蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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9.ラウンジでの一コマ

 

梢と綴理の動画編集を終えて、ラウンジに出てくると、花帆ちゃんとさやかちゃんが2人で座って話していた。

 

「なんだがあたし、少しずつ蓮ノ空のいい所が分かってきた気がする」

 

「ええっ、あんなに蓮ノ空を嫌がっていた花帆さんが!?」

 

「まず一個!ご飯が美味しい!」

 

「確かに、それはありますね。朝夜と寮でのご飯が楽しめますし」

 

「そうだね、山の幸も海の幸も、とにかく食べ物がおいしくて」

 

「それは良かった」

 

『!?』

 

「ごめんごめん…驚かせるつもりは無かったんだ…」

 

蓮ノ空の事を語っていた花帆ちゃんに声をかけたのだが…驚かせてしまった。

 

「夜空先輩、お疲れ様です」

 

「お疲れ様です」

 

「うん、お疲れ、2人はここで仲良く談笑かな?」

 

「そんな感じです」

 

「それじゃ。お邪魔しちゃったかな…?」

 

「いえ!そんな事はないです」

 

花帆ちゃんはそう言ってくれてるけど、ここはお暇させてもらおうかな。

先輩が居たら過ごしにくいだろうし

 

「そう言って貰えるとこちらも助かるよ。それじゃ僕は部屋に戻るね。2人とも早めに寝るんだよ」

 

「はい」

 

僕はそう言って、この場を後にしようとしたのだが、さやかちゃんに引き留められてしまった。

 

「夜空先輩も良かったら私達と話しませんか?」

 

「けど…いいの、先輩が居たら嫌じゃない?」

 

「そんな事はないです!私は先輩と話してみたかったので!」

 

さやかちゃんがここまで言う子だったとは、驚きである。

 

「花帆さんもいいですよね!」

 

「うん」

 

「という事なので、先輩こちらに座ってください」

 

「了解」

 

半分脅されたみたいだったけど、花帆ちゃんは嫌そうにしてなさそうだから、オッケー…なのかな?

そう思いながら、さやかちゃんに案内されるがまま彼女の隣の席に座る。

 

「それで2人は寮生活どう?」

 

「私は問題ないですよ」

 

「学校が近いからギリギリまで寝坊出来るのが良いです!」

 

「花帆さん…」

 

「寝坊したら、かなり怒られるから覚悟した方がいいよ」

 

「そうなんですか!?」

 

「うん、怒られてる同級生を見たことあるけど…あれはやばかったね。言葉で表せられないくらいにね」

 

僕がそう言うと、花帆ちゃんはブルブルと震え出した。

 

「そこまで心配しなくていいから、その同級生…その時でかなり遅刻してたから…」

 

「それはいけませんね…」

 

「うんうん」

 

「あたし…遅刻しないようにします」

 

「心構えは良いけど、寝不足も良くないから、やっぱり早く寝るのが一番良いね」

 

その後、2人とたわいもない話をしていると、スクコネの話題になった。

 

「そういえば、さやかちゃん配信頑張ってるね」

 

「はい!練習風景だけですけど…」

 

「ううん、そんな事は無いよ。普段からそう言った事も配信していくのも大事だからね」

 

「ありがとうございます」

 

「さやかちゃん、毎日欠かさずアップしてる!凄い!」

 

「ちょっと!?なんでここで私の配信を見ようとするんですか!」

 

「え、だめ?」

 

「うっ。ううう…人に見られるのも練習の内…だめでは…ないですけど…」

 

「えっ?いつの間にかさやかちゃんのチャンネル、登録者が凄い事になってる!みんなに今年注目の新人って言われてるよ!さやかちゃん、実はあたしに隠れてライブしてた!?」

 

ライブはしていない筈…こういうのっていつ伸びるか分からないんだよね。

急に伸びる事だってある訳で

 

「し、していません!練習だけです!というか…注目を浴びているのは、わたし自身の力ではなく、夕霧先輩とユニットを組んだ後輩だから、だと思いますし…」

 

「さやかちゃんって…もしかして…なんか、ダンス凄い?」

 

「えっ?そ、そうですか?」

 

「うん…なんか、凄くキレがあるっていうか、手も足もピンと伸びてて、綺麗な感じがする…さやかちゃん、凄い…」

 

「それは私がフィギュアスケートをやっていたので、ゼロからのスタートという訳ではありませんから、でも、私ぐらいの一年生なら、他にもいくらでもいますし…」

 

「そんな事ないよ、ダンス部の部長さんが『今、居る子達よりも村野さんの方が上手だからさ…貸してくれない』って言われた事あったなぁ」

 

「私、ダンス部の人達よりも上手いって事ですか!?」

 

「うん、ここのダンス部、県ベスト8には必ず入るくらいには強豪だから、本当に凄いって事だよね」

 

蓮ノ空って大抵の部活は結果を残しているんだよね。

ここスクールアイドルクラブも含めて

 

「そうなんですね。私もっと自信持ってみます」

 

「その調子で行こうね」

 

さやかちゃんと僕がそう話す中で、花帆ちゃんは暗い表情になっていた。

 

「…あたし、他の人のチャンネルってあんまり見たことなかったかも」

 

「色々と勉強になりますよ」

 

さやかちゃんがそう言うと、花帆ちゃんはいきなり席から立ち上がった。

 

「あの、花帆さん、どうしたんですか、急に立ち上がって」

 

「あっ、もう消灯時間ですね。お部屋に戻らないと」

 

その時、設置してあった時計が目に入ったのだろう、さやかちゃんがそう言い。席を立つ。

 

「うん…」

 

「ええと…おやすみなさい花帆さん」

 

「ゆっくりと寝るんだよ」

 

「うん…おやすみなさい」

 

花帆ちゃんはそう言って、自分の部屋の方へと歩いていく。

 

「…花帆さん?」

 

「…」

 

明日辺り、梢に突撃するかもしれないなぁ…

 

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