蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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38.温泉旅館

 

慈が温泉旅館にお手伝いに行くと言って、近くの椅子に座る。

 

「実はこないだ、メッセージをもらったんだ」

 

慈がそう言うと、ルリちゃんがそのメッセージを読む。

その内容は、温泉旅館の広報活動をお手伝いしてもらえないかという事だった。

 

「今までも商店街や屋台は手伝ったことがありますけれど…この規模のものは、いいんですか?」

 

「学校に許可貰う必要はあるけどね」

 

「スクールアイドルクラブの前身である芸学部は、地域の活性化や町おこし、奉仕活動に重きを置いていたから、基本的に問題はないはずね」

 

「しかも二泊三日で、ミニライブまでやらせてもらえるんだよ!」

 

「市内でのライブの前に、またライブが出来るんですか!?」

 

「そーゆーこと!というわけで、近々、温泉旅館のお手伝いね!もう了承の返事は送っておいたから」

 

「ちょっと待って…市内ライブの前日じゃん…」

 

温泉旅館のお手伝いの日時を確認すると、なんと市内ライブの前日だった。

 

「さっすがめぐちゃん!自己チューギリギリ3ミリ手前!」

 

「そう!ん?まあ、そう!ステージの経験を積んで、来てくれた人に最高のライブをお届けできるようにがんばるんだよ!」

 

だめだこりゃ…まるで人の話を聞いていない。慈って昔からこうだったから今更であるけれど

 

「分かったよ。送ってしまった以上は仕方ないし…スケジュールに組んで、移動時間とか色々と考えるよ」

 

「ふっふっふ。かかった…!ここで仲良しこよしクラブは卒業…!全員に競争心を思い出させてやるんだから…この私が…!」

 

「慈、何か言った?」

 

「ううん…何も」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-お手伝い当日-

 

「おっきい」

 

「立派ですね…!」

 

「あめーじんぐじゃん!」

 

「まさかこれも梢先輩の所有する物件ですか!?」

 

「違うわ」

 

「何回か来た事あるけど、やっぱり大きいよねここ」

 

「ふっふっふ、すごいでしょー!ゆのくに天祥さんは、数多くの賞を受賞してる、とびっきりの温泉旅館なんだから!」

 

僕達がやってきたのは、加賀にある温泉旅館のゆのくに天祥さん。

そんな所からオファーが来たのは、正直言ってびっくりである。

 

慈に付いて行き、ゆのくにさんの旅館内に入っていく。

僕は一つ疑問に思った事を慈に聞いた。

 

「そういえば僕ってどこに泊まったらいいの?」

 

「それはね。私の所って言いたい所だけど…流石に梢の所にした」

 

「気遣いありがとね」

 

「うんうん、これぐらい出来ないと嫌われるからね」

 

「こんな事で嫌う事はないけど」

 

そんな会話を慈としながら部屋に向かった。

 

「ちゃんとしたお部屋だわ…しかも、各ユニットごとに…慈、あなたこれ本当に…?」

 

「因みに夕食のメニューは、こちら」

 

慈はそう言って、メニュー表をみんなに見せた。

 

「極撰国産牛自家焼!」

 

「海の幸五種盛り…!」

 

「アワビの踊り焼き!!」

 

一年生の三人が目を輝かせていた。

確かに名前を聞くだけでも、よだれが出そうになるのをぐっと我慢する。

 

「…本当に?」

 

「ぜんぶ旅館の方のご厚意だけどね!ただ、ミニライブの様子はちゃんと動画に編集して、旅館の宣伝をするって条件付き。ま、そこは私とみくががんばるからさ!」

 

「ここまで用意してくれたから、編集は手伝うよ」

 

「ありがとみく」

 

「ーーあたし、慈先輩の事見直しました!」

 

「おおっ!」

 

「ちょっと意地悪だなって思ったこともありましたけど、ほんとはすっごくいい人だったんですね!」

 

