蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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24.スカウト

 

花帆ちゃんの策略にハマって、昨日三人で綴理の家に泊まってから数日、梢と綴理のダンスは見違える程に息が合っていた。

 

「おぅ」

 

「…これは」

 

「これまでで一番合ってたね」

 

「今の、すっごく良かったです!」

 

「はい、以前よりずっと、息ぴったりって感じがしました」

 

僕の言葉を筆頭にして、花帆ちゃん、さやかちゃんがそう言って二人の事を褒めた。

 

「ん、これまでで一番」

 

「ばっちりです!」

 

「ん、ばっちり…まであと少し、ばっちぃ、くらい」

 

「それはむしろダメそうな感じが…」

 

「…私も…出来て、いたかしら?」

 

「はい!すっごくかっこよかったですよ。梢先輩」

 

「本当に良くなっています。録画もしていますので、是非確認してください」

 

「そう…そうなのね」

 

そう言う梢は、以前のように不安を感じているような表情では無かった。

 

『ふふっ』

 

「良い感じ、このまま頑張ろう。もうちょっと足りない感じもする」

 

「そうね。まだ完ぺきではないはず。しっかり後で確認させて」

 

「そうだね。でも、この調子でやっていこう」

 

「ん、このままやれば大丈夫」

 

「それから、花帆さんと村野さんの振り付けも考えないと」

 

「あ、それなんですけど」

 

「うん?」

 

「あたしたち、自分の振り付けを考えてきたんです。見て貰えませんか?」

 

「おおー」

 

「えっ?二人で考えたの?」

 

『はい!』

 

二人はそう言って、自分達で考えてきたというダンスを披露してくれた。

 

「凄いね二人は」

 

「ふっふっふ。驚きましたね先輩方」

 

「五人で頑張るって決めたんですから、あたしたちで出来る事はあたしたちで頑張ります!そういう事です!」

 

「ん、花帆凄い」

 

「やった!」

 

「あ、あの…わ、私も」

 

「ん、さやも」

 

「はい!」

 

「…ふーありがとう二人とも。あなたたちのおかげで、たくさん練習できるわね!」

 

「だねー」

 

「じゃあ、しっかりと合わせて…撫子祭までに、必ず完成させましょう!撫子祭を見に来る人達に、みっともないスクールアイドルクラブなんて見せられないわ」

 

『おー!』

 

梢の言葉で、みんなで士気を高めていると。学校内に、アナウンスの音が鳴った。

 

「あー二年の乙宗梢と夜空未来、乙宗梢。夜空未来。生徒会室まで来てください。いじょー」

 

沙知先輩の声だったな…今の。

それだけ言うと、アナウンスの音が鳴って静かな時間が戻ってきた。

 

「…何したのこずとみく」

 

「何かしちゃった前提ですか!?」

 

「そんな!あたしも一緒に謝りに行きますよ!」

 

なんで何かをしたという前提でいるんだろうみんな…

 

「何もしていないし、二人で行くから」

 

「そうだよ、ただの呼び出しじゃん」

 

「か、代わりに行ってきましょうか!」

 

「花帆ちゃん…大丈夫だから」

 

「綴理、少しの間、二人の練習を見てあげて」

 

「ん、なんだろうね。呼び出し」

 

「…なんとなくは予想付いてる」

 

「ええ、それじゃあ、後で」

 

綴理にそう言って、梢と二人で生徒会室へと向かい、帰ってくると花帆ちゃんとさやかちゃんが地面に横たわっていた。

 

「綴理…何をしたらこうなるの…?」

 

「ごめん、嬉しくて舞い上がった、二人とも、振り付け凄く良いよ」

 

「それはいいんだけど…」

 

「私もしっかりと見たかったのだけれど、今から出来るか怪しいものね…立てる?」

 

梢はそう言って、花帆ちゃんに手を差し出し、花帆ちゃんの梢の手を取って立ち上がる。

 

「ありがとうございます…!ぜぇ、ぜぇ…大丈夫です。まだやれます…!」

 

「すみません…この体たらくで…」

 

「気にしないで。綴理が喜ぶくらい素敵なものだったのよ。だから、二人は何も悪くないわ」

 

「ボクが悪いのか??」

 

「いや…綴理が悪いんじゃなくて…呼び出された僕達が悪いのか?」

 

「あ、呼び出し!梢先輩、未来先輩、大丈夫でした?」

 

「ああ、大した事じゃなかったから」

 

「うん、こっちの話だから」

 

「なんだったの?」

 

「ま、まあまあ、言いにくい事もありますよね?なにせ呼び出しですし…その、やらかされてしまったのでしょうか?」

 

