蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

22 / 39
21.足並みを揃えるには

 

「こんな感じだね」

 

綴理と一緒に踊って、二人に見せると、二人は感動の声を上げていた。

 

「未来先輩、作曲できるのは知ってましたけど…ダンスまで出来るなんて…」

 

「それほどでもないよ…」

 

「すごく…独創的というか、もしかしてこれ、綴理先輩の作曲ですか?」

 

「うん」

 

「ふへー…すっごくかっこいい曲ですね!!」

 

「そう?なら嬉しい」

 

「去年…急に綴理が持ってきたのよね。曲出来たかもって」

 

「そうだよね」

 

「綴理先輩らしいですね」

 

「あの時は、こずと一緒に頑張るんだって…それしか考えてなかったから」

 

「…その期待に、私は応えられなかったけれど。でも、だからこそもう一度やりたいの」

 

「大きい振りなのに、すごく繊細で…とても難しいパフォーマンスなのは、よく分かりました」

 

「それじゃ、梢と綴理の二人で踊ってみよう」

 

「ええ(うん)」

 

僕の言葉に二人は頷き、僕が踊っていた所に梢がそのまま入り、ダンスを始める。

 

「どうだったかしら?」

 

「…やっぱり足並みが…」

 

「ですね…」

 

梢の問いに僕とさやかちゃんはそう返す。

 

「え、さっきのでダメだったんですか!?」

 

「ええ(うん)」

 

「即答!」

 

「足並みが合わない、ですか。確かに、お二人の動きは雰囲気が違うと言うか…」

 

「ん」

 

「とにかくこの曲を完成させられなかったことが、私の後悔なの」

 

「…」

 

「だから、今度こそ頑張りたいのよ」

 

「いいですね、分かりました!じゃあ、まずはその足並みですね!さやかちゃん!やるよ!」

 

「あ、はい、もちろんなんでもやりますけど。花帆さんはもう何か考えが?」

 

「うん、じゃあ、あたしから!」

 

花帆ちゃんがそう言うと、梢と綴理は不思議そうにお互いの顔を見合う。

 

「梢先輩、綴理先輩。足並みが揃わなかったって言いましたよね?」

 

「え、ええ、言ったけれど」

 

「ん」

 

「だったらーー足並みが揃うまで、くっついていましょう!」

 

『…』

 

花帆ちゃんの言葉に、みんな黙ってしまった。

 

「えっと…足並みが合わないなら…くっ付いて強引に足並みを合わせるって事…?」

 

「そういう事です!いつも梢先輩が未来先輩にやってるみたいに!」

 

「ちょっと花帆さん//」

 

花帆ちゃんの思わぬ言葉に、梢は照れた。

 

「ん」

 

そんな梢を無視して、綴理は梢にくっ付いた。

 

「こういう事ですか?」

 

「そういう事です!」

 

「え!?」

 

「あたしには、妹が二人居るんですけど!二人はいつも一緒に居て、だから大の仲良しなんです!」

 

「つまり?」

 

「つまり!一緒に居れば、きっとお互いの事がもっと分かるし…もっともっと、仲良くなれると思います!それこそ梢先輩と未来先輩のように!」

 

さっきから花帆ちゃんの言葉が、所々気になるけど…それで解決するなら困ってない話なんだけど…やってみる価値はあるか…

 

「…いつまで…?」

 

「ずっとです!」

 

「なるほど…乙宗先輩、綴理先輩は手がかかりますけど、頑張ってください」

 

「ほ、本当にやるの?」

 

「ボクは手がかかるけど、頑張って」

 

「それを綴理が言うのか…」

 

「…分かったわ、花帆さん達に頼ると言ったのは私だもの。必要だというなら、やってやりましょうとも!」

 

そう発言した梢だったが…数日後

 

「絶対違うわ」

 

「そうだと思った」

 

昼ごはんや移動時、練習全てで二人はくっ付いて行動を共にしていた。

 

「だめかー!」

 

「速やかに次の作戦を考えなくては」

 

「そうだねさやかちゃん!!頑張ろう!!」

 

「はぁ…」

 

「こず、嫌だった?」

 

「い、嫌ではないけれど。練習中にくっ付くのは、危ないからやめましょう?」

 

「それは乙宗先輩の言う通りかと」

 

「ふむ…分かりました、許可します」

 

「あ、ありがとう…?」

 

「肝心のダンスレッスンがおろそかになってもいけませんし…となるとますます、綴理先輩と足並みが合ってた未来先輩って…」

 

さやかちゃんはそう言って、僕の事を見てくる。

 

「雰囲気は全く違うけどね」

 

「難しい…」

 

「まあ、くっ付くのはちょっとアレですけど」

 

「ちょっとアレだった!?」

 

さやかちゃんの言葉に花帆ちゃんが驚いていた

 

「足並みが揃うように、もっと仲を深めて欲しいというのは本当です」

 

「どうしたらいい?」

 

「そうですね…たとえばですけど、色々と話せたりとか、相談できたりとか。今まで出来なかった事が出来る…とかでしょうか」

 

さやかちゃん良い事を言うね。

 

「…ふむ」

 

「…」

 

「私自身、綴理先輩に言えなかったお話が、たくさんありましたから。フィギュアのことで悩んでいたお話だとか」

 

「こず、何か悩みある?」

 

「ないけれど…」

 

「終わった」

 

「そういう事じゃないんですよ!」

 

これぞ綴理ワールド…

 

「…こほん。で、えっと、頑張ってくださっているお二人に、お話したい事があります」

 

「何かしら、記事の相談とか?」

 

「あ、それはもう終わってます」

 

「未来先輩に確認して貰ってるので、今はそれよりもお二人の事が大事です」

 

「そんな訳でこちら」

 

そう言って花帆ちゃんは祭りのポスターを差し出してきた。

 

「お祭り…?」

 

「夏も近いし、神社の催しものも増えていく時期ね。みんなで行こう、ということかしら?」

 

「いいえ、実は今朝、れいかさんと会いまして」

 

「ああ、れいかさん、久しぶり」

 

「アルバイトの人数が足りないみたいで、手伝って欲しいそうなんです。なのでーー」

 

「先輩方でお手伝いに行って来てください!」

 

「先輩方…?」

 

「はい!もう、梢先輩と綴理先輩、そして未来先輩で行きますって返事しちゃいましたので!」

 

「もう話が纏まってるの…!?」

 

「はい、楽しみにしてる、と言ってくれて。本当は未来先輩には行って欲しくは無かったのですが…」

 

「そう…」

 

「勝手な事をしてごめんなさい」

 

「…いいえ、むしろ、お礼を言わなきゃよね」

 

「そうだね。二人ともありがとう。それとさや、ボクはもっとみくと仲良くなって、さやに負けないようになってくるからね」

 

「あっ、綴理先輩、それはずるいですって!」

 

「花帆ちゃん…絶対にあの練習したくないから…祭りの手伝いに僕を入れたでしょ…」

 

「ギクッ…そんな事はないですよ…」

 

「本当かなぁ~?」

 

「そんな事は良いですから、先輩方いってらっしゃい!」

 

花帆ちゃんに無理やり行かされる形で、僕達三人は祭りに向けた出発した。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。