そして、その日の夕方
「合わなく、なってる…」
合っていた二人は、また以前のように戻ってしまった。
「…ごめんなさい」
「まあ、そうなるよね」
「さっきまで、あんなにうまく行ってたのに…」
「えっと…綴理先輩…」
「…ごめんね、さや、かほも。こっちの問題」
「…綴理」
「あーえっと、少しお休みするなら飲み物作りますよ!」
「そうですね!何が良いとかあれば」
「ごめんね。もう少しでうまくできるようにする」
「えっ、あ、はい!もちろん信じてますけど…」
「えっと、ひょっとして何か掴めそうでは、ある…とか?」
「やっぱりはっきりとさせる」
「!」
「綴理…」
「みく、ここはしっかりと言いたいから止めないで」
「…分かった…」
綴理の覚悟の決まった顔を見て、僕はそう言うしかなかった。
「…」
「…ねえ、こず」
「何?」
「…今朝は上手く行ってたよね。きっと、こずと色々と話せたからだ」
「…そう、かもしれないわね」
「ボクは今、こずの気持ちが分からない」
「はぁ…さっきから私の気持ち私の気持ちって、あなたが私以上に私の事を分かっているとでも…!?」
「分かんないよ、こずは自分の気持ちを言ってくれないから」
「だからこうして行かないって言ってるでしょう!」
「…いつだって、言ってくれない」
「何の話?」
「こずはいつだって、我慢してても言ってくれない。大丈夫ってだけ言い張って自分だけ無理するようなこずの、何を信じれば良いのか分かんない」
「そんなことは…ないと思うのだけれど」
「ほんとに心当たりがないの?」
「私は…いつも、自分の中で答えを出しているつもり。そんなふうに、私の大丈夫が信じられないと言われてもーー」
「なら、それが信じられない理由だよ」
「っ…」
「キミの目標は、ラブライブ目標のはず。スカウトを断るって事は、そこに近づく可能性を捨てるって事なのに、こずの言う気持ちはすごく…良い訳に聞こえる」
「綴理、私は…」
「ボクだって…信じたいけど、でも信用できないよ。こずの大丈夫は」
「少なくともそれじゃあ、ボクは大丈夫じゃない」
綴理はそう言うと、走って行ってしまった。
「あ、綴理先輩!!…えっと」
「さやかちゃん!」
「!」
花帆ちゃんの言葉を聞いて、さやかちゃんは綴理の後を追いかけていく。
残された僕と梢は、近くにあったベンチに座った。
「梢先輩…未来先輩…」
「ごめんね…こんな先輩達で…」
「…酷い所を見せてしまったわね」
「よいしょー…」
花帆ちゃんはそう言って、ベンチに座る。
「…」
「あの、梢先輩が無理してるかも、って思う事はあたしもあります」
「っ…」
「それをどうにかして支えたいとも、思います」
「花帆さん…平気」
「そういう所だよ梢」
「そうです。そんな顔で言われても、説得力ないです。だからあたしたち、余計に心配しちゃうんだと思います」
「…」
「ね、先輩。あたしだって、いっつも聞いてもらうばかりじゃなくて、偶には約に立つ事だって、できるんですよ。ほら、道端のお店に話しかけるみたいに」
「ーースカウトが来たのはね。実はという二回目なの」
「二回目?」
「そう。去年の暮。ちょうどラブライブ!地区大会の直前の事。生徒会長が私の所に来て、教えてくれたのよ。綴理にスクールアイドル部からお誘いの話が来てるって」
梢は前置きとしてそう言い、話を続けた。