蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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43.部長代理

 

梢を寝かせて、僕達は部室に戻り、今後の作戦を練る事にした。

 

「えっと…どうしましょう」

 

「竜胆祭は今週末。梢は全力で風邪を倒してくるとして…」

 

「あ、あたし、梢先輩の看病頑張ります!」

 

「それなら、花帆ちゃんと僕で梢の看病する感じで行く?」

 

「でも、そうなると…」

 

「部長業務を誰かにやってもらう必要があるけど…」

 

「そうなると…この数日の練習スケジュールについてと…他の部活や学校とのやり取りについてですね」

 

さやかちゃんがそう言うと、綴理が声をあげた。

 

「…うん、分かった」

 

「綴理?(綴理先輩?)」

 

「ボクが部長代理だ」

 

『えー!?』

 

みんなが驚く中、僕は綴理の意思を呑んであげる事にした。

 

「分かった、綴理の気持ち受け取ってあげる」

 

「みく…ボク頑張る」

 

「数日間だけだけど頼んだ」

 

「待った」

 

綴理と話が纏まりかけた時、慈がそう声をかけてきた。

 

「めぐちゃん? あ、なにか言うか分かったぞぅ?」

 

「もしも部長代理ーーつまり、次のリーダーが必要だと言うのなら、それは私じゃないかな!」

 

慈がそう言うと、花帆ちゃんとルリちゃんがこそこそ話をして、慈が怒った。

 

「ええい!もう少し『おおー!』とか、『そうだよね!』とか、歓迎のリアクションをしなさい、そこのふたり!」

 

「めぐ。負けないよ」

 

「…むっ。綴理も、ここで折れないなんて。昔とは違うね」

 

「成長したからね」

 

綴理と慈がバチバチとし始めた。

 

「これはどうすれば良いんでしょうか…」

 

「んー確かにリーダーってことなら、めぐちゃんで間違いないと思うんだけど…」

 

「だけど?」

 

「梢先輩、みく先輩の代わりってことは、部長としていろいろお仕事をするってことでしょ?…めぐちゃんかあ」

 

「るりちゃん!?」

 

「そこまで言うなら、綴理と慈の二人でやってもらって…それに花帆ちゃんも僕と梢のお仕事、見てたし、なんとかなるでしょ」

 

「はい!ある程度分かりますので!」

 

「いいよ。受けて立つ」

 

「どちらがリーダーに相応しいか見せてあげようじゃないか!」

 

「え、これ勝負なんですか!?」

 

「勝負のつもりじゃなかったんだけど…」

 

「みく先輩…大丈夫なんですか…これ」

 

「大丈夫でしょ。竜胆祭と期限のない書類分けておいたからね」

 

と言って、机の上を指さした。

 

「あの…期限のない書類多くないですか…」

 

「あーね…色々と頼まれるからね…あっちはやらなくていいから。それとさやかちゃん」

 

「は、はい」

 

「あの二人が暴走しそうになったら止めてね」

 

「えっ?それはどういう?」

 

「そういうことだから」

 

僕はさやかちゃんにそう言って、部室を後にする。

 

「あっ、みく先輩、待ってください~!」

 

 

 

その後_

 

 

 

「おかしい」

 

「間違ってる」

 

「まずめぐちゃんは、もっと漢字読めるようになろうね…」

 

「漢字なんてこの世に要らないんだよ!るりちゃんだってアルファベットさえあれば良いでしょ!?」

 

「うぇ!?あ、あー、た、確かに英語さえあればベリーせんきゅーあんだすたん?」

 

「綴理先輩も…さすがに、練習スペース貸し出し理由が『れんしゅう』じゃ通りません」

 

「『じゅうれん』にするべきだったか」

 

「ぐぬぬ、じゃあ誰に二人の代わりができるっていうの!」

 

「思ったよりも苦戦してるみたいだね…」

 

さっきの会話_扉の外から聞こえてきて、口を挟んでしまった。

 

「みく!?」

 

「なんで戻ってきたの?」

 

「いやぁ…仕事が無くて梢が寝ているとやることがないもんで…そっちの書類だけで終わる仕事を取りに来たんだけどね…」

 

「みく、ごめん…ボクはみくみたいにはなれないみたいだ」

 

「…どこで躓いてるの…」

 

「これ…」

 

「どれどれ…」

 

綴理から渡された書類を見た。

本当に『れんしゅう』って書いてあった。

 

「綴理らしいね。理由はともかく」

 

「みく!もっと簡単なのないの!」

 

「いや…簡単って言っても…そんなのないよ…」

 

「因みになんですが…そっちの書類ってなんですか?」

 

「うん?気になるなら見てもいいよ」

 

さやかちゃんに聞かれたので、そう答えるとさやかちゃんは竜胆祭と違う方の書類を確認する。

 

「…花壇の修理…経理の仕事…って生徒会の仕事じゃないですか!これ!」

 

「あはは…沙知先輩に頼られると断る事が出来なくて…」

 

「笑いごとじゃないですよ!」

 

「そんな事はどうでもよくて」

 

僕がそう言うが、さやかちゃんは『どうでもよくない事はないです』と返してきたけど、無視して…

 

「綴理と慈の二人にやらしてみたら面白そうと思ったのは事実で_」

 

「みく!?」

 

「さやかちゃんやってみない?部長代理?」

 

「わたしがですか?」

 

「うんうん、二人はどうかな?」

 

「さやかちゃんがやってみたいなら」

 

「ん。さや、いつでもなんでも手伝う」

 

「皆さんがそうおっしゃるなら…不肖村野さやか、部長代理の臨時リーダーを務めさせていただきます。頑張ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

あの後、仕事を持っていこうとしたけど、みんなに止められたので、一旦自室に戻って、本を持って梢の部屋に戻ってきた。

 

「うぅ……未来…?」

 

「随分と寝ていたね」

 

「なんでここに…?」

 

「梢が風邪引いてるのに、自分の部屋に入れる訳ないでしょ」

 

「部長の仕事…」

 

「それは、さやかちゃんが代理部長で、みんなに代わってもらってる」

 

「それは申し訳ないわね…」

 

「梢は、風邪をしっかりと治す事」

 

「分かってるわ。竜胆祭までにはどんな手を使っても」

 

「はいはい…何か食べる?」

 

「そうね…今は背中を拭いて欲しいかも…」

 

「了解」

 

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