DOLLCHESTRAとして、ライブを無事に成功した二人だったのだが…
「これ…どういう状況なの…?」
「それはこっちが聞きたい…」
「さや、みくの事は渡さない」
「何を言ってるんですか!未来先輩の事は私の物なんです!だから離れてください!」
あの一件以降、さやかちゃんはまだしも、何故か綴理に好きと告白みたいな事をされた。
「二人とも…未来は私の彼氏なのだれけど…」
梢がそう言うが、二人は全くといって良いほど話を聞いてなかった。
「大丈夫だと思うけど…ライバルがまた増えたわ…」
梢はその場で頭を抱える事になった。
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「新聞部からのお願いなんだけど…二人にはこれを書いて貰います」
と言って、僕は真っ白の紙を2人の前に差し出す。
「これは?」
「撫子祭に張り出す新聞の紙」
「何を書いたら…?」
「なんでもいいよ。期限はないけど、撫子祭までに書いて貰えると助かるかな」
撫子祭というのは、6月末に開催する蓮ノ空の3つある文化祭の一つである。
「なんでもいいって言うのが…」
「まぁ…そうだね…なんでもいいって言われたら困るのは分かるけど…」
「未来先輩…」
「さやかちゃん…撫子祭の新聞作りは一年生がやるのが伝統行儀だから、絶対ではないけど」
「それなら手伝って貰える事って…?」
「まぁ…どうしてもって言うなら…ね…」
「分かりました。私達で頑張ってみます。ね、花帆さん」
「は、はい!」
「それじゃ、新聞は二人で頑張ってもらうとして…二人の作る新聞楽しみにしてるよ。こんな事言ったらプレッシャーに感じるかもしれないけど…」
僕はそう言って、部室を出ていった。
-後日-
「今日は先輩がたが居ません」
「え、あ、そっか!今日だった!どうして来ないんだろうって思ってたや、ひょっとしたらたぬきに襲われてるんじゃないかって…」
「おふたりがたぬきに負けるようなことはあまり想像できませんけど…とはいえ、私達は私達でやらなきゃいけない事があるって事です」
「えーっと…」
「…まさかとは思いますが、忘れているとか?」
「そ、そそそそんなことはないよ!?ちゃんと覚えているよ!今日は全体部活会議で梢先輩はお休み!綴理先輩も…えーっと、先生とお話でお休み!夜空先輩は、用事でお休み」
「はい。綴理先輩は、進路相談だそうです。うちは一年生の後半から定期的に行うみたいですね」
「という訳で正解の花帆さん、私達はこれです」
と言ってさやかは真っ白の紙を机の上に出す。
「あ、そっか!夜空先輩が言ってた、新聞部からのお願い!」
「はい。部活の紹介新聞です。期日は特に設けられてませんが…撫子祭で張り出すという目的がある以上、早めに越したことはないかと」
「一年生が書かないといけないんだったよね」
「絶対という訳ではありませんが、撫子祭の新聞記事は新入生が執筆するのが伝統、ということですから。だから、みく先輩も、私達の記事を楽しみにしていると言ってくれたんですし」
「そっか、先輩の為にも頑張らないとって事だ!」
と言った花帆は何か違和感を感じ取った。
「さやかちゃん」
「はい、なんですか?」
「今、夜空先輩の事なんて言ったの?」
「えっ?みく先輩と言いましたが?」
「いつの間にそんな呼び方に!?」
「こないだの大会の後に、聞いたら呼んでもいいと言われたので」
「ええ!?私、下の名前で呼んでもないのに!」
「みく先輩なら、呼んでもいいって言うと思いますよ」
と花帆とさやかが部室でそう話している中、未来はというと_
「よし、用事も終わった事だし…帰りますか…」
用事を終えた僕は、蓮ノ空に帰ろうとしたその時、僕に声をかける人が居た。
「そこのお兄さん、私と一緒にお茶しない?」
「あっ、ごめんなさい…今、用事で_って慈か…」
「こんめぐ~会いたかったよみく~!」
と言って未来に抱き着く慈。
「暑い…」
「そんな事言って、本当は嬉しいんでしょ~ほらほら」
と言ってちょっかいをかける慈。
それに対し、未来は凄く面倒くさい表情を浮かべていた。
話は戻って、蓮ノ空スクールアイドルクラブの部室
「蓮ノ空スクールアイドルクラブにしか出来ない紹介記事が良いと思うんだ!」
「それは…それは確かに、そうですね」
新聞作りの話が進んでいたようだった。
「せっかく頼んでくれた未来先輩の為にも、あたしたちがこの場所大好きなんだって伝えたいし!きっと喜ぶよ!」
「分かりました!では、この蓮ノ空スクールアイドルクラブにしかないもの…それでいて誰にでも分かる魅力的な点。それを探しましょうか」
「ふっふっふ」
「花帆さん?」
「そんなもの探すまでもないよさやかくん」
「さやかくん…?」
