蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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52.雨の蓮ノ空

雨が降り始めた蓮ノ空学院。

梢と慈は部室前で合流していた。

 

「あ、慈」

 

「なにがイベント日和だよー!」

 

「急に雲行きが変わったみたいね。なんて間の悪い…」

 

「どうしよっか…。天気予報も晴れだったし、私の六号車グループは、傘なんて誰も持ってないよ」

 

「それは私のところも同じね。あら…みんな!」

 

二人がそんな会話をしていると、そこに一年生三人がやってきた。

 

「中学生のみんなは一応、屋内に案内終わりました!」

 

「実行委員さんたちが先導してくれて、今は繋ぎのために体育館のスクリーンで学校説明会の動画を流してくれてます!」

 

「でも、どうするの、このあと!実行委員の人たちも、なんかノープランらしいよ!」

 

「ノープランというよりは、もうほとんどのプランが終わってるからでしょうね…ちなみに、中学生の子たちは傘持ってた?」

 

「いえ、それが」

 

「誰も持ってなくて」

 

無理もない。朝、あんなに晴天だった上に、天気予報も晴れと言っていた。

天気が崩れる予想するのは難しいだろう

 

「なるほど…どうすれば良いのかしらね」

 

「あの、綴理先輩とみく先輩はーー」

 

さやかがそう問いかけると、綴理がその場に現れた。

 

「みんなここに居たの、良かった。今日来た子にたちに聞いたらね。一日ずっと、すっごく楽しかったって。案内してくれた人のおかげって言ってたから…みんなが凄かったんだ」

 

「それは嬉しいお話ね。でも綴理、今はそれよりーー」

 

「そうだね、ライブの準備をしないとね」

 

「わ、ライブできるんですか!?」

 

「するよ?」

 

花帆に聞かれ、そう答えた綴理の声はどこか弱弱しかった。

 

「うぉー、まじか。それならそれで気合入れ直さないとだー」

 

「綴理…大丈夫なの?」

 

「うん、このオープンキャンパスは、絶対に成功させる」

 

「…そ、分かった。じゃあどうすればいい?」

 

「色々探したいんだ。どうにかして、予定通りライブするための、なにか」

 

「ん、おっけ、悩むよりも行動だね。ちょっと実行委員の人たちに話してみようか。行こう、るりちゃん」

 

「分かった、最後までやりきりたいもんね!」

 

綴理の声を聴いて、慈は瑠璃乃を連れて去っていく。

 

「…ライブがしたいのは、私も同じ。体育館とか、他に使えそうな場所がないか聞いて回りましょう」

 

「あたしも行きます。それから、綴理先輩! 今日、みんなと色んな話が出来ました。凄く楽しかったし、ライブのことを楽しみにしててって言ったら、みんな本当に期待してくれて…あたし、約束したんです!みんなの心に、おっきなお花を咲かせるって!だから、最後まで絶対に成功させましょうね!」

 

「うん」

 

「行きましょう、梢先輩」

 

花帆は、綴理にそう話し、梢と共に去っていった。

 

「ボクたちも行こう、さや」

 

「…綴理先輩。沙知先輩が探してましたよ、綴理先輩のこと」

 

「っ…それは、雨のあと?」

 

「はい。振り始めてからのことです。具体的に、綴理先輩を探している理由までは聞きませんでしたけど」

 

「…きっと、ライブを中止にしろって話だ」

 

「えっ?」

 

「気にしなくていい、行かなければ、中止にしろとも言われない」

 

「ちょ、ちょっと待ってください」

 

綴理から出てきた言葉にさやかはすぐさま声をあげた。

 

「じゃあライブ決行の判断は、生徒会の許可が下りたとか、みく先輩に聞いたとかではなく、沙知先輩にはそもそも話を通していないと?」

 

「…なにか、ダメ?」

 

「ダメというか!もしも沙知先輩がライブを中止にするつもりなら、そこには何か理由があるんじゃないですか?」

 

「…雨は、いつ止むか分からないから。だったら雨が止むまで待つより、みんなが帰ってくれた方が、良い一日で終われるとか。たぶん、そういう、でも、ボクは雨の中だって踊れる!野外ステージだって、雨で溶けたりしない!」

 

「見に来てくれる皆さんもずぶ濡れですよ、先輩…」

 

「だから、それをどうにかしたいんだ。さやも…ボクがおかしいと思う?」

 

「わたしも、というのは、誰とわたしなんですか?」

 

「っ…、さや。ボクはただ、今回のイベントを最高のものにしたいだけなんだ。雨で中途半端とか、そんなの嫌だってだけなんだ。だからーー」

 

綴理が話を続けようとしたその時、校内放送のチャイムが鳴った。

 

 

 

『オープンキャンパス実行委員、夕霧綴理。オープンキャンパス実行委員、夕霧綴理、至急、生徒会長までー」

 

 

沙知から呼び出しだった。

 

 

「…ボクは、行かない」

 

「ライブをしたい気持ちは分かります。わたしだって、今日の一日を素敵なものにして終えたかった。でもこの状況で、手立てがないまま中学生の皆さんを待たせるわけにも…」

 

「だからその手立てを探す、じゃあダメなの。さや?生徒会長のところに行く時間がもったいないよ。探しに行こう?」

 

綴理がそう言って、歩き始めた時。

 

「綴理大丈夫、綴理の成功させたいって気持ち、ここで終わらせないから、沙知先輩の所へ行っておいで」

 

そこに、ずぶ濡れになった未来が立っていた。

 

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