蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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55.追いついたよ

 

花帆ちゃん発案のアンブレラスカイライブを終えた、僕達スクールアイドルクラブは、中学生の見送りに来ていた。

 

「また会おうねー!!絶対だよー!ぜったいだからねえー!」

 

バスが見えなくなるまで、元気に手を振りながらそう言う花帆ちゃん。

本当、どこまでも元気すぎる。

 

「…ふぅ、やり切ったわね。慈、大丈夫?」

 

「可愛いめぐちゃんにかかればこのくらい…!どうってこと…ないんだよ…!!」

 

頑張りぬいて充電切れのルリちゃんを支えながら言う慈

 

「いつでも代わるから言ってちょうだいね」

 

「気持ちだけ受け取っておく…!くっそぉ、昔はもっと対格差あったからへっちゃらだったのに…ううぅ…!」

 

「ふふっ…ねえ、慈」

 

「ん?なに、手短にお願い」

 

「良かったわね」

 

「あの曲のこと?ん~~……ま、そうかもね。割り切るとかじゃなかくても、よかったのかもね。でも、どうかな。綴理みたいなやり方は、私にではできないからなあ」

 

「…私もね、センパイでいることの意味をしっかりと考えなくちゃって思ったわ。責任は重いものね」

 

「今重いとか言わないでほんと」

 

「ふふっ、なんだが、ひとつ肩の荷が下りた気分だわ」

 

「わざと言ってない?ねえ?」

 

梢と慈が話をしている仲、ドルケの二人も話をしていた。

 

「今日の曲…とっても良かったですね!」

 

「ん…。そうだね、ありがとう」

 

「いえいえいえいえこちらこそ」

 

「それが、今日の?」

 

「そう、これ、さち先輩の曲」

 

そう言いながら綴理の手にあるのは、沙知先輩からライブ前に渡されたCD

 

「えっ?」

 

「さちが、作った曲なんだ」

 

 

 

-それは遡ってライブ終了直後の話である-

 

 

「お疲れ、綴理」

 

「うん、ボク頑張った」

 

「本当にお疲れ」

 

僕が綴理に声をかけると、背後から聞きなれた声が聞こえてきた。

 

「…良い、ライブだったよ」

 

沙知先輩だった。

そして、沙知先輩の言葉に綴理は返す。

 

「おしごと、あるんじゃないの?」

 

「ああ、でも…あたしも、言えなかったことを言っておこうと思ってね。キミはもっともっと、成長できる。心配しないで、さやかと、みんなと、スクールアイドル頑張って」

 

「…ねえ」

 

「ん?」

 

「…戻らないの?スクールアイドルに」

 

「なに言ってるんだい?」

 

「え?」

 

「あたしはーースクールアイドルだよ…今でも、そのつもりだ」

 

「でも、クラブには」

 

「…そうだね、最初は確かに、人身御供のようなものだったさ、理事長の孫娘だから、方々に顔が利くから

交渉事に慣れてるから、それに…スクコネや、遠征なんかの禁止が多発しそうだったから、生徒会長は、あたしがやるしか、なさそうだった」

 

「…」

 

「でもね、綴理…スクールアイドルって、なんだい?」

 

「不完全でも熱を持ったボク達で作る、芸術」

 

「そうだよね…ボクたち、になったんだね」

 

沙知先輩のその言葉に、綴理は頷いた。

 

「生徒会長として忙しい日々を送る中で、スクールアイドルクラブから離れたことを何度もつらく思った。というか、スクールアイドルを想わなかった日なんて一度もなかった。でもね…そうやって過ごしたこの1年で、あたしも気付いたことがあるんだよ」

 

「…なんだろう。やったことないからわかんない」

 

「ははっ、そうだね。あたしがやったことは、たとえば今回みたいにオープンキャンパスを作ったり、学校の体制と向き合って、スクールアイドルクラブの活躍できる場所を守ろうとしたり。試練とか言って一年生にちょっかいをかけたり…それから、こうやって曲を託したり、そういうことを、やってた……やってて、楽しかった」

 

「…ぁ」

 

「ねえ、綴理。こうやって裏側からスクールアイドルを支える仕事、つまりはみくがやってる仕事はどうかな?綴理にとっては、スクールアイドルじゃないかな?」

 

「…それは、そうかも」

 

「スクールアイドルは、不完全でも熱を持ったみんなで作る芸術。綴理ならきっとそう言ってくれると思ったよ。だからあたしは、戻らなくても、スクールアイドルのつもりだ。もちろん、自分をスクールアイドルだと思うかどうか…その価値観は人それぞれだけどね」

 

「うん」

 

「だからさ、綴理。あたしも頑張る。綴理も、頑張れ」

 

「…うん、ありがと、さち」

 

「それじゃあ、あたしもあたしなりのスクールアイドル活動をしてくるよ。また…その」

 

「?また明日」

 

「ああ、また明日、だ!」

 

そして、僕達から去っていく沙知先輩の事を見送った。

 

「みく、今日はありがとう」

 

「うん」

 

「ボクのために、ずぶ濡れになってまでライブを出来るようにしてくれて」

 

「綴理の気持ちは聞いてたからね、それに出来そうな天気になってたし、色々と運が良かったんだよきっと」

 

「ううん、未来が動いてくれてなかったら、出来てなかったかもしれない。だからありがとう」

 

そう言って、綴理は僕の頬にキスを交わしてきた。

 

「これはお礼」

 

「何をやってんの!?」

 

「それと最初に会った時みたいに、あだ名で呼んで欲しいかな」

 

「あだ名って…つづとか?」

 

「そう」

 

「…分かった、一年前みたいにそう呼んであげるよ」

 

「うん」

 

「みんなびっくりすると思うよ」

 

「だね」

 

 

そして、時は戻り_

 

 

「…帰ろうか」

 

「はいっ!ふふっ」

 

「…さや、ご機嫌」

 

「分かりませんか?理由」

 

「…分からない」

 

「隣にいるのが。全てですよ♪」

 

 

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