蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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49.綴理の気持ち

 

「綴理も今帰り?」

 

「あっ、みく」

 

綴理と会話した次の日の放課後、学校の下駄箱で偶然にも綴理と出会った。

そして、綴理と並んで帰ろうとすると、

 

「やっほ、二人とも」

 

慈に声をかけられて三人で帰る事になった。

 

 

 

-帰り道-

 

「あのさ、私のせい、だったりする?」

 

帰り道、三人で歩く中、慈が口を開いた。

 

「なにが?」

 

「やー、綴理が今バタバタ頑張ってるのって、私が余計なこと言っちゃったせいかなーって…ほら、さやかちゃんが6人いればそれでいいって言ったじゃん?」

 

慈がそう言うと、綴理は図星だったみたいで…うめき声を出した。

 

「それで、さやかちゃんに負けないようにしないとー!って思わせちゃったかなーって、めぐ思うゆえにめぐあり…なんて言ってみたり、私の気にしすぎかな?」

 

「…。…。…。…はいそうです」

 

「綴理の正直なとこ、好きだよ。なんだが、ごめんね。綴理にもそういう気持ちがあったのは、ちょっと意外でさ」

 

「負けたくない、じゃないんだ」

 

「ん?」

 

「さやは、約束してくれたんだ。ボクの隣に立ってくれる…って、でも。さやはもっと前に進んで…ボクの隣どころか、もっと遠くに、今はさやの背中が、小さい」

 

「僕はそんな事ないと思うけど」

 

「うん、さやかちゃんも思ってないだろうけど。でも、なるほど、それで実行委員を始めたわけだ」

 

「そうだね、こんな気持ちで、未来の後輩のための仕事をやっていいのかって言われると、ボクはもう…つつかれれば丸まるしかないダンゴムシだ。ころん」

 

「ダンゴムシって…」

 

「で、でも、綴理が思い詰めてる割には評判良いじゃん」

 

ダンゴムシのように丸まる綴理を慰めるように慈は言う。

 

「楽しいアイディアを思いついて、おかげでみんなのやる気も出て。事務的なとこはちょこちょこ失敗するけど、それも可愛い」

 

「めぐの話?」

 

「キミの話だよ」

 

「綴理…全く同じ事を思った」

 

僕がそう言うと、慈は僕の頭を軽くではあるが叩いてきた。

痛くはないけど。

 

「ちょっと…二人とも失礼しちゃうな…全くもう!私はもっとメリハリ付けて可愛いんだから…て、私の話は良いんだよ。とにかく、綴理はうまくやれてるって話!たとえ最初の理由が不純なやつだったとしても、うまくやれてるんだから胸張って良いよって言いたいの!」

 

「あ、ありがとう、めぐ、優しい」

 

「私はいつも優しい」

 

「慈、珍しく素直じゃん」

 

「うん、めぐ、珍しく素直に優しい」

 

「そういうとこだけ具体的にするなー!」

 

「でも、めぐの言う通りかも」

 

「…なにが?」

 

「始めた理由は、ボクが焦ってたからだけど、うまくやれてるかも、とも、思うんだ。これから蓮ノ空を目指す子たちに、この学校の魅力を伝える。それがオープンキャンパス実行委員の仕事なんだって。だったらそれはもう…ボクにとっては、スクールアイドルと同じ。ボクがスクールアイドルとしてやりたいことだ」

 

「スクールアイドルクラブとしての活動じゃなくても?」

 

「うん、スクールアイドルクラブじゃなくても、スクールアイドル、みんなは、どう思うか分かんないけど」

 

「…ふーん、ま、ちゃんと出来てる裏側には、綴理なりの気持ちがあったわけだ。取り組みはばっちり成功しそうだし、あとはさやかちゃんが『やっぱり綴理先輩がサイキョーですぅ!』とか言えば綴理の動機もふくめて全部解決か!」

 

そのさやかちゃん、ルリちゃん混ざってるよね

 

「さやはそこまで変じゃないよ?それに、褒められたいわけじゃないし…」

 

「うるさいな!綴理に足りないものは自信でしょうが!」

 

「めぐ」

 

「なに!」

 

「心配してくれてありがとう」

 

「…綴理の、いっつも見抜いた風なセリフを言うとこは、きらいだなー」

 

慈がそう言うと、綴理はダメージを食らったのように後ろに下がった。

 

「えっ……きらい………?」

 

「慈…ショック受けてるぞ」

 

「いちいちショック受けるんじゃないよ!ただの照れ隠しだから!説明させるな!」

 

慈の叫び声が夕日に染まる空へと消えていった。

 

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