「すばり…先輩だよ!!」
「まず梢先輩は…頼れる!!」
そう言った花帆の言葉をメモに書き写していくさやか
「なるほど」
「一緒に居ると安心できて、ステージの上では梢先輩と一緒だからってだけで、すごく自由になった気持ちになれるんだ!」
「ふんふん」
「練習の時は怖いけど、真面目な感じはこう、あたしもちゃんとしなきゃ=、って思うけど…でもそれも、梢先輩が居れば大丈夫って気持ちになれる理由だよね!」
「なるほど…うん。良い感じだと思います」
「ほんと!?」
「はい、花帆さんは乙宗先輩の事が本当に大好きなんですね」
「えへへー。その気持ちを、みんなにも伝えないとね!」
「そうですね!」
「じゃあさやかちゃんも、いつもみたいに恥ずかしがらずに、綴理先輩の話を!さあ!」
「分かりました。といっても乙宗先輩のように頼りがいがある人ではありませんからね」
「あはは。地味にさやかちゃん、いつも綴理先輩に厳しいもんね」
「まあでも、それを補って余りある、綴理先輩のパフォーマンス力は、どうしたって他の誰にも真似が出来ないものです」
「なるほど?」
「誰が見ても一目で魅了されるステージ上での綴理先輩の姿は、確かに綴理先輩にとって孤独だったのかもしれません、でも今は私が居ますから、それは大丈夫にします。つまり綴理先輩は本人が想う欠点が無くなり、最強です」
「…あれ、ここまでだっけさやかちゃんって」
さやかの熱い言葉に花帆は押されていた。
「ステージを下りれば、抜けたところも多い人ではありますけど。それもまた綴理先輩の魅力を形作る一つですから。更にそんな綴理先輩を支えるみく先輩も最強です!」
「さやかちゃん?さやかちゃーん?」
「つまり、綴理先輩とみく先輩が要る限り、この蓮ノ空スクールアイドルクラブに陰りが見える事はない。蓮ノ空スクールアイドルクラブと言えば綴理先輩の__」
さやかちゃんが続きを言おうとすると、花帆が横やりを入れた。
「はいはいはーい、梢先輩と未来先輩が居てこその蓮ノ空スクールアイドルクラブです!」
「?ええと?」
「確かに綴理先輩が凄いけど!蓮ノ空スクールアイドルクラブといえば梢先輩と未来先輩のコンビだと思います!」
「なるほど…」
「うんうん」
「考え方は自由です」
「あれえ!?ほ、ほら梢先輩はしっかり者だし、未来先輩は部長だし、それに恋人同士だし!」
「確かに綴理先輩は部長でなければ、みく先輩と付き合ってる訳でもないですし、むしろ支えられてる側ですが、スクールアイドルという一点で見れば綴理先輩こそがこの部活の顔です。綴先輩にしか出せない美しさがありますから」
「ぐっ、う、ほ、ほら、梢先輩は部の内外から信頼されるし!」
「…綴理先輩は休み時間にみんなから一曲をお願いされる程ですので!」
「それから、えーっと…勉強とかも凄く出来る!」
「そ、それは…あれ、綴理先輩はどうなんでしょう。なんかだめそう」
「あと運動もできる」
「それはスクールアイドルですから、最低限は誰だって!綴理先輩がどれだけ体育の成績が良いのか知りませんが!」
「あと周りから凄い人気者!」
「ぐっ…そ、それはどうやって証明するんですか!綴理先輩だってそうですよ!」
「証明!?えーっとそれは…」
「綴理先輩は多分あれですよ。一年生の頃からライブで誰をも魅了してーー」
「多分あれって凄いふわっとしてるじゃん!それこそ証明が必要だよ!」
「証明は出来ないですけど!出来ない…ですけど」
言い合っていた2人は、黙り込んでしまった。
そんな中、先に口を開いたのは花帆だった。
「…ねぇ、さやかちゃん」
「…はい。なんですか花帆さん」
「さっきの話だけどさ。綴理先輩がいつからみんなに、踊ってーって頼まれるようになったかとか、知ってる?」
「いえ…ていうか、さっき言ったライブも…去年の先輩達が何をしてたのか知らない」
「それこそさっき言ったように、一年生から活躍をされていたかどうか、今の私達では、はっきり言いきれない」
「うん…あたしたち、思ったより先輩の事知らないね?」
「そうですね。せっかくの機会ですし…私達が知らなかった頃の先輩がたのことを、色々と知ってみたいです」
「だね。先輩を知ろう!それで記事をばーんって出して、先輩達に喜んでもらうんだ!」
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「みくって本当に紅茶好きだよね」
「そうだねって言いたい所だけど…いつまで付いてくるつもりなの?」
その後、なんやかんやあって、慈に付き合う形でカフェに来ていた。
「いいじゃん。私とデート出来て」
「梢と付き合ってるの知ってるよね?」
「うん。でも諦めてないから」
「なんでだよ」
「だって…私を変えてくれたのはみくだもん」