-次の日-
梢と一緒に朝早くから部室にやってきていた。
梢はギターで、昨日話していた曲を弾いていた。
僕はパソコンを開き、こないだのライブのコメントを確認していた。
「梢、かなり評判だね」
「本当?それなら嬉しいわ」
すると、部室のドアが開き、花帆ちゃんが入ってきた。
梢は全然気づいていなかった。
「おはようございますー」
「花帆ちゃんおはよう、随分と眠たそうだね」
「そうなんです~って誰ですか!?」
「えっ!?」
花帆ちゃんと僕の声で気づいた梢が声を出した。
「あら、来ていたの?ごめんなさい、気づかなくて」
「梢先輩!この人誰ですか!」
花帆ちゃんはそう言いながら、梢に抱き着いた。
「えっと…未来よ」
「えっ!?未来先輩なんですか!?」
「そうよ、眼鏡をかけるとかっこよくなりすぎて分からなくなるわよね」
「さやかちゃんも同じ反応だった」
と言いながら眼鏡を外す。
眼鏡をかけただけでそんなにイメージ変わるとは思わないんだけど…
さやかちゃんの場合、顔が真っ赤だったけど
すると、花帆ちゃんは梢のギターを見て、また大きな声を出した。
「っていうか、梢先輩って楽器も弾けるんですか、凄い!」
「人並にはね。我が家はみんながみんな、音楽に携わっているの。子供の頃から一通り」
「一通りって…ギターの他にもピアノとか!?」
「後はバイオリンとトランペット、フルートにサックスなんかも」
「かかかかっこいいぃ~」
「ありがと、でも未来は、小学生の時にピアノで全国に行ったことあるのよ」
梢…余計な事は言わないでいいのに…
「未来先輩も凄いです!」
「ありがとね、もう辞めちゃったけど」
「どうして辞めちゃったんですか?」
「コンクールに出る為に弾くのが嫌になってね、今はキーボードを使ってるよ。作曲に使うから」
「作曲って!えっ、曲を作るって書いて!?」
「そういう事。梢と一緒に作曲する事が多いよ」
「ええ、せっかくだから、新入生歓迎会で新しい曲を披露しようと思って、今作ってる所なの」
「そうだ!せっかくだし、花帆ちゃんにも聞いて貰うのはどう?」
「いいわね。途中までだれけど聞いてもらえないかしら?」
「聞きます!聞きたいです!聞かせてください!」
「それで何か気になるところがあったら、指摘してもらいたいの」
「うんうん」
「そうですか!えっ、むりですね!?」
花帆ちゃん、元気よく断ったなぁ…
「そんな元気に断らないで」
「いい曲を作りたいのよ、お願い。日野下マネージャーさん」
「うっ…そんな業務があるなんて知りませんでしたけど…」
業務って…
「今、付け加えました、貴方の為だけに心を込めて歌うから、ね?」
「うう、ずるいですよそんな言い方…分かりましたよぉー」
「ありがとう」
「梢もそんな言い方したら…断れないでしょ…」
「そうかしら?」
その後、梢はギターを弾きながら歌った。
「どうだったかしら?」
梢は拍手をしながら
「凄い、凄いです!梢先輩、声綺麗!ハリもあって、伸びやかで、もう、世界一でした!音楽のテストだったら満点通り越して120点です!」
「あ、ありがとうね、なんだが照れるわねえ…ここまで力いっぱい褒められる事はあんまりないから…」
「未来先輩は褒めてくれないんですか?」
「未来は別」
「…気になった事あるんですけど…いいですか?」
「うん、曲の事で?」
「いえ、梢先輩って未来先輩の事…好きなんですか?」
おっと…なんか変な事になってきたなぁ…
梢はこっちを見て
「ええそうね。好きね」
「ええええ!?」
「なんで聞いて来たのに驚いてるのかしら?」
「って事は付き合ってるって事ですか?」
「そうね、去年の冬から私達付き合ってるよ」
「そうだったんですか!」
「もしかして…未来の事狙ってるのかしら?」
「いえいえ、未来先輩の事はとても良い人ですけど、狙ってるとかじゃないです!」
良い人と思われていて安心したよ、
嫌な感じに思われていたらどうしようと思う所だった。
「そういえば梢、新入生歓迎会の実行委員の仕事どうなってるの?」
「あっ…忘れていたわ…」
「何やってんの…」
「日野下さん…手伝って貰っていいかしら?」
「えっ、あっ、はい」
「ごめんね…花帆ちゃん、色々とやって貰って…」
「いいですけど…」
と言って、三人で部室から出る。
「本当に大量だよねこれ…」
「ええ、今まで先輩達が頑張ってきたのがよく分かるわね」
「それじゃ、やっていきますか」
と僕はぱっぱとやっていく中で、
「さ、焦らずゆっくりと急ぎましょう。1時間以内に終わらせて、作曲の続きもしなきゃ」
「ええっ!?この後、また部室に戻るんですかぁ!?」
「ええ、ステージだって作っている途中なんだもの。大丈夫よ日野下さん。上に積み重なっているものを一つ一つ取り除いていけば、いつか机の天板が見えてくるものよ」
「積みあがっていくスピードの方が早かったら、いつまでも見えませんよね!?」
「そうよ、いい所に気づいたわね。つまり焦らずゆっくりと急がなくっちゃだめって事」
「一日が、一日があっという間に過ぎてゆくんですけど~!」
その後、この資料の整理が終わったのは数十分後の話である。