蓮ノ空に帰ってきた僕は、部室に顔を出した。
部活には顔を出さないと言っている為、そのまま寮へと直帰した。
「師匠〜遅いですよ!全く」
「ごめんって…姫芽ちゃん…」
「師匠だから許しますけど…師匠以外ならボコボコにしてる所でした」
「それは助かった…」
自分の部屋に帰る途中、ツマヨウ寺さん_改めて
何故、ストリーマーである姫芽ちゃんから師匠呼びかというと…姫芽ちゃんを一方的な試合展開にしてしまい、そこから教えたりとかしたからである。そんな彼女が学生チームのメンバーと聞いてびっくりだよね。
「全く…師匠が忙しいのは分かりますけど…」
「あはは…とりあえずランクマやるんでしょ?」
「はい!師匠、今日も宜しくお願いします!」
その後、しばらくして梢から連絡が来た。
「姫芽ちゃん」
「なんですか?」
「知り合いから今すぐに会えないって連絡が来たから、会いに行っても良い?」
「仕方ないですね。また、ゲームの約束をしてくれたら良いですよ」
「姫芽ちゃん、ありがとうね。後で連絡するから」
「は〜い。師匠 体調には気をつけて」
姫芽ちゃんにそう言われて、ゲーム画面を終了し、梢の元へと向かう。
「ごめん待った?」
「ううん、今来た所だわ」
寮の共有スペースで、梢は椅子に腰掛けながら待っていた。
「それで用事というのは?」
僕が梢にそう問いかけると、今日の夕方にした練習配信の事を話し始めた。
なんでも、梢と綴理が一緒のステージに立つことはないのかってコメントがあったらしい。
「そんなコメントが来たんだ…」
「ええ、昨日の練習配信のコメントを花帆さんが拾って聞いて来て」
「それで梢はなんて返したの?」
「今の私には花帆さんが居るからって」
「だからといって…あの2人の事だから…探ってきそうであるんだけどなぁ…」
「その時はその時よ」
そのまま、梢と解散して、そのまま寝た。
******
「あっ。未来君」
次の日、教室に行くとクラスメイトに声を掛けられた。
「何?」
「花帆ちゃんとさやかちゃんが来てたよ」
「そうなんだ。何か用事でもあったのかな」
新聞の件で悩んでるのかな…
「ううん、未来君達の事を聞きに来たよ。去年の事」
「そういう事か」
なるほど、他のクラブの1年千達も去年の実績を新聞にするみたい話はよく聞くし、花帆ちゃん達もそうすることにしたけど、それじゃ面白くないとかで僕達の事を取り上げる事にでもしたのかな。ますますあの事に触れられそうだなこのまま行くと…
「元気良いねあの子達」
「まぁね、花帆ちゃんは元気が取り柄みたいな所あるし」
「うんうん。私はさやかちゃんが推しになっちゃったよ」
「それは嬉しいね」
クラスメイトと話していると、教室の扉が開き、先生が入ってきた。
「さっさと席に座れ!点呼をするぞ」
「先生が来ちゃった…じゃあね」
「うん」
そう言って、クラスメイトは自分の席へと戻っていった。
点呼が終わり、昼休み。すっかり元気のない隣の席の綴理に僕は声をかけた。
「綴理~昼休みだよ~」
「…」
ダメだ…すっかり元気を失ってる…
「みく…国語の問題全く分からない…」
「原因はそれか…」
「後…お腹空いた…」
「…」
明らかに後者が原因な気がするけど…仕方ないなぁ…全く
というか、さやかちゃんから弁当貰うの忘れたのかまた…
「綴理、これあげる」
「あっ、みくのチョコのパンだぁ」
「何も食べないのは良くないからとりあえずそれ食べて、さやかちゃんの所に行ったら?」
「うん…そうする。ありがとみく」
そう言って、チョコパンを食べ始める綴理。
後は、問題ないと思うし。僕は食堂にでも行こうとするか…。綴理に昼ごはん取られちゃった訳だし
******
放課後、僕は大倉庫に居た。
しかし、探し物が見つからなかった。
「梢…どこにやったんだ…」
その時だった。
花帆ちゃんとさやかちゃんがやってきた。
「夜空(みく)先輩!?」
「2人とも熱心だね。新聞作りでここに来た感じ?」
「はい、そんな感じです。先輩は?」
「僕はちょっとした探し物でね」
「私も手伝います!」
「それなら私も」
「大丈夫だから。気にしないで」
僕がそう言って、奥の方へと向かう。
すると、さやかちゃんの声が聞こえてきた。
「アルバム作り…私達もやってみたいな…あまり、プリントすることもありませんし」
「…あ」
「どうしたの?」
「これ、見てください」
