雨に降られた僕達は、綴理の家までやってきた。
「風邪引いたらだめだから、先に2人から入って」
「それならみくも一緒に入ろうよ」
「何言ってるの…綴理…」
家に入ると、お風呂を沸かしてくれた綴理が何やら理解しがたい事を言ったが…気にしないようにしよう…
「それじゃ…先に私が入ってもいいかしら?」
「うん」
僕がそう返事すると、梢はお風呂場に向かっていった。
しばらくして…
「あっ…寮に連絡しないと…」
「忘れてたわ…」
それから、慌てて綴理は学校に、僕は心配してるであろう花帆ちゃんとさやかちゃんに連絡を取った。
「ふぅ…いいお湯だったわ。ごめんなさい、先にお風呂をいただいてしまって…あら?」
「そちら蓮ノ空さん、ですか?あ、さんは要らないですか。そうです、こちら夕霧綴理です」
「雨凄いので家です、こず…乙宗梢と夜空未来もいます」
「もしかして…綴理がちゃんと学校に電話してる…?」
「はい、分かりました。明日の学校…朝八時ですか。八時に、学校で。はい」
「では、バイバイ」
「ばいばい…!!」
綴理…途中までは良かったのに…最後の最後で…
「あれ、こず、もう出たの?」
「ええ、ありがとう。おかげで温まったわ。でも、私が後でも全然良かったのよ?」
「んーん、ボクはやる事があったから」
「今の?」
「うん、寮に電話しなきゃダメなんだ。知ってた?」
「もちろん知ってはいるけど…私と未来の分まで、綴理が」
「ボク、頑張るようになったよね」
「そう、ね、本当に」
「でも、あの頃、こずには何も言えなかったから」
「それは、どういうーー」
「ボクも先輩になったんだー」
「そう、そうね、私達、
「ほら、あなたに風邪を引かれたら目覚めが悪いわ。早く入って」
「え…ボク、友達と一緒に家のお風呂に入るのが夢だったんだけど」
「だったら先に入らないの!」
梢はそう言って、綴理を追い出すようにしながらお風呂場に向かわせようとした。
「みく、一緒に入ろう」
「梢が失敗したからって今度は僕かよ」
「だから、早くいきなさいって」
「失敗したー」
「全く…」
梢はそう言って、ソファで乾いていない髪をタオルで吹く僕の隣に座った。
「花帆さんにまんまとやられてしまったわね」
「そうだね。花帆さんの作戦は正しかったという事か…」
そう言って、僕はスマホ画面を操作する。
「花帆さん達に連絡?」
「うん。そろそろ返事が返って来てる頃だと思うし…梢も花帆ちゃん達に連絡してあげたら?梢から貰うともっと安心すると思うし」
「そうね。私からも連絡しておくわ」
そう言って、梢はスマホを取って操作を始めた。
さて、花帆ちゃん達と違って…このメッセージに対してどう返そうか…
藤島慈『ちょっとみく、綴理の家に泊ってるってどういう事!?それに一緒にお風呂に入るって何!?最初に入るのはめぐって話だったよね!?』
うん…本当になんて返せばいいのか悩んでいると、綴理がお風呂から出てきたので、入れ替わるようにしてお風呂に入った。慈にメッセージを返すのを忘れて
*****
「寝た?」
「…確認してどうするの。もう四度目よ」
夜も遅くになり、僕達は綴理の部屋で三人で寝る事になった。
梢と綴理は綴理のベットで、僕は近くにあったソファを寝やすいように整えて横になって、しばらく綴理が同じことを四回繰り返した。
「寝たかなって」
「寝たわ」
「寝ている人は寝ているとは言わない…!」
「どうしろっていうの」
「こずとみくに言いたい事があるんだけど」
「…」
「何?」
綴理が聞いて来たので、僕は目を閉じながら聞く。
「口にしようとするとほっぺが誰かに引っ張られたみたいになる。さっきから何度も」
「今日は楽しかったね」
「忙しすぎて楽しかったというとなんとも言えないけど…楽しかったかな僕は」
「うん、こずは?」
「…」
「あれ、こず寝た?」
「あなたが言いたい事があるって言ってるのに、寝られるはずないでしょう」
「はあ、そうね、楽しかったわ」
「ん、えっと」
「…ボクも頑張るから」
「…綴理?」
「…これは、こずが頑張るのがよくないっていうんじゃなくて。こずな嫌な気持ちになったら困るから、言わなかったけど。えっと。ボクも頑張るから。こずとみくにばっかり、任せないで」
「…なにか、私が無理をしているように見えた?」
「綴理は十分頑張ってると思うけど」
「んーん、だから、違うんだ。ただボクが二人の事を支えてあげたい…支えてあげられるよって言いたかった」
「…そう」
梢はそう言った時、布団の擦れる音が聞こえた。
「わっ……こず、寝相が悪いな」
「寝相なわけないでしょう」
「…言えて良かった」
「今の、話?」
「ん。ずっと言えなかったから。だから、言えて良かった」
「……そう、私も、聞けて良かったわ」
「…ねえ、こず。なにか隠してる事とかない?」
「…どうしてそんなことを聞くの?」
「こずは、あんまり自分が思ってることとか、言ってくれないから。ボクから言ってあげないと」
「…」
「でも…最近、ラブライブ!の話とか、しなくなったから」
「…そうかしら……そうかも」
「じゃあーー」
「他にもやることが多かったから、それを綴理が支えてくれるなら、嬉しいわ」
「…そう?」
「頼りにしているわ綴理」
「ん」
そう言って、二人の空間は静かになってようやく寝れるかと思ったのだが…
「そうだこず」
「まだ…何かあるの?」
「みくの事、貰っていい?」
「…それはどういう意味?」
「もちろん、恋人って意味で」
「…あげる訳ないでしょ」
「ふふっ、そっか…でも、諦めた訳ないじゃないからね」
「なんで…みんなこうなるのかしら…」
綴理の言葉に梢は頭を抱えた。