散らばっていった四人を部室に集めて、沙知先輩から話を聞くことにした。
「本当に、申し訳ない。今回の件は、あたしの力不足だ」
「…さち」
「あの、どういうことなんでしょうか…?来年以降、活動できなくなるって…」
さやかちゃんは、率直な意見を沙知先輩にぶつけた。
「そうだね、順を追って話そう、蓮ノ空には、前々からひとつの議題があがっていたんだ。それが『ネット禁止令』。校内や寮での、ネットの使用を禁止する校則だ」
「ネット禁止…!?」
沙知先輩から出てきた言葉に、ルリちゃんがそう口に出した。
「沙知先輩…ネット禁止令って今年はまだしないって話では…」
「そうだよ!そんな校則できちゃったら、配信どころか、動画投稿だって!」
「まぁ…無理だね…」
「うん、そもそもスクールアイドルコネクトーースクコネに繋げられなくなってしまう。蓮ノ空に携わっている運営の中には、派閥がいくつかあって、その派閥もそれぞれ主義出張が違っていてね。蓮ノ空は全寮制の学校だ。それなのにネットが使えたら勉学の妨げになる、っていう陣営もある。実際、それについては一理あると思う」
沙知先輩がそう言うと、みんながめぐの事を見る。
辞めてあげて…気持ちは分かるけど
「私ひとりが勉強がