因幡さんが配下のアルミラージに号令をかける。

 

「皆んなぁ、これからオーガ虫の討伐をするぜぇー。報酬は人参2本だぜぇー。美味しいぜぇー。よろしくたのむぜぇー!」

 

 キュゥゥゥーー!!

 

 

【第50話 リベンジ オーガ虫 完】

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。