「花帆ちゃん、吟の事をそんな誘い方したの」
「だって…熱意を感じたので」
夜、共同ロビーで花帆ちゃんから、吟をスクールアイドルに誘った事をを聞いた。
「それで…なんて言われたの?」
こずが花帆ちゃんにそう聞くと、花帆ちゃんは気まずそうに
「か、考えてみますって言われて…そのまま、解散に…」
「…吟も急にそんな風に声かけられたら、びっくりしただろうね…」
実際に見た訳ではないが、吟の感じだと花帆ちゃんみたいなタイプにはびっくりしそうだしな…
「うう」
「いやー、大胆だねー、花帆ちゃん。それって一目ぼれってやつー?」
「わかんないですけど…なんか、すごくビビっときたんですよぉ!あたし、この子とスクールアイドルやりたーい!って」
「わかる」
花帆ちゃんの言葉に綴理はそう言って頷く。
「まぁ…去年のつづとさやかちゃんってそんな感じだったし」
「…そういえばそうだったわね、あなたとさやかさんも。でも普通はだめなのよ。普通はもう少し手順を踏むの」
「梢はお堅いなぁ~いいじゃん、もっとノリで生きてみれば~?」
「その結果がギリギリでの進級というのなら、私はお堅くて結構」
めぐの言葉にこずはそう返す。
「ギリギリかどうかはわかんなくない!?」
「いや…ギリギリだったと思うよ」
「みくまで…!?」
「先生達に聞いてないから知らないけど。進級出来てるんだから気にしないの!」
僕がそう言うと、綴理が乗っかってきた。
「うん、進級できてよかったね、めぐ。ボクもめぐと進級できて嬉しい」
「急に普通のこと言うなー!綴理も大概だからね!?」
「つづはまだマシだぞ。提出物の期限は怪しい時あったけど…」
「これも全部みくのおかげ」
「綴理だってみくを頼ってるじゃん!」
綴理とめぐがやりやっていると、花帆ちゃんが話に入ってきた。
「それで、センパイ!入部希望の吟子ちゃんのことなんですけど!どうですか!?」
「ええ。初日から門戸を叩いてくれるなんて、嬉しいし、大歓迎よ。入部してもらうことには、もちろん異存ないわ。望めば誰でもなれるのが、スクールアイドルなんだから」
「やったー!それじゃあ!」
「ただし、スリーズブーケに入るかは、まだ検討の余地があるわね」
「ええー!?」
「その子がどんなスクールアイドルになりたいかを決めるのは、私たちではないでしょう?」
「そ、それは…」
「スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!蓮ノ空には3つのユニットがあり、ユニットごとに活動内容も、音楽性も違う。話を聞いていると。その子は明確な目的意識をもって蓮ノ空に来てくれたみたいだし。だったら、私たちがするべきなのは、まずはヒアリングじゃないかしら?」
「だねー」
「さ…さすが梢センパイ…。三年生になって、ますますかっこよく…!」
「そ、そうかしら?」
「花帆ちゃんも来年の今頃は三年生だよ?」
「梢センパイにかっこよくなれませんって…」
花帆ちゃんはそう言って、一旦間を置き
「でも、そうですよね。梢センパイ!あたし、吟子ちゃんにいろいろ聞いてみます! それでいて、スリーズブーケのいいところをいーっぱい紹介して、吟子ちゃんがスリーズブーケに入りたーい!って思ってくれるようにがんばります!それならいいですよね!」
「それは…」
「なんか去年も見たような気が…」
「こずがやったのと同じだね」
「む」
「なるほど。無垢でいたいけな一年生だった花帆ちゃんを、言葉巧みに誘導したんだね」
「人間きが悪いでしょう!」
「でも、あんまり強引にしないようにね花帆ちゃん」
「はい! 梢センパイをお手本に、あたしがんばります!」
「がんばれがんばれー」
「そーだそーだ。花帆ちゃんだってもう二年生なんだからねー」
「…それは、確かにそうだけれど」
「見ててください、先輩方!新入生獲得大作戦です!」