「先輩達だ!」
「一年生の時の先輩がた…なんだが新鮮ですね」
「『Dream Believers…一年生お披露目!』…ドリーム、ビリーバーズ?」
「曲の名前かなあ。でも、一年生お披露目ってことは」
「はい。これは、去年の撫子祭みたいですね」
「一緒のステージに、立ってる。梢先輩も綴理先輩も…っと、あれ?」
「これは…生徒会長?」
「ほんとだ!それにーーこの人どこかで…」
「あっ!夜空先輩のお見舞いに来てた人だ!」
「じゃあ、これが去年のスクールアイドルクラブのメンバーだったんですね…」
「この人達、なんで今居ないのかな…」
「それは…いえ、確かに気になることではありますが…今は、綴理先輩たちの事を優先しましょう」
「夜空先輩居るんだし、聞いてみようよ! 夜空先輩ってうわぁ…」
「花帆さん!?」
二人がそう言った後、物凄い音がして二人の元へと僕は戻った。
戻ると、さやかちゃんは僕の探していた物を手に持っていた。
「…見つけてしまったか…」
「夜空先輩…」
「みく先輩…これって…」
さやかちゃんが手に持っていたのは、去年、蓮ノ空スクールアイドルクラブがラブライブ!地区予選突破した際の写真だった。
「…なんで出場辞退したんですか…」
「それは…」
僕が言うべきか悩んでいると
「二人とも、居るの?」
「あっ…梢、先輩」
「綴理先輩…どうして、ここに…」
「…」
「未来から大倉庫に居るって連絡が来てね…」
二人は気まずそうな表情を浮かべていた。
「花帆さんも村野さんも、そんな気まずそうな顔をしなくても良いわ。記事のために去年の事を調べようとしていたんでしょう」
「え、あっ、えっと…そうです!そうなんです!」
「そうよね、悪い事なんて何もしていないのだから、そう身構えないで」
「ありがとうございます。えっと、お二人は私達を探しに?」
「いいえ、そうじゃ、なかったのだけれど」
「梢…見つけるのが遅くなってごめん…」
「未来は悪くないわ…」
「それって大倉庫に残ってるかも…って気づくのが遅かったってこと?」
「人がここに来るんじゃないかって、そう気づくのがね。未来は気づいたみたいだけど…その前に、この辺りのものは隠しておきたかったのだけれど」
「捨てないの?」
「…捨てないわ。戒めだもの」
梢と綴理のやり取りに思い空気が漂っていると、花帆ちゃんが口を開いた。
「あ、あの!これーーえっと!去年、ラブライブ!の地区大会を突破してたんですね!」
「…花帆さん」
「は、はい」
「それ、渡してくれる?」
「あ、はい…」
梢の威圧感に屈した花帆ちゃんは、写真を梢に渡す。
「はぁ…これは私の失態ね…確かに、辞退したわ。全国大会」
「梢先輩…?」
「言うの?」
「僕は言った方が良いと思う…ここまで来たら隠せないでしょ…」
「そうね。この子達は悪くないもの、部活のために、頑張ってくれただけで、隠せなかったのは私達の責任、だから、変にしこりを残すより、きちんと話した方が良いでしょう」
「…ん」
梢の言葉に、綴理は頷いた。
「去年の今頃は、もう少し部員が居たのよ。私と綴理、未来を含めて、一年生が四人、それから、二年生が一人だけ」
梢がそう言うと、花帆ちゃんとさやかちゃんは声を出す。
「ひょっとして、生徒会長の」
「…ええ、その先輩は…引退したのよ、それで残された四人で頑張ろうとした矢先に、もう一人が怪我をしてしまって」
「あっ…」
「だから…ラブライブ!地区大会には私と綴理で出たの」
「でもね。足並みが合わなかったのよ。綴理と私じゃあね。だから全国大会は辞退したの。地区大会は突破できたし、突破したからには続けるべきだとも思ったけれど…これ以上続けてもお互い不幸になるだけだったから。私は…綴理の隣に立てなかった」
「あっ…」
「だから、もう一緒にやらないって決めた。でも、それで問題は無いの」
「綴理には村野さんが居て、私には花帆さんが居るから。それに未来だって居るから。変に勘繰らせたならごめんなさい。でも、心配なんて一つもないから。だからーーこの話はここまでよ」
「梢先輩…」
「そんな顔をしないで、私達は大丈夫だから。ねえ、綴理」
「…うん」
「じゃあ、先に戻っていて。私はここを片付けていくから」
梢はそう言って、花帆ちゃんとさやかちゃんを先に返した。
落ち込みながら去っていく花帆ちゃんを見て
「…また…面倒事が増えた…」