『未来、課題の天体観測に行くのだけれど手伝ってくれないかしら?』
夜、自室で休んでいると、梢からメッセージでこう送られてきた。
特に断る理由もない僕は、梢に『いいよ』と返して、温かい服装に着替えてラウンジへと向かうと、そこにはさやかちゃんがルリちゃんに対してマッサージ?をしている所だった。
「…瑠璃乃さんと、さやかさん…?いったい、なにをしているの?」
タイミングがピッタリで反対方向からやってきた梢が三人に対してそう聞いていた。
「えっ?こ、梢先輩!どうしてここに!?」
「私は、今から、課題の天体観測をしようと思って外に行くのだけれど…あなたたちは?」
「これは、マッサージを少々!でも違うんです!やっているのは私では意思ではなく!」
「そこまで言わなくても…」
「えっ?みく先輩!?」
僕が声をかけると、さやかちゃんが驚きの声を出していた。
「やっほーってこんな時間にこれはおかしいか…」
「みく先輩はどうしてここに?」
「うん、梢の天体観測の手伝いにね」
「そうなの」
僕の言葉を聞いて、梢が頷きながらそう言った。
「というか先輩達、これは花帆さんに言われて!」
「そうなんですよ!梢先輩、みく先輩」
花帆ちゃんはそう言って、僕と梢にしか聞こえない声量で
「ふふっ、実はこれは、新入部員をぜったいスクールアイドルにしちゃおう大作戦の一環なんです、瑠璃乃ちゃん、教室でもいろんな人から声をかけられて、目移りしちゃってるみたいで」
まぁ…この時期に転入生なんて中々居ないし、どこの部活も新入部員欲しい筈だもんなぁ…
演劇部の部長さんとか人欲しがっていたし
でも、新入部員には自分の意思で選んで欲しいんだけどなぁ
「…なるほど、そういうこと。あのね、ちょっといいかしら。花帆さん」
「はい、なんでしょうか?」
「あの子にスクールアイドルクラブを選んで欲しいという気持ちは分かるけれど、あまり甘やかさないほうがいいのよ」
「え、なんでですか」
「だってそんなの、まるで物で釣るみたいじゃない、ちゃんとありのままを見せて、それで私達の部の選んでもらえなければ、意味がないと思わない?」
春先の梢もそうだった気がするけど…言わないようにするか
「…それは、そー思いますけど。でも、梢先輩だって最初はあたしに甘々でしたよね?」
「えっ?そ、そんなことないわ。私は最初から…そう、ちゃんと鬼のようだったわ」
いやいや…鬼ではなかったぞ。
「先輩が鬼になったのは、あたしに朝練をさせようとしてからですよ!」
「そう…ということは花帆さんの中で、今の私は鬼なのね、どうせ鬼なら、もっと練習メニューを増やしても構わないかしら?」
「酷い!今のは罠ですよ!!罠っ!みく先輩!酷いですよね!」
梢に罠を仕掛けれたと思っている花帆ちゃんはそう言って、僕に助けを求めてきたけど
「うん、梢の冗談なんだから気にしなくていいから」
「梢先輩!騙しましたね!」
「こほん、冗談はともかく、瑠璃乃さんにスクールアイドルクラブに入ってもらいたいのなら、もっと別の方法があるでしょう。あなたは、スクールアイドルなのだから」
「それは、そうかもしれないですけど…でも、先輩もあたしのこと、甘やかしてくれましたしー…」
「…それはもう忘れなさい、未来行くわよ」
「はいはい、じゃあね花帆ちゃん、風邪引かないようにするんだよ」
僕は花帆ちゃんにそう言って、梢の後を追いかけるのだった。
*****
「スクールアイドルだから出来ること、ですか」
「さやかちゃんはなんだと思う?」
次の日、花帆ちゃんは昨日、梢から言われた事をさやかちゃんに聞いていた。
「…まさか、マッサージとか言いませんよね?」
「あはは、なにそれ、全然違うよさやかちゃん」
「!?」
「あのね、あたしたちってスクールアイドルでしょ?だったら、普段の練習でもかっこいいところを見せられたら『この人みたいになりたい!』って思って、熱心にクラブに来てくれるんじゃないかな」
「花帆さん…なんて真っ当なことを…」
「うん、昨日ね、梢先輩に言われてピンと来たの。だからーー」
花帆ちゃんはそう前置きをして、二人の方に振り向いて
「先輩方!頑張ってください!」
「なんでですか!?」
花帆ちゃんの言葉にさやかちゃんはそう返した。
「だって!あたしたち先輩に憧れてクラブに入ったじゃん!」
「花帆ちゃんも頑張るんだよ~」
