「綴理も今帰り?」
「あっ、みく」
綴理と会話した次の日の放課後、学校の下駄箱で偶然にも綴理と出会った。
そして、綴理と並んで帰ろうとすると、
「やっほ、二人とも」
慈に声をかけられて三人で帰る事になった。
-帰り道-
「あのさ、私のせい、だったりする?」
帰り道、三人で歩く中、慈が口を開いた。
「なにが?」
「やー、綴理が今バタバタ頑張ってるのって、私が余計なこと言っちゃったせいかなーって…ほら、さやかちゃんが6人いればそれでいいって言ったじゃん?」
慈がそう言うと、綴理は図星だったみたいで…うめき声を出した。
「それで、さやかちゃんに負けないようにしないとー!って思わせちゃったかなーって、めぐ思うゆえにめぐあり…なんて言ってみたり、私の気にしすぎかな?」
「…。…。…。…はいそうです」
「綴理の正直なとこ、好きだよ。なんだが、ごめんね。綴理にもそういう気持ちがあったのは、ちょっと意外でさ」
「負けたくない、じゃないんだ」
「ん?」
「さやは、約束してくれたんだ。ボクの隣に立ってくれる…って、でも。さやはもっと前に進んで…ボクの隣どころか、もっと遠くに、今はさやの背中が、小さい」
「僕はそんな事ないと思うけど」
「うん、さやかちゃんも思ってないだろうけど。でも、なるほど、それで実行委員を始めたわけだ」
「そうだね、こんな気持ちで、未来の後輩のための仕事をやっていいのかって言われると、ボクはもう…つつかれれば丸まるしかないダンゴムシだ。ころん」
「ダンゴムシって…」
「で、でも、綴理が思い詰めてる割には評判良いじゃん」
ダンゴムシのように丸まる綴理を慰めるように慈は言う。
「楽しいアイディアを思いついて、おかげでみんなのやる気も出て。事務的なとこはちょこちょこ失敗するけど、それも可愛い」
「めぐの話?」
「キミの話だよ」
「綴理…全く同じ事を思った」
僕がそう言うと、慈は僕の頭を軽くではあるが叩いてきた。
痛くはないけど。
「ちょっと…二人とも失礼しちゃうな…全くもう!私はもっとメリハリ付けて可愛いんだから…て、私の話は良いんだよ。とにかく、綴理はうまくやれてるって話!たとえ最初の理由が不純なやつだったとしても、うまくやれてるんだから胸張って良いよって言いたいの!」
「あ、ありがとう、めぐ、優しい」
「私はいつも優しい」
「慈、珍しく素直じゃん」
「うん、めぐ、珍しく素直に優しい」
「そういうとこだけ具体的にするなー!」
「でも、めぐの言う通りかも」
「…なにが?」
「始めた理由は、ボクが焦ってたからだけど、うまくやれてるかも、とも、思うんだ。これから蓮ノ空を目指す子たちに、この学校の魅力を伝える。それがオープンキャンパス実行委員の仕事なんだって。だったらそれはもう…ボクにとっては、スクールアイドルと同じ。ボクがスクールアイドルとしてやりたいことだ」
「スクールアイドルクラブとしての活動じゃなくても?」
「うん、スクールアイドルクラブじゃなくても、スクールアイドル、みんなは、どう思うか分かんないけど」
「…ふーん、ま、ちゃんと出来てる裏側には、綴理なりの気持ちがあったわけだ。取り組みはばっちり成功しそうだし、あとはさやかちゃんが『やっぱり綴理先輩がサイキョーですぅ!』とか言えば綴理の動機もふくめて全部解決か!」
そのさやかちゃん、ルリちゃん混ざってるよね
「さやはそこまで変じゃないよ?それに、褒められたいわけじゃないし…」
「うるさいな!綴理に足りないものは自信でしょうが!」
「めぐ」
「なに!」
「心配してくれてありがとう」
「…綴理の、いっつも見抜いた風なセリフを言うとこは、きらいだなー」
慈がそう言うと、綴理はダメージを食らったのように後ろに下がった。
「えっ……きらい………?」
「慈…ショック受けてるぞ」
「いちいちショック受けるんじゃないよ!ただの照れ隠しだから!説明させるな!」
慈の叫び声が夕日に染まる空へと消えていった。