「やらかされてしまっていません…!!」

 

「はぁ…本当に気にしなくていいのに。そうね、簡単に言うと」

 

「えっ?言うの?」

 

「別に問題はないでしょう?」

 

「梢が良いなら…」

 

梢は他校のスクールアイドルから、スカウトが来た事をみんなに話した。

 

『スカウトー!?』

 

「そ、それはつまり、別の学校に移るってことですか!?」

 

「そういう誘いが来ただけよ?」

 

「こ、この世の終わりだー!!あたしはここで蕾のまま萎れるんだー!!」

 

「誘いが来ただけだと言ってるでしょう?」

 

話の内容だけに、花帆ちゃんが大袈裟な反応をしてるけど…無理もないか

 

「行っちゃやだあああ!」

 

「大丈夫だから! もう。どこにも行ったりしないから大丈夫よ」

 

「本当に、その、慌てなくても良いのでしょうか」

 

「私とスクールアイドルがやりたい、と言って貰えたのは光栄だけど…受けるか断るかは私次第だもの。だから、誘いが来ただけでこんな風になる必要はないのよ」

 

「そういうもの、ですか…あ、だから呼び出しの予想は付いている、と?」

 

「お祭りでお店から席を外した時に、彼女達からお手紙を渡されていたの。だから、この話じゃないかと思っていただけよ。それにみくだってスカウトが来たのよ」

 

『えっ!?』

 

梢の発言した事により、みんなの視線が僕に飛んできた。

 

「はぁ…言いたくは無かったんだけど…」

 

「未来先輩…嘘ですよね…」

 

「大丈夫、さやかちゃん達をほって行くなんてしないから」

 

「というより…なんで未来先輩までスカウトの話が来てるんですか…?」

 

「梢がスカウトされた学校って、音楽にも力入れてて、僕がさコンクールで金賞を取ったり、ダンスで全国に行ってたりするんだけど、その能力を内の学校で伸ばせてみませんか?ってスカウトされてるんだよね。それで、二人でどうって言われたんだよね」

 

「未来先輩…?」

 

「気にしないで…蓮ノ空以外に行くなんてしないから」

 

「じゃ、じゃあ…先輩達がどこかに行ったりは…?」

 

「しないしない、大丈夫大丈夫」

 

「うん」

 

僕と梢がそう言って、二人が一安心していると、綴理が口を開いた。

 

「本当にそれでいいの?」

 

『えっ?』

 

「それでいい、というのは…どういう事?」

 

「だから、本当に断っていいの?」

 

「んん?それはつまり…私にスカウトの話を考えろ、という事?」

 

「ちゃんと考えた?」

 

「考えるも何もないわ」

 

「蓮ノ空から私と未来が抜けるなんて、あり得ない事よ。抜けられた側の気持ちも知っているつもり。花帆さんを誘って、今のスリーブブーケを作ったのも私。そしてなにより、この部活を引っ張っていくって決めているもの」

 

「…」

 

「それに今更この学校を離れて新しい場所に入っても。馴染めるか分からない、その学校のスクールアイドルとして胸を張れるか分からない。ほら、私がスカウトに乗る理由なんて、最初からないのよ」

 

「じゃあ、二人に聞きたいんだけど…スカウトしてきた学校のスクールアイドル部、蓮ノ空とどっちが有名なの?」

 

「まぁ…あっちの方が有名かな」

 

「そうね。過去の実績ではなく現状の話をするなら、未来の言うようにあちらの方ね。全国大会常連で、去年も結果を出しているし…」

 

そう言って、梢は自分のスマホを操作して、こないだのスクールアイドルの写真をみんなに見せた。

 

「この子達よ、真ん中の子が、私に会いに来た子」

 

「あっ、知ってます、この人たち。凄く揃ったパフォーマンス、っていうので有名な人達ですよね」

 

「そうね、素直に凄いと思うわ。向こうのスクールアイドル部についてはそんな感じね…それで?」

 

「つまり、ラブライブ!優勝するためにはそっちの方が近いってことだ」

 

「綴理…何が言いたいの?まるで私に出て行ってほしいみたいじゃない」

 

「そういう事じゃないけど」

 

「ちょ、ちょちょちょっと待ってください!!綴理先輩だって、乙宗先輩に出て行って欲しい訳ないじゃないですか!

 

「さや…」

 

「せっかく良い感じに練習成果が出てきている所ですよ!は、始めての文化祭でのライブが楽しみです!私!」

 

「れ、練習しましょうよ、先輩!!」

 

『…』

 

「そうだね。一旦、この話は終わりにして練習再開しよう!」

 

「分かったわ」

 

「…じゃあ、やろうか」

 

 

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