「そうですよ!みく先輩の言う通り『だから頑張る!』って言うべき場面では…」
「頑張るよ!もちろん頑張るけど!そう、こうなったら、みんなで頑張ろうね!5人で!」
「うまくまとまったようね、そうでもないような」
「こずはいっつも頑張ってるのにね」
「あなた、この間から私の事を全肯定していない?大丈夫?」
「こずの大丈夫は信用できる」
この場合の大丈夫は違う方だと思うよ綴理…
「今のはあなたに聞いた方の『大丈夫』よ!…まあいいわ、さ、瑠璃乃さんが来たみたいよ」
梢がそう言うと、練習着に身を包んだルリちゃんがやってきた。
「おはざまーっす!今日から練習、よろしくお願いしまっす!」
「うん、よろしく、えっとね。今日はどうしよっか?」
「いつもは私が花帆さんを、綴理がさやかさんをレッスンしているのだけれど、そうね。瑠璃乃さんがいるから」
「じゃあ、今日はみんなでやるかぁ~」
「ええそうしましょうか」
「分かった」
「分かりました、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
「最初は体力ぜんぜん追いつかなくて大変だと思うけど、つぼみ同士、一緒に頑張ろうね、瑠璃乃ちゃん!」
「あいあい!お手柔らかに、おなしゃー!」
そう言って、みんなで練習をするのだったが
ルリちゃんが運動神経が良かったのだ。
「ルリちゃん、運動神経良いんだね」
「どこでダンスをやってたの?」
「いやーたまーにスクールに通ってたくらいで、あとは、ほとんど自主練ですよぉー」
「そう、凄いのね。体幹もしっかりしているし、基礎体力も申し分ないわ」
梢がそう言って、ルリちゃんの事を褒めている中
「ぜぇ、ぜぇ…がんば、あたし、がんばって…」
花帆ちゃんは息が上がっていた。
「指先の動きもとってもきれい、瑠璃乃さんなら、もしかしたらあっという間に人気のスクールアイドルになれるかもしれないわね」
「あっという間に、テッペン届いちゃうかもっ!?なーんて、ちょーし乗ってみちゃったり!」
「期待の新人ってやつだ」
「そうね、ワクワクしちゃうわ」
「だねーここまで凄い子は期待しちゃうよね」
「わ、わたしも頑張ります!」
「うう、あーたーしーもー…」
僕達からルリちゃんに対しての言葉に感化されて、さやかちゃんと花帆ちゃんはそう声を出してきた。
「とりあえず花帆ちゃんは、ランニングでもして体力をもっと付けないといけないね」
「そうよ、花帆さんはこのままだと、さやかさんだけじゃなくて、瑠璃乃さんにも置いていかれちゃうわよ」
「やーだー!」
「さやは、最近またカチカチになってきた。炊き立てのお米だった頃を、思い出して」
「うっ、精進します…」
「…」
「それじゃあ次は、歌の練習をしてみましょうか」
梢がそう言うと、突然ルリちゃんが大きな声で叫んだ
「な、なに」
「あいむそーりー!ごめんなさい!ルリ、ちょっとトイレ!行ってきてもいいですか!?」
「え、ええ、もちろんよ、戻ってきたら、レッスンの続きをしましょうね」
「らじゃ!それじゃあその、ちょっと失礼しまーすー!」
ルリちゃんはそう言って、走っていった。
しかし、待てど暮らせどルリちゃんが帰ってくる気配はなかった。
「…遅くないですか?瑠璃乃ちゃん」
「そうね、どうしたのかしら」
「もしかして、トイレが見つからなくて、さまよっている…?」
「いやいや、階段下りてすぐですよ」
『…』
みんなは疑問に思いつつ、みんなは静かになる中、花帆ちゃんが声を出した。
「ちょ、ちょっと様子を見てきますね!」
「行ってきます」
そう言って二人は校舎の方へと走っていく。
「未来?何か考え事?」
「うん。あーいう元気の良い子って何かあったりするって聞くからそういうのかなって思ってたりするんだけど…」
「気のせいじゃないかしら?」
「う~ん…そうだといいけど」
ここらで主人公の紹介でもしますか(遅い)
名前 夜空未来(よあみくる)
別名に、初恋ハンターというのがある(慈とさやかは引っかかった)
好きなこと(物) 吹奏楽、紅茶、ゲーム、ギター、野球等々
特技 吹奏楽器全般吹ける事 紅茶を淹れること
1年の秋からスクールアイドルの部長
他校からスカウトされる程の楽器技術を持つ。
ダンス大会で全国出場など身体能力も高く、雑務処理も早いため、生徒会から依頼されてやる事も多く、大倉庫の掃除も週に1回は行っている。