―――――『君の走りを初めて見た時から、本当はずっと』
ねぇ、お兄ちゃん。私は本当に、嬉しかったんだよ。
―――――『俺はいつか君の、担当トレーナーになりたい!』
私のことで、目を輝かせてくれる君が――――。
『外からスペシャルウィーク! スペシャルウィーク先頭で――――ゴールインッ!』
―――――『いつか必ず、こんな絶景にたどり着こう』
二人で約束した時の君の目と、一緒だったから。
いつか中央のトレーナーになったら、契約して二人で頑張ろう、っていう約束。大切な約束は、お兄ちゃんが『仮契約』、なんてしちゃったけど。
そこはやり直してくれたから、許してあげる。
でも。でもね、本当は―――――。
もう一個。言わなかった、秘密もあって。
『――――スズカッ、好きだぁぁぁああッ!』
誰よりも幸せそうに走る、圧倒的な走り。
観客席に響く、祝福の声。
(いいなぁ)
私も、いつかこんな風に――――お兄ちゃんに―――――。
『さあトリプルティアラをかけた秋華賞もついに最終コーナー回って直線に入ります! 残り400を切ってしかしブエナビスタは完全に囲まれた状態! レッドディザイア抜け出した! レッドディザイアが来た!』
(進路が―――ないっ!?)
前は完全に塞がって。
外からレッドディザイアちゃんがスッと抜け出していったのが見える。
ダメ。置いていかれたら、もう追いつけない――――外に、私も外に出さないと―――――。
「―――――ブエナアアアアッ!」
(お兄ちゃ―――――っ!?)
ダメ、後ろから来てた!
外に出したら斜行になっちゃう!
でも、もう進路が―――――これじゃあ、もう――――。
脚はまだ残ってる。
でも、レッドディザイアちゃんの脚色が良すぎる。これじゃ――――
間に合わない―――――。
観客席から聞こえる、悲鳴のような声。
歓声、声援―――。
でも、もうそれに応えられない無力感で、視界が暗く淀んでいくようで――――私が見たかった景色が、消えてしまう――――。
その全てを切り裂いて、大切なあの人の声だけが、はっきりと耳に届いた。
「――――――好きだ、ブエナ――――ッ!」
瞬間、世界が『切り替わった』。
無力感で沈んだ心に、喜びの火が灯る。
熱さが、想いが、胸から脚に、頭に、身体全体に伝わっていく。
視界が、花火でも打ち上げたみたいに黄金の光で輝いて見える。
無力感? ううん。そんなの必要ない――――私が、私たちが見たい景色が此処にあるのに――――諦める理由なんて、ない!
今行かないと追いつけない?
そんなの、『私たち』なら超えていける!
私の夢を、お兄ちゃんが叶えてくれた。
なら、今度は私が――――トレーナーさんの、お兄ちゃんの夢を叶えたい……絶対……叶えるんだから――――!
「――――――ぁぁぁァァッ!」
『―――――内からブエナビスタ! 凄い勢いで内からブエナビスタが来た!
レッドディザイア抜けているが、一気にブエナビスタ!
レッドディザイア! ブエナビスタ!
ブエナビスタ! ブエナビスタ捉えるか!?
二人並んでゴォォール!』
『しかしわずかに内ブエナビスタが抜けていたか!?』
『勝ったのはブエナビスタ! ブエナビスタです! トリプルティアラ達成ッ!』
400:名無しのウマ娘
告白だあああああああ!?
401:名無しのウマ娘
公開告白だああああ!
402:名無しのウマ娘
何であそこでロスしながら内を突いて差し切れるんですかね…?
403:名無しのウマ娘
脚色すっご
404:名無しのウマ娘
これが、愛の力…!?
405:名無しのウマ娘
意味わからん末脚で芝4000
というか告白したの? 現地民教えて
406:名無しのウマ娘
告白した。間違いない
407:名無しのウマ娘
あ、ウイナーズサークルを飛び出して
408:名無しのウマ娘
キスしたあああああ!
409:名無しのウマ娘
これは雄弁なお返事
410:名無しのウマ娘
あなただけにチューする
411:名無しのウマ娘
なんだろう、既視感のある光景
412:名無しのウマ娘
キス! ハグ! 頬擦り! トリプルティアラコンボ!
413:名無しのウマ娘
羨ましいぃいいいい
おめでとう
414:名無しのウマ娘
くっそおおおおおレースは婚活会場ちゃうぞ!?
おめでとう!
415:名無しのウマ娘
今晩はおたのしみですね!
おめでとう!
416:名無しのウマ娘
これが……新時代のトリプルティアラ…!
おめ
417:名無しのウマ娘
さすがはトリプルティアラ
おめでとー
418:名無しのウマ娘
これがトリプルティアラウマ娘の貫禄ですわ
おめでと!
419:名無しのウマ娘
逃がさないし離さない
420:名無しのウマ娘
譲れない
421:名無しのウマ娘
トレーナーさんごと取材に囲まれてて芝
おめでとう
422:名無しのウマ娘
『ブエナビスタさん今のお気持ちを!』
頬擦りに夢中で気づいてない
おめでとう。よかったね
423:名無しのウマ娘
トレーナー>>>取材
はっきりわかっちゃうね
おめでとう
424:名無しのウマ娘
『ブエナ! インタビュー! ブエナ!?』
425:名無しのウマ娘
焦りまくるトレーナーさんに芝
おめでとう
426:名無しのウマ娘
そして始まるトレーナーへのインタビュー
427:名無しのウマ娘
『トレーナーさん、今のお気持ちは』
428:名無しのウマ娘
『ええと、トリプルティアラという偉業をブエナビスタが達成してくれて本当に誇らしい気持ちでいっぱいです』
429:名無しのウマ娘
無難!
430:名無しのウマ娘
あ、ブエナちゃん泣いちゃってるじゃん
431:名無しのウマ娘
トレーナー泣かせた
432:名無しのウマ娘
責任とれー(棒)
433:名無しのウマ娘
『お兄ちゃんわたしも大好きぃぃぃ……っ!』
434:名無しのウマ娘
あ、はい。
やっぱり告白したのか
435:名無しのウマ娘
よく見返すとちゃんと告白も聞こえてて芝
436:名無しのウマ娘
GⅠレースは婚活会場だった…?
437:名無しのウマ娘
めにしゅきホールドの構え
438:名無しのウマ娘
トレーナー告白最速記録だあああああ!?
439:名無しのウマ娘
え、まじか
440:名無しのウマ娘
最速だったかぁ
441:名無しのウマ娘
言われてみれば?
442:名無しのウマ娘
ブエナちゃん嬉しそうで良かった
443:名無しのウマ娘
嬉しすぎて大号泣
444:名無しのウマ娘
おめでとう
445:名無しのウマ娘
良かったねブエナちゃん……。
446:名無しのウマ娘
やっぱりトリプルティアラウマ娘はデキてる