蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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50.お風呂場での会談

あの後、未来と別れた綴理と慈は、梢と一緒にお風呂に入っていた。

 

「…なるほど、綴理が実行委員になった理由は分かりました」

 

話を聞いた梢は、そう言った。

 

「一応、梢にも話しておこうと思ったのと、それなら四人でいいじゃんって」

 

「綴理のアイディアを、未来から見させて貰って、あまり心配しすぎるのもよくないと反省したところなのだけれど」

 

「ひょっとしてボク、ふたりに心配されてたの?」

 

「まーねー。でも、綴理の事一番心配してたのはみくだったけどね。ちゃんと話してくれたからほっとしてるみたいだけど」

 

梢も慈の言葉に頷いて続けて言った。

 

「…さやかさんに置いていかれるかも、ね。いえ、それで状況を変えるために頑張ろうという姿勢は、素敵なことだと思うわ」

 

「それで、さ。綴理が実行委員としてやりたいことは分かったけど、それは実行委員になってから思いついたことでしょ? そもそも実行委員やりたいですーって言ったのは、たまたまタイミングが良かったから?」

 

慈は思った事を綴理にそう聞く。

 

「謝る必要はないんだけど…でも綴理は分かってるのかなって、私たちは気にしてたんだ」

 

「この企画、生徒会主導なのよ。学校説明会をオープンキャンパスにしたのは、沙知先輩」

 

「そっか」

 

「竜胆祭のとき、綴理ってば沙知先輩のやったことに…その、微妙な顔というか。こう、ピキっとしてたじゃん?だから、沙知先輩の下で頑張ることになるのは、不本意かなーみたいな」

 

「…ありがと、めぐ。こず」

 

「ボクは…嫌い、なんだと思う。生徒会長…ボクを置いていった人のことは…でも、それとボクのやりたいことに変わりはないから」

 

「そ」

 

「でも…めぐこそ、どうなの?」

 

「私?」

 

「生徒会長と話すの、平気そうだから」

 

「平気…平気かあ…。なんていうか、私は綴理と違って、今になってどうこうってのはもう、あんまりないんだよね。私にはるりちゃんがいるし、そのおかげで踊れるようにもなったし。それにほら、沙知先輩が辞めたのって、私の怪我の直後だったでしょ?その時、死ぬほどキレたからさ。私はもう吹っ切れたというか」

 

「そっか。…こずは?」

 

「私は…あの時沙知先輩が説明したことで少し納得できてしまったから。『生徒の自由を守るために生徒会長にならなければならない。それは理事長の孫である自分にしかできない』そしてーー『この学校では、生徒会長は他の部活に入れない』『だからスクールアイドルクラブをやめなきゃいけない』」

 

梢は思い出しながら言う。

 

「…うん。そんな話だったね」

 

「もちろん寂しかったけれど、あの人の立場もわかってしまった。それに去年は私自身も、沙知先輩を責められる立場ではなかったし…だから割り切れているつもりよ」

 

「そっか、すごいね。ボクはたぶん、むりだ」

 

「…ねえ、綴理、私が割り切れたのは、あなたのおかげでもあるのよ?」

 

「ボクの?」

 

「正確には、あなたと、花帆さんと、さやかさん。みんなのおかげで、私は前に進むことが出来たと思うの。慈にとって、瑠璃乃さんが居ることが支えになっているように、だから私だけが凄いなんてことは、無いわ」

 

「ボクにも割り切れる、ってこと?…ごめん。それは分かんない」

 

「…綴理」

 

「…ま!私は綴理が、沙知先輩の手のひらの上なんていやだー!ってならなくて、安心したよ。オープンキャンパスを成功させるのは、綴理自信がやりたいから。それで十分」

 

「ん」

 

「よーっし、だったら、今回の件は私が焚きつけたみたいなもんだしーー全力で綴理に協力してあげようじゃん!ね、梢!」

 

「…そうね、未来の後輩のためにスクールアイドルとして頑張りたい。そういうことなら、私だって他人事ではないもの。頑張りましょう」

 

「ありがとう、ふたりとも」

 

 

 

******

 

「綴理が沙知先輩の下なんて嫌だーって言ってなくて安心した」

 

「ボクなんなの」

 

夜、二年生4人でラウンジに集まって会話をしていた。

 

「それでなんだけど」

 

「うん」

 

「みくって、沙知先輩となんで親しいというかなんで慕ってる訳?」

 

慈がいきなりそんな事を聞いて来た。

 

「なんでそんな事を聞くの?」

 

「みくだって、吹奏楽部に居たじゃん。沙知先輩が生徒会長になる時に、強制的に部長になった訳じゃん」

 

「まあね」

 

「それで沙知先輩に嫌な感じ持ってなさそうだから」

 

「慈の言いたい事も分かるけど、部長になってから色々と助けて貰ったし、嫌になる事はないかな」

 

あの頃はそう言った気持ちは少なからずあったけど、その後の沙知先輩の行動を見てた僕は、そんな気持ちはどこかに行ってしまったな。慈の事も、僕の部長の助けだったりとかね。

 

「とりあえず…綴理に協力するって事でオッケーかな?二人とも」

 

僕が梢と慈に聞くと、二人は頷いたので。この話し合いはお開きとなった。

 

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