蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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31.ルリ・エスケープ

 

次の日、用事があって部室に来るのが遅くなった僕が部屋に入ると

 

「何これ…」

 

「みく…」

 

「構わない作戦やってるのか…」

 

「ルリが思ってたのとぜんぜん違う」

 

「違う…!?そっかぁ」

 

「やっぱり、だめじゃないですか…」

 

「だから昨日、この作戦は無理だって言ったのに…」

 

「いいのいいの、じゃあ、次の作戦はねー…」

 

「て、ていうか!なんなんですかね、これは…」

 

「ルリちゃん…僕も聞きたい」

 

花帆ちゃんが若干暴走気味の中、困惑するルリちゃん。

とはいう僕も困惑していた。

 

「ほら、今日一日しかチャンスがなかったから、手当たり次第に試してみようと思って。瑠璃乃ちゃんがスクールアイドルクラブでも居心地よく過ごせるように!色んなアイディア考えてきたから、期待してて!」

 

その行動力は尊敬しないといけないなぁ。

 

「え、ええー…?なんで、そこまで」

 

「だって、ひとりで考えてうまくいかなくっても、みんなが考えたらもしかしたら、抜け道とかあるかもしれないじゃん!」

 

「ボクたちも、そうだったもんね」

 

「…そうね、その通りだわ」

 

「瑠璃乃ちゃんが辞めに済んで、バッテリーが切れなかったり、あるいはバッテリーが切れても気にしないでいいような、そういうの!ね、もっとあたしたちに、瑠璃乃ちゃんの事、教えて」

 

花帆ちゃんがそう言うと、ルリちゃんは過去の話を始めた。

 

「ルリは…小学校の頃ね。ルリ、楽しいだけの空間が好きだったんだ。周りのみんながニコニコしてて、ずっと楽しいことだけ続いていく、でも、それってほんとうはすっごく難しくて。誰かがイライラしたり、不機嫌になったりするたびにね。ルリ頑張って、みんなの空気を和らげようとしてたら…最初は楽しい事を守る為だったのに、すっかり、それが癖になっちゃってた」

 

「いつでも気になっちゃうんだ…グループで、誰かつまんなそうにしてる子はいないかな、疲れたりしてないかなって。もしそういう子がいたら、ルリが絶対楽しませてやるんだぞーって思ってた」

 

「そんな事を続けていたら、瑠璃乃さんのほうが…」

 

「うん…ルリの方が先にへたっちゃうよね。だから、徐々に独りでいる時間が増えていって…」

 

「分かります…大変ですよね、人間関係って…」

 

「そんなある日ね、気付いたの、え、ヤバ!独り、めっちゃ楽しいじゃん!って!」

 

「え?思ってた展開と違う…」

 

さやかちゃんの言う通り、想像してた展開とは違った…

ルリちゃんもなんか重い過去があったんだな…

 

「誰にも気を遣う必要がなくって、全部自分の好きなように出来る!地平線の向こうまで広がるような自由!ここには楽しい事しかない!いっつもわんだふるわーるど!以降ね、ルリは我慢するのやめたんだ。ルリが好きなのは楽しいこと。だから、楽しい事を追い求めて、そして!」

 

「そして、スクールアイドルクラブに来てくれたんだよね!」

 

「いや、それは」

 

「ありがとうね、瑠璃乃ちゃんのこと、いっぱい聞かせてくれて。あたし、昨日までは瑠璃乃ちゃんのこと、ぜんぜん知らなかった。だから、いっぱい新しく知れて、嬉しい」

 

「そ、それは、でもでも。今から知ったって、もう手遅れっていうか。ルリ…昨日、花帆ちゃんにも嫌な事、いっぱい言っちゃったし…」

 

「あたしはそんな事ないと思う」

 

「楽しそうって感じたから、スクールアイドルやってみようって、来てくれたんだよね。だったら、続けれる方法、一緒に考えようよ!」

 

「…で、でも」

 

「あたしね!もうちょっとで学校辞めるところだったんだ!」

 

「えっ?なんで!?」

 

「この学校じゃ、あたしの夢が叶えられないって思ったから。でも大丈夫だった。大丈夫になったの!」

 

花帆ちゃんはそう言って、僕の方向を向いて来た。

うん、懐かしいなあの頃…とは言っても4月の話だけど

 

「えっと」

 

「そういうことでしたら、わたしももう少しで部活を辞めるところでした。今は、フィギュアとスクールアイドルの両立を、頑張っています」

 

「先輩達なんて、つい最近まで半年くらいずっと喧嘩してたんだよ!」

 

「喧嘩ではありません」

 

「そうそう、ちょっと仲違いをしてただけだから…」

 

