みんなと話合った次の日。沙知先輩が一年生の三人に第二の試練として、スクコネを使って、蓮ノ空スクールアイドルクラブの宣伝動画を作ることになったらしい。
それは置いておいて、僕は梢の部屋に居た。
「起きた?」
動き出した梢に気付いた僕はそう声をかけた。
「未来…今、何時かしら」
「午後四時だね」
「それにしても…」
「誰の夢見てたの?」
「…沙知先輩、来てなかった?」
「知らないけど」
「あの人、ほんと猫みたいだから、気まぐれに来たかもしれないし、私も知らない」
「来たかもしれないけど、僕も知らない」
「…そう」
「沙知先輩と言えば、今一年生たちに色々ちょっかいかけてるみたいだよ。試練、とか言って。沙知先輩が、一年生に色々課題出してる」
「…」
「私は一応、放置派だけど、梢の意見も聞いておこうと思ってさ」
「そう、ね。私はーー」
「本当に任せていいの?」
なんて会話があったその時の生徒会室では_
「おや、もう来てたのか。早いねぇ」
「あ、生徒会長!どこ行ってたんですかーもー」
「え、校庭とか、いろいろだけど?」
「仕方ないから許しますけど!」
「ありがとう」
「謝罪もお礼も要らないと思います…」
「でも、何をしてたんですか?タブレット持って」
「ああ、これかい。ステージ設営のための資料だよ。ほら」
沙知はそう言って、三人にタブレットの画面を見せた。
「なにもわからない…」
「あっはっはっは!こういうのは好きでもないと中々ね」
「ということは、生徒会長は…」
「まあそうだねぃ、舞台を作る、場所を作る、誰かが何かをしたいと思った時に、そのためのステージを用意する…っていうのがm結構好きかもしんないぜ」
「…」
「まあ今はスクールアイドルクラブからステージ奪おうとしてるけど」
「堂々と言った!」
「やっぱり奪うつもりなのかー!」
「あっはっは!さあ、踊る舞台を返してほしければーーっと、そうかキミたち、戻ってきたってことは」
「はい、第二の試練はクリアした…つもりです」
「ふむ。じゃあアップロードされてるはずだね」
沙知はそう言って、タブレットを操作する。
「あ、座ってていいよ。お菓子もあるよ。あとキミ用にダンボールもあるよ」
「わあい」
「いいんですかそれで…」
「ちょうど疲れていたところだから…」
瑠璃乃はそう言って、ダンボールに入る。
「これでよし」
「なんか馴染んてきたなー…ダンボールが喋るのも…」
「ふふふ…じゃあ動画見るからさ、ゆっくりしてて」
『はい』
「好きなんですか、これ」
花帆は、目に入ったお菓子の事を沙知に聞いた。
「まーね、あたしだけじゃなくて、二年生もみんな好きだよ。それもともと綴理が好きだったからあたしも教えてもらったんだけどーー」
「えっ」
「ん? あれ、あたし今なに言ってた?」
「え、あ、お菓子が、綴理先輩の好きなものだと」
「あー…」
「えっと」
「さて、動画を見終わった!第二の試練の結果を言い渡す!」
「強引に流しにきましたね?」
「あっはっは!もちろん、試練の内容は宣伝動画を作ること!作った時点で合格を言い渡そう!内容も良かったしね!」
「あ、ありがとうございます」
「花帆は、やっぱりはっきりしてて良いね。花咲きたい。ん、良いと思うぜ!」
「は、はい!」
「そいで瑠璃乃も、楽しそうだから、か。一年生として、スクールアイドルをこれから楽しんでいくってはっきり分かってて、これも良い!」
「ふぃーやったぜ!」
瑠璃乃はそう言って、ダンボールの中から顔を出す。
「あ、充電できたんですね」
「居心地がよい!」
「うむ、イイダンボールを置いた甲斐があった」
「良いダンボールってなんだろう」
「で、さやか」
「は、はい」
「ラブライブに出ないスクールアイドルもいっぱいいるぜ?」
「…えっ?」
「スクールアイドルは、ラブライブ!だけじゃない。もちろん、ラブライブ!が多くのスクールアイドルにとって、大きなものであることは間違いないけど、出なくちゃいけないわけじゃない。競技者とは違うのだよ」
「ーーっ」
「えっと、それはつまり…」
「さやか」
「なぜ、ラブライブ!にーーいや、違うな。スクールアイドルをやる理由は、答えられるかい?」
「っ…」
「花帆と瑠璃乃は合格だ。正直、第三の試練は必要ない」
『えっ?』
「さやか、君に第三の試練を言い渡す!自分がなぜ、スクールアイドルをやるのか。その答えを……持っておいで」
という事があったらしい。
なんで知ってるか?そんなの沙知先輩から聞いたからね。
*****
梢も風邪から復帰を果たしたので、梢の部屋に行く必要もなくなったので、屋上で夕日を眺めていた。すると隣にさやかちゃんがやってきた。
「みく先輩…」
「さやかちゃん…悩んでるようだね」
「私は、スクールアイドルならばラブライブ!には当然出るものと思っていました。ひとりの競技者として、1番を決める大会に出るのは当たり前だと、でも…スクールアイドルラブライブ!に出なくてもいい、そもそもスクールアイドルを続ける理由は、人任せ…」
「なるほどね…」
「みく先輩、私はどうすればいいんでしょうか?さっき、梢先輩にも同じことを聞いたら、『自分で見つけるしかないもの』と言われました」
「…答えを言ってしまうと…僕も、梢と同じ意見かな。スクールアイドルをやる理由はそれそれだからね、でもさやかちゃんはやる理由は見つけてると思うけど」
「…スクールアイドルを始めて良かったと思ってます。でも、綴理先輩が認めてくれたからとか、花帆さんや瑠璃乃さんが応援してるからとか…人から貰ったものばかりで…」
さやかちゃんがそう言うと同時に、校庭で準備していた子達が声をかけてきた。
「…あ、あれ部長さんとさやかちゃんじゃない?」
「あ、ほんとだ。ーーおーい、さやかちゃーん!」
「!こ、こんにちは」
「あはは、聞こえないよー!!」
「お辞儀したのは分かるね」
「さやかちゃーん!竜胆祭頑張ろうねー!!応援してるよー!」
「は、はい!」
「もちろん、出たいです…さやかちゃんの活躍、期待してるねー!!」
「楽しみにしてるからねー!!」
「はい、精一杯、頑張ります!!
さやかちゃんはそう言って、ホッと息を吐いた。
「私たちも頑張らないとねー」
「じゃないとスクールアイドルに全部持ってかれちゃうもんね」
「練習するよー」
「…そのためにも、わたしは…あれ、わたし、いま」
さやかちゃんはさっき言った言葉を思い出したようで気づいた。
「気づいた?」
「はい、これだったら素敵だなって、思えます。わたしーー
「沙知先輩、生徒会室に居るから行っておいで」
「はい、行ってきます!」
さやかちゃんはそう言って、屋上から去っていった。
その後、さやかちゃんは沙知先輩に『当日会場で見に来てください。そこで必ずお見せします』と言ったようだった。