「はぁ。はぁ…少し、いいかな?…話が、したいんだ」
「話…どうぞ?」
綴理がやってきて、話がしたいと言ってきた。
それにさやかちゃんはそう返した。
「ええっと…」
いざ話をしようとすると。固まってしまった綴理
「綴理、さやかちゃんからも話があるんだって。聞いてあげてくれないかな?」
「さやが?」
「そう、さやかちゃん」
「はい。夕霧先輩」
「うん…」
「謝らければならない事があります」
「謝る?さやが?」
「目をかけてもらって、根気よく指導してもらっているのに、ふがいなくてごめんなさい」
「さや…!?」
「言われた事一つこなすことが出来ず、まるで成長出来ていない事がとても情けないです。だからごめんなさい」
「さや、君は何を言ってるんだ」
「私が、夕霧先輩の足を引っ張ってしまって、あなたの望む理想に、私が追い付けないから、だから、あんなに、花帆さんと乙宗先輩の演技を…」
「う、あ…」
「…夕霧先輩に言いたい事は、いえ、夕霧先輩に判断して欲しい事は一つです」
「ふさわしくないと判断したのなら、私の事はいつでも。見限ってください…と」
「待って欲しい。おぼれそうだ」
「せ、先輩!?」
「先輩、お水を…」
さやかちゃんはそう言って、どこかへと行こうとしたが、綴理は引き留めた。
「ボクは、ボクは…そんな事は何も思ってない」
「それじゃあ、どうして」
「…さや。怒らないで聞いて欲しい」
「え?」
「ボクは言葉が下手だ。伝えるのがうまくない。もっとボクがちゃんとしていれば、さやをこんなに悩ませたりしない」
「…」
「でも、頑張るから、頑張るから。聞いて欲しい」
「先。輩?」
「_ボクはスクールアイドルにはなれない」
「え?」
「ボクはスクールアイドルが好きだ。初めて見た時に感動したんだ。ずっと1人でステージに立っていたボクとは違う。ボク自身もよく分かってない所で褒められて、凄いって言われてただけのボクとは違う。スクールアイドルは、1人じゃない。完璧じゃないかもしれないけど、みんなで頑張って。ステージに立ってるみんなとやると、地球上のどんなものより。綺麗に見えるんだ」
「ボクの、一番好きで…一番届かない芸術」
「…」
「貴方は夕霧綴理であって、スクールアイドルではない。…ボクはそう言われた。僕はあれからどんなに踊ってみても、スクールアイドルになれてない。でも」
「かほも…こずも、いつも間にか。だからごめん。ボクだ、ボクが足りない、ボクが良くない」
「さやは綺麗だよ。凄いスクールアイドルになれる」
「…えと、伝わった…かな」
「綴理…それじゃ…」
綴理の言葉を聞いたけど、それじゃ何もさやかちゃんには伝わらないよ…
「…ません」
「え?」
「伝わりません。さっきから何を言ってるんですか。あなたこそしっかり聞いてください。私にとっては、あなたこそがスクールアイドルです!」
「え?」
「初めてあなたのステージを見た時に、言葉なんて出なかった。こんな凄い演技があるんなんて知らなかった。こんな凄い演技をする人が、スクールアイドルクラブの夕霧綴理先輩って知った」
「誰が、貴方自身がなんと言おうと!私にとっては、貴方がスクールアイドルなんです!」
「…なんで…」
「なんで?そんなの簡単ですよ。私はスクールアイドルを全然知りません!」
「ずっと何も成長できなくて、それこそ溺れそうで、どうすればいいのかも、何を目指せばいいのかも分からくて。蓮の空になら何かヒントがあるかもって、ほんとに最後の希望みたいに縋り付いてきたこの場所で、どうしようもなく迷っていた時に、それを全部晴らした希望だったんです。まだ頑張れるかもって思えたのは、先輩の演技が見られたおかげです!」
「見る人に希望を与えるのがスクールアイドルなのだとしたら、私がこの学校に来て良かったと心から思えた理由、その人が、スクールアイドルじゃなくてなんだって言うんですか!」
「ボクが、でも、ボクはその時も1人で」
「一人じゃダメだと知りませんよそんなもの」
「私の憧れに、あんまりひどい事を言わないでください」
「すみません、やっぱり今のなしで」
「…さや」
「…なんですか」
「スクールアイドルに、なりたい」
「ボクは、ずっとスクールアイドルに、なりたいんだ」
「君は、僕をスクールアイドルにしてくれるの?」
「何度でも言います。貴方は、私にとっては最初から、一番のスクールアイドルです。でも、そうですね。どうしても1人じゃダメだっていうんなら私がそばに立ってますから」
「あーー。そう、だね、さやとならーー。踊ろう さや。今なら凄い事が出来そうだ」
綴理とさやかちゃんの解決したようだった。
「さやかちゃん、言いたい事は言えた?」
「はい。もう大丈夫です」
「それじゃ、僕はもう行っても大丈夫?」
「せっかくなら練習見て行って」
「はい!私も見て行って欲しいです」
2人にお願いをされてしまった。
「オッケー、2人から言われたら見てあげるしかないね」
僕はそう言って、2人の練習を見るのだった。