喧嘩って簡単に終わらせないでほしいのだけれど…ってこれじゃ梢みたいだ…

 

「こずのステージ、すっごくかっこよかったもんね」

 

「あなたそれ一生それ言うつもり?」

 

「梢、これ以上言っても無駄だと思う」

 

「…どうして」

 

「え?」

 

「さっきから聞いてたら、やっぱりみんなの個性えぐくて、でもおんなじ方向を向いて、スクールアイドルを続けられているのって、なんで!?どうやってるの!?今までは、ルリが頑張らなきゃだめだったのに…みんなはどうして、そんな事が出来るの!?」

 

ルリちゃんの疑問に、梢と花帆ちゃんが答えた。

 

「それはね」

 

「みんながスクールアイドルだから」

 

「スクールアイドル、だから…?」

 

「うん!スクールアイドルはね、凄いんだよ。なんだっていいの、凄く自由なんだ。自分の為にやってもいいし、応援してくれる人のためでも、ラブライブ!優勝のためでも、楽しいからやっててもいいの。違うから、ときにはぶつかったり、喧嘩することしれないけど。でも、同じだから、お互いを認めて、一緒に手を取り合えるんだ。やりたいって気持ちがあれば、どんな個性だって受け入れられるのが、スクールアイドルなの!」

 

「瑠璃乃ちゃんはどう?スクールアイドル、やってみたくない?もしやってみたいんだったら、あたしたちみんな、もちろん協力するよ!だって、同じスクールアイドルが大好きな、仲間なんだもん!」

 

「ルリ、ルリは……やってみたい」

 

「バラバラなのに同じ方向を向いて、みんなで楽しい事が出来る、そんな蓮ノ空スクールアイドルクラブだから、憧れて、ここにやってきたから…ルリも、スクールアイドルを、やってみたい! カリフォルニアにいた頃から、ずっと見てたし!楽しそうだなあ、って!同じだけど、ぜんぜん違うみんなと一緒なら、ルリと同じだから、できるかもって思ったんだ。ルリにも出来るかなあ、スクールアイドル…」

 

そう言うルリちゃんに対して、みんなはそれぞれ答えた。

 

「絶対大丈夫です!私にも出来るんですから」

 

「きっと出来るよ。みんながいるから」

 

「なりたいと思ったら、いつでもなれるのよ。スクールアイドルには」

 

「うん、ルリちゃんがスクールアイドルやってる所を見たいかな僕は」

 

「でも、人と一緒に居るとすぐ充電切れちゃうし、練習サボってサボってどっかいっちゃう失礼なミジンコだし…」

 

「でもでも、みんなと一緒にいるのも楽しいんでしょ?もう知ってるもん、瑠璃乃ちゃんのこと!」

 

「…ルリが居ても、迷惑じゃ、ない?」

 

ルリちゃんの問いに対して、花帆ちゃんがどんどんと答えてくれる。

これじゃ、部長の出る幕がないなこれ

 

「ぜんぜん!充電が切れた瑠璃乃ちゃんだって、個性だよ!お花畑には、色んなお花が咲いているんだから、きれいなんだもん!あたし、瑠璃乃ちゃんと一緒にスクールアイドルをやりたい!」

 

「…うんっ!ルリも!ありがとうね、花帆ちゃん、みんな…」

 

この後、花帆ちゃんの秘訣である段ボールが出てきたことに僕はまた困惑するのだった。

 

 

-後日-

 

「という訳で、よければ正式入部させてもらいたいんですけど…ど、どうでしょうか?」

 

「意義無し」

 

「充電切れに関しても、大丈夫よ。コミュニケーションが取れるだけ、十分すぎるほどありがたいわ。ねえ綴理」

 

「ボク取れてるよね?コミュニケーション」

 

「さやかちゃんが頑張ってるからだね」

 

「私は最近もう慣れてきたので、大丈夫ですよ」

 

本当、慣れって怖い。

とはいうけど、ルリちゃんには受けていた。

 

「受けたよ良かったね」

 

「そういえば瑠璃乃ちゃんって、どうするんですか?蓮ノ空って、みんなユニットごとに活動するんですよね」

 

「それは、梢先輩か、綴理先輩、もしくはみく先輩がする形になるんでしょうか?」

 

「教えるのは出来るけど、ステージには立たないよ?僕は」

 

「ルリは、めぐちゃんと組むよ!だって、その為に日本に帰ってきたんだもん!」

 

『…めぐちゃん?』

 

ルリちゃんの言葉に二人は分かって居なかったようで

 

「どちら様ですか?」

 

 

と聞き返し、ルリちゃんはびっくりしていた。

 

さて…この三人にどう伝えるべきか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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