「こんな感じだね」
綴理と一緒に踊って、二人に見せると、二人は感動の声を上げていた。
「未来先輩、作曲できるのは知ってましたけど…ダンスまで出来るなんて…」
「それほどでもないよ…」
「すごく…独創的というか、もしかしてこれ、綴理先輩の作曲ですか?」
「うん」
「ふへー…すっごくかっこいい曲ですね!!」
「そう?なら嬉しい」
「去年…急に綴理が持ってきたのよね。曲出来たかもって」
「そうだよね」
「綴理先輩らしいですね」
「あの時は、こずと一緒に頑張るんだって…それしか考えてなかったから」
「…その期待に、私は応えられなかったけれど。でも、だからこそもう一度やりたいの」
「大きい振りなのに、すごく繊細で…とても難しいパフォーマンスなのは、よく分かりました」
「それじゃ、梢と綴理の二人で踊ってみよう」
「ええ(うん)」
僕の言葉に二人は頷き、僕が踊っていた所に梢がそのまま入り、ダンスを始める。
「どうだったかしら?」
「…やっぱり足並みが…」
「ですね…」
梢の問いに僕とさやかちゃんはそう返す。
「え、さっきのでダメだったんですか!?」
「ええ(うん)」
「即答!」
「足並みが合わない、ですか。確かに、お二人の動きは雰囲気が違うと言うか…」
「ん」
「とにかくこの曲を完成させられなかったことが、私の後悔なの」
「…」
「だから、今度こそ頑張りたいのよ」
「いいですね、分かりました!じゃあ、まずはその足並みですね!さやかちゃん!やるよ!」
「あ、はい、もちろんなんでもやりますけど。花帆さんはもう何か考えが?」
「うん、じゃあ、あたしから!」
花帆ちゃんがそう言うと、梢と綴理は不思議そうにお互いの顔を見合う。
「梢先輩、綴理先輩。足並みが揃わなかったって言いましたよね?」
「え、ええ、言ったけれど」
「ん」
「だったらーー足並みが揃うまで、くっついていましょう!」
『…』
花帆ちゃんの言葉に、みんな黙ってしまった。
「えっと…足並みが合わないなら…くっ付いて強引に足並みを合わせるって事…?」
「そういう事です!いつも梢先輩が未来先輩にやってるみたいに!」
「ちょっと花帆さん//」
花帆ちゃんの思わぬ言葉に、梢は照れた。
「ん」
そんな梢を無視して、綴理は梢にくっ付いた。
「こういう事ですか?」
「そういう事です!」
「え!?」
「あたしには、妹が二人居るんですけど!二人はいつも一緒に居て、だから大の仲良しなんです!」
「つまり?」
「つまり!一緒に居れば、きっとお互いの事がもっと分かるし…もっともっと、仲良くなれると思います!それこそ梢先輩と未来先輩のように!」
さっきから花帆ちゃんの言葉が、所々気になるけど…それで解決するなら困ってない話なんだけど…やってみる価値はあるか…
「…いつまで…?」
「ずっとです!」
「なるほど…乙宗先輩、綴理先輩は手がかかりますけど、頑張ってください」
「ほ、本当にやるの?」
「ボクは手がかかるけど、頑張って」
「それを綴理が言うのか…」
「…分かったわ、花帆さん達に頼ると言ったのは私だもの。必要だというなら、やってやりましょうとも!」
そう発言した梢だったが…数日後
「絶対違うわ」
「そうだと思った」
昼ごはんや移動時、練習全てで二人はくっ付いて行動を共にしていた。
「だめかー!」
「速やかに次の作戦を考えなくては」
「そうだねさやかちゃん!!頑張ろう!!」
「はぁ…」
「こず、嫌だった?」
「い、嫌ではないけれど。練習中にくっ付くのは、危ないからやめましょう?」
「それは乙宗先輩の言う通りかと」
「ふむ…分かりました、許可します」
「あ、ありがとう…?」
「肝心のダンスレッスンがおろそかになってもいけませんし…となるとますます、綴理先輩と足並みが合ってた未来先輩って…」
さやかちゃんはそう言って、僕の事を見てくる。
「雰囲気は全く違うけどね」
「難しい…」
「まあ、くっ付くのはちょっとアレですけど」
「ちょっとアレだった!?」
さやかちゃんの言葉に花帆ちゃんが驚いていた
「足並みが揃うように、もっと仲を深めて欲しいというのは本当です」
「どうしたらいい?」
「そうですね…たとえばですけど、色々と話せたりとか、相談できたりとか。今まで出来なかった事が出来る…とかでしょうか」
さやかちゃん良い事を言うね。
「…ふむ」
「…」
「私自身、綴理先輩に言えなかったお話が、たくさんありましたから。フィギュアのことで悩んでいたお話だとか」
「こず、何か悩みある?」
「ないけれど…」
「終わった」
「そういう事じゃないんですよ!」
これぞ綴理ワールド…
「…こほん。で、えっと、頑張ってくださっているお二人に、お話したい事があります」
「何かしら、記事の相談とか?」
「あ、それはもう終わってます」
「未来先輩に確認して貰ってるので、今はそれよりもお二人の事が大事です」
「そんな訳でこちら」
そう言って花帆ちゃんは祭りのポスターを差し出してきた。
「お祭り…?」
「夏も近いし、神社の催しものも増えていく時期ね。みんなで行こう、ということかしら?」
「いいえ、実は今朝、れいかさんと会いまして」
「ああ、れいかさん、久しぶり」
「アルバイトの人数が足りないみたいで、手伝って欲しいそうなんです。なのでーー」
「先輩方でお手伝いに行って来てください!」
「先輩方…?」
「はい!もう、梢先輩と綴理先輩、そして未来先輩で行きますって返事しちゃいましたので!」
「もう話が纏まってるの…!?」
「はい、楽しみにしてる、と言ってくれて。本当は未来先輩には行って欲しくは無かったのですが…」
「そう…」
「勝手な事をしてごめんなさい」
「…いいえ、むしろ、お礼を言わなきゃよね」
「そうだね。二人ともありがとう。それとさや、ボクはもっとみくと仲良くなって、さやに負けないようになってくるからね」
「あっ、綴理先輩、それはずるいですって!」
「花帆ちゃん…絶対にあの練習したくないから…祭りの手伝いに僕を入れたでしょ…」
「ギクッ…そんな事はないですよ…」
「本当かなぁ~?」
「そんな事は良いですから、先輩方いってらっしゃい!」
花帆ちゃんに無理やり行かされる形で、僕達三人は祭りに向けた出発した。