花帆ちゃんの悩みを解決した僕は、今日も部室で編集や作曲の手伝いを行っていた。
「それで花帆ちゃんの調子はどう?」
「私の作った練習メニューで頑張ってるわ」
「なるほどね。梢だったら大丈夫か」
花帆ちゃんに取ってはキツイと思うけど、彼女ならなんとかなるだろう。
もし、行き過ぎていたら止めたら良いだけだし…
「そうだわ!」
「どうしたの」
「次のライブ、伝統の衣装を着ようと思うの」
「あーあの衣装か」
「どうかしら?」
「いいんじゃない?」
「日野下さん次第でと思っていたのだけど、問題ないわよね」
「オッケー、衣装の確認しないとだね」
「ええ、未来には負担をかけるような事をお願いして_」
「いいって梢、これも部長を任せれた以上、やるだけなんだから」
「本当、未来には助けて貰ってるわ。本当にありがとう」
「ほら、花帆ちゃんの練習に行かないと」
「ええ」
梢はそう言って部室を出ていく。
中庭の見える廊下から、練習をする梢と花帆ちゃんを見ながらこう呟く。
「花帆ちゃん…無理しないといいんだけど…」
梢の練習メニューで練習の日々が数日続いた。
そして、ライブ前日を迎えた。
「いよいよ明日だね、花帆ちゃん」
「はい!頑張って練習をしてきましたから、みんなの期待に応えられるように頑張ります!」
「うん、頑張って」
その時、足を気にしていた花帆ちゃん。
この時に声をかけていれば変わっていたのかもしれない。
-ライブ当日-
「スクールアイドルがいーっぱい!凄い、凄いですね、先輩!」
「でも、貴方もその中の1人なのよ…それに…」
「夜空先輩…人気ですね」
「そうね…人気が凄くてこうなると分かっていたから付いて来なくて良かったのだけれど…」
そう言った梢が見る先は、他校のスクールアイドルに囲まれる未来の姿だった。
「夜空君、私達と一緒に写真撮って!」
「夜空君!こっち見て!」
蓮ノ空の定期配信で顔を出している為か、他校のスクールアイドル達に人気が出てしまい、こうして写真撮影を頼まれる事が多くなってしまった。
「はいはい…今日はそんなに時間が取れないから、先着10人だけね」
『ええ~』
本当に時間がないのでそんな声をあげないで貰いたいのだが…
「は~いチーズ!」
頼まれる以上は、ファンサを忘れないようにしよう。
「…」
「梢先輩?」
「いえ、なんでもないわ…ちょっと妬いてしまうけど…」
「そうですもんね…彼女ですし」
「そうなのよ」
「先輩もそんな表情をするんですね」
「こんな表情をするのは未来だけだわ」
と言う梢の顔はほんのり赤くなっていた。
「ハイ、今日はここまで、また機会がある時にね」
『え~ライブまでまだ時間あるのに~』
「あはは…ごめんね…」
僕はそう言って、他校のスクールアイドルに手を振って梢と花帆ちゃんの元へと戻る事にした。
「もっと、キレのある動きを、こう…」
「さやかちゃんなら、もっと高く飛ぶはず…」
戻ると、そこでは花帆ちゃんが手や足を使って何かしていた。
「日野下さん、そろそろ戻りましょう」
「ステップを踏んで、一歩を大きく…」
梢が声をかけたが花帆ちゃんには、全く聞こえて無かった。
「日野下さん…?」
「ここで勢いつけて、ターンーー」
花帆ちゃんがそう言った時、花帆ちゃんがバランスを崩した
「日野下さん!」
「花帆ちゃん!」
2人で花帆ちゃんを止めに行ったのだが…梢も足をねじってバランスを崩してしまい、下敷きに僕がなってしまった」
『夜空先輩!《未来!》」
******
「本当!みくが怪我したって聞いて、すぐ飛んできたよ。全く何をしてたの」
「慈…わざわざありがとうね」
お見舞いに来てくれたのは、
スクールアイドルに所属しているが、今は休部状態にある。
「それで状態は?」
「本当に大した事ないよ。ただの打撲だから。2.3日もすれば大丈夫だから」
「助けが欲しかったらいつでもめぐに言うんだよ。いつでも駆けつけるんだから!」
「はいはい…もう大丈夫だから帰った帰った」
「むぅ~釣れないな~」
「クラブに入る時に、毎日のように好きって言われたらこうなるに決まってるでしょ…」
「それでも私に靡かなかったみくも凄いと思うけどね。だって私可愛いし」
「あーうざい。さっさと帰れ」
「あはは、その調子だと大丈夫そうだね。もっと一緒に居たいけど、今日は帰ってあげる」
「是非、そうしてくれるとこっちとしては助かる」
「じゃあねみく、また会いに来るから」
「はいはい…」
慈はそう言ってこの部屋から出て行った。
それと入れ替わりで、梢と花帆ちゃんの2人が入ってきた。
「未来、状態は?」
「大した事はないよ、2.3日もすれば治るって」
「そう…」
「それよりも花帆ちゃんごめんね」
「え?」
「だって楽しみにしてたんでしょライブ、僕が怪我をしてしまったせいで台無しにしてしまって」
「なんで…夜空先輩が謝るんですか…迷惑をかけたのは、あたしじゃないですか…だって先輩はあたしをかばってくれて…本当に、ごめんなさい!」
「ううん…僕だって足を気にしている花帆ちゃんを止める事が出来なかったから僕も悪かったんだよ」
僕が花帆ちゃんに謝ると、隣に居た梢が花帆ちゃんに問いかけた。
「貴方の足は、どうしたの?」
「これは…先輩の言いつけを破って、夜中にも、練習をして。ずっと足首に違和感があったんです…けど、そんなの練習が足りないからだって、無視して…今日も、ライブが始まればきっと、気にならなくなるだろうって…」
「…なるほどね」
「ごめんなさい!ほんとに、あたし…」
「…」
「先輩達に迷惑をかけたくなかったんです…あたし、出来てない事がまだまだあって…下手なままじゃ、だめだから。もっといっぱい練習して、もっともっと上手にならなきゃって…梢先輩も、夜空先輩も、さやかちゃんも、心配してくれていたのに…」
「今回は僕の打撲だけで済んだから良かったけど。一歩間違えたら花帆ちゃんが大怪我になってたかもしれないんだよ?それは分かってるかな」
「はい…本当にごめんなさい!全部あたしのせいで…全部、全部あたしが悪いんです!ごめんなさい!先輩…ごめんなさい!」
「待って、日野下さん!」
病室から飛び出すようにして、出ていった花帆ちゃんを追いかけていった梢…
「はぁ…どうしたものか…」