「…。そうだよ、花帆ちゃん☆」

 

花帆ちゃん…あまりにもちょろすぎて不安になってくる

 

「私はね、大好きなみんなに、お返しをしたかったんだ。本当に、心から感謝しているんだよ。だって私を復帰させるために、るりちゃんだけじゃなくて、みんなもがんばってくれたんだから…」

 

「ーーなんて、言うとでも思ったかー!」

 

「ええええっ!?」

 

突然、様子を豹変させる慈に花帆ちゃんは驚きの声をあげた。

 

「残念でした!豪華な食事を楽しめるユニットは、三組中たった一組だけ!ライブができるのも、その一組だけです!」

 

「え!?」

 

「旅館のお手伝いをして、もっとも旅館に貢献したユニットだけでーす!」

 

「うわあ」

 

「じゃ、じゃあそれ以外の方々は…?」

 

「白米とお味噌汁にー、たくわんぐらいは出してくれるかも☆」

 

「やぁだぁ~!国産牛がいいぃ~!」

 

「わ、わたしたちをたばかったんですか!」

 

「なにこのバラエティー番組みたいなノリ!」

 

「あっははははっ!」

 

一年生三人を揶揄って、笑う慈。

 

「ふふっ…ずいぶん楽しそうね、慈。でも、さすがにちょっとやりすぎじゃないかしら」

 

「つまり、どういうこと??」

 

「つまり_」

 

その後、みんなで着物に着替えて…

 

「着替え終わりました、けど…」

 

「…それで?慈」

 

「それでは、ルールを説明するよ。今からお手伝いをスタート。期限は今日の夜17時まで。その結果次第で、勝利ユニットが決まるからね。お手伝い内容までは決めてないから、そこは旅館の人と相談してね。以上!」

 

「わかった」

 

「い、いいんですか、綴理先輩。そんなあっさりと。ライブと、高級料理がかかっているんですよ…」

 

慈から簡単な説明を受けて、綴理はあっさりと理解した。

そんな綴理にさやかちゃんがそう返した。

 

「ボクはね、常々から思っていたんだ」

 

「な、なんですか」

 

「さやの料理の腕は、プロ級だ、って。ぜひ料亭『さや処』を作って、もっといろんな人にさやの料理を食べてほしい、って。その腕を振るう機会がやってきたんだよ」

 

「わたし毎朝のお弁当作ってるだけですけど!」

 

「大丈夫だよ。あんなにおいしい煮物食べたの、初めてだったから。煮物食べたのも始めてだったんだけど」

 

「誰がその大丈夫を信じれるっていうんですか!昔の梢先輩ですか!?」

 

そう言って、すぐさま梢に謝るさやかちゃん。

もう気にしてないからいいんだけどね。

 

「お手伝いは楽しそうですし、着物姿の梢先輩はとっても美人ですけど…でも、さやかちゃんはすっごく強敵っぽいですよね…慈先輩だって、妙に自信満々ですし…」

 

「…そうね、私も特段、こういったことが得意というわけじゃ」

 

「じゃあスリーズブーケは不戦敗ってことでいいかな」

 

「え」

 

「ま、しょうがないよね。梢ができるのはあくまでも学校のおべんきょーだけだもんね☆ いいよいいよ、私は鬼じゃないからさ☆」

 

「ーーやってやりましょう!梢先輩!」

 

慈に言われた事で、花帆ちゃんが完全にスイッチが入った模様

 

「えっ?」

 

「慈先輩のこと、ぎゃふんと言わせてやりましょう!なに言ってるんですかもう、あたしの梢先輩が世界最強なんですから!国産牛はあたしたちの物ですよ!」

 

そう言って、花帆ちゃんは僕の腕を掴んで走りだした。

 

「ちょ、ちょっと!花帆さん!」

 

「ちょっと!?みくを持っていかないで!」

 




タグ詐欺するかも…しれないです。
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