次の日。早速、吟に練習を見て貰おう事になり、花帆ちゃんは吟に梢の事を紹介していた。
「じゃーん、このすっごい美人の三年生が、乙宗梢センパイ!あたしと一緒に、スリーズブーケっていうユニットをやっているんだ!文武両道!容姿端麗!なんでもできちゃうんだよ!完璧な先輩なんだ!」
「は、初めまして!蓮ノ空学院一年生。百生吟子です!どうぞ、よろしくお願いします!」
「吟、そんなに緊張しなくていいよ」
「その通りよ。緊張しなくてもいいわよ。それに、花帆が少し大げさに紹介してくれたけれど、乙宗梢よ。未来から話は聞いているわ。よろしくね吟子さん」
「は、はいっ!」
梢の言葉に、吟はそう返事を返す。
「吟もいつもみたいにやったらいいからね」
「みくさんもよろしくお願いします」
「うんうん、よろしくね吟」
僕がそう言うと、吟の表情はパッと明るくなっていた。
これでちょっとでも緊張がほぐれてくれたらいいんだけど
「それで…こずと話したんだけど、花帆ちゃん」
「は、はいっ!なんでしょうかみく先輩」
「吟の基礎練習は、当面の指導は、花帆ちゃんがやってね」
僕がそう言うと、花帆ちゃんは一瞬戸惑いを見せたが
「えっ?あっ、はい!わかりました!」
「えっ?みくさんが見てくれるんじゃないですか?」
「うん、練習は基本的にみんなに任せてるからね。練習頑張って」
「花帆」
「なんでしょうか梢センパイ!」
「二年生らしいところを見せてあげてちょうだい。ね?」
「〜〜っ、はい! いこっ、吟子ちゃん!」
「は、はい!」
そして、花帆ちゃんと吟は二人きりで基礎練習を始める。
「それじゃあ、まずは基礎練習だよ、吟子ちゃん!最初から楽しい応用編をやりたいのはわかるけど、なんでも大事なのは基礎なんだからね!」
「いえ、基礎の大切さは、わかってますけど…」
「あ、そ、そう?そうだよね。じゃあね、最初は柔軟から!」
「はい」
花帆ちゃんから声を出して、コミュニケーションを取ろうとする。
「……どう? 地味で大変でしょ。でもね、この積み重ねが明日の筋肉を作るのよ!」
「はあ」
「そ、そうだ、吟子さん!あたくしね、今度こそちゃんと紅茶をいれてきたの!ほら、水筒!ね、喉乾いてないかしら!?」
「えと……まだ、大丈夫ですけど………?」
「え?あ、そう!?」
なんだが、空回りしてるというか…梢をお手本にし過ぎてるというか…花帆ちゃんには彼女らしい良い所もあるんだけどなー
そして、場所を移し、中庭まで降りてきた。
「それじゃあ、周りをぐるっと走ってきますね」
「う、うん、いってらっしゃい!」
吟はランニングに行くと、花帆ちゃんは悩みだす。
「ええと、梢センパイは、この後…確か…」
見かねた梢が花帆ちゃんに声を掛ける。
「ちょっといいかしら、花帆」
「な、なにかしら!?梢センパイ!」
「あのね、ムリして私の真似をしなくてもいいのよ。あなたには、あなたのやり方があるんだから」
「そうそう、花帆ちゃんのやり方でいいんだよ」
「で、でも…あたしは、これでスリーズブーケを好きになったので」
「花帆ちゃんはそうだったね。でも吟は花帆ちゃんじゃないでしょ?」
「あっ…それは」
「だから、ちゃんと吟子さんを見て、なにが1番彼女の成長に役立つのかを、あなたがしっかり考えなきゃいけないの」
「な、なるほど!瑠璃乃ちゃんのときの、応用…発展形…!えっ。でもそれって、大変ですよね!?」
「そうね、大変だったんだから」
「うっ……梢センパイでも大変だったのに、あたしにうまく、できるでしょうか」
花帆ちゃんは不安の表情を浮かべる。初めての経験だから無理もない。
「不安に思う気持ちもわかるわ。責任重大だものね。でもね、あなたがやらなきゃいけないのよ。吟子さんといちばん長い時間を過ごすのは、花帆。私や未来ではなく、あなたなんだから」
「大切なのはあなたたちふたりの気持ち、あなたたちだけのやり方、お互い話して、お互いを理解し合うこと」
「そうそう。困った時は僕とこずは力を貸すから。ひとまずは花帆ちゃんの思うようにやってみるといいと思う」
「センパイ……わかりました!まずは、仲良くなるところから、ですね!あたし、とにかくやってみます!」
「その調子だよ」
「みく先輩、吟子ちゃんの好きな物を教えてください!」
「そこからやっていくんだね。いいよ教えてあげる」