予めご了承ください。
理由はXで言ってますが、気にしない人は無視してください。
蓮華祭から一夜明けて、いよいよ沙知先輩が旅立つその時がやってきた。
「先輩っ」
「未来。それにみんなも」
「さよならはいいませんよ、最後の別れじゃないんで」
「未来らしいね」
沙知先輩はそう言って、僕達の事を見渡す。
「昨日は、最高のライブ、見せて貰ったよ」
「えっへへ、はい、頑張りました!」
花帆ちゃんは明るくそう返事を返すが、僕たちは暗い表情だった。
「まず、一年生に、お礼を言いたいんだ」
「えっ。お礼を言うのはこっちの方じゃ」
「この子たちと、出会ってくれてありがとう」
「それは」
「あたしは、今年の新入生に賭けてた。あたしがこの子たちに何もしてあげられなくなったときから、それしかできなかった。でも……キミたちがいたおかげで、あたしは今日、こうして憂いもなく卒業できる」
沙知先輩がこうして言ってくれると、こちらとしても助かるというものだ。
「いや、まあ、やっぱりルリ的にはめぐちゃんと出会ってくれてありがとーなんだけど」
るりちゃんがそう言うと、先輩も笑う。
「あっはっは。瑠璃乃に限ってはそうかもね。キミだけ出会った順番逆だからね」
「なので、めぐちゃんがお世話になりましたー」
「とても良いお子さんでしたー」
「三者面談かな?」
「勝手に三者面談みたいなことすんな!」
めぐのツッコミに、みんなでくすっと笑う。
「…先輩、わたしも、救われた身です」
「あたしも、梢先輩、未来先輩に出会っていなかったら、どんな学校生活になってたか…というか、そもそもこの学校に居られたかどうかもわからないですし」
僕は、丁度一年前の事を思い出す。
「…そっか」
「ですから、沙知先輩のお礼を受け取らないのではなく、瑠璃乃さん同様こちらからもお礼を」
「はい!スクールアイドルクラブを残してくれて、ありがとうございました!」
「ああ」
その時だった。僕の隣に居たこずが先輩に声を掛けた。
こずの目には涙が溜まっていた。
「沙知、先輩」
「そんな顔するな。あたしは泣きたくないんだ」
沙知先輩の言葉を聞いて、こずは涙を拭った。
「っ…2年間、お世話になりました」
「ああ」
「…もっと、一緒にいたかった」
「そうだね、そればっかりは…ごめん。でも、許してくれてありがとう」
「ん」
「心配しなくてもいいからね。私たちはもう、大丈夫!」
「…ああ、あたしの目に狂いはなかった。あたしは…スクールアイドルクラブに入れて、本当に良かった」
沙知先輩……
「『八重咲』良い名前だ。あたしも、重なり咲く花弁の1枚になれたことを…誇りに思う。きっと、どこまでも重なり咲いていくんだろう、キミたちが四度目の桜と会う時には、きっと、もっと満開だ」
「四度目の。桜。そっか…来年は…」
花帆ちゃんは僕達の方を見てくる。
「そうだね…」
「ええ」
僕とこずは寂しそうな声で言うが、つづとめぐは分かっていないような反応を示していた。
分かってないのか分かってるのか分からない反応はやめろー
「なあ、花帆。そんな顔をするキミに、ひとつだけあたしから言っておきたいことがあるんだ」
「な、なんでしょう」
「春は出会いと別れの季節、ってよく言うだろう?あれは少し正確じゃないんだ」
「えっ?」
「順番が逆なんだよねぃ。別れがあって、出会いがある。別れにはつらい気持ちになることもあるけど…未来は意外と明るいんだってことを、憶えておいてほしいな」
「…はい!」
僕はこのタイミングで、先輩に話かけた。
「沙知先輩」
「ん?どうした未来」
「最後にこれだけ渡しておきたくて……」
僕はそう言って、沙知先輩の手にUSBメモリーを渡した。
「これは?」
「それ言っちゃ面白くないですよーまた、パソコンにでも繋いで見てください」
「ああ、そういう事か、全く未来らしいな、最後の最後で泣かすような事…しないでくれよ。全く…」
「だから、泣かないで終わろうと言ってるじゃないですか…沙知先輩ったら…」
さっきまでは泣く雰囲気がなかった沙知先輩を優しく抱きしめて慰める。
しばらくしてから、沙知先輩は覚悟が決まって、僕に『もう大丈夫』と言って離れた。
「よしっ!!未来の言うように、最後の別れじゃないからね。あたしからは一言
沙知先輩はそう言うと、僕達に背を向けて歩き始めた。
「沙知先輩!」
「さち」
「沙知先輩」
『卒業、おめでとうございます!』
「「ありがと! にひっ」
沙知先輩は、校門をくぐって、蓮ノ空から立ち去っていた。
「行ってしまったわね。沙知先輩…」
「うん…これで僕達が最上級生になったわけだ…自覚しないとな」
「そうは言っても、未来は十分上級生としてやれてるわよ」
「ありがと。そうだこず」
「どうしたの?」
「最近、二人でどこかに遊びに行って無かったしさ、明日、どこかにデート行こうかなと思って、どう?」
「うん、行きましょう」
「オッケー」
こずとデートの約束を取り付けたタイミングで、つづが声を掛けてきた。
「みく、さちに渡したあれって何?」
「あれかー、まあ、沙知先輩居なくなったし、言っても問題ないか。先輩がスクールアイドルクラブに居た頃の映像を集めて編集して作った。世界に一つしかない特別なUSBだね」
僕がそう言うと、めぐが速攻で突っ込んできた。
「みく!言ってくれたら、私も手伝ったのにー!」
「言ったらどこかでバレそうだったもん。一人でやる方が早かったの!」
「ふふっ。」
「どうしたの?こず」
「なんでもないわ。三年生になっても楽しそうな日々が過ごせそうと思っただけよ」
「よしっ!!このまま、みくを私の物に!!」
「やめなさい!!」
沙知先輩のセリフを変えてまで使った『またね』は、とある作品の先輩の言葉なんです。
分かった方いるかな。
ヒントは、作者が書いてる作品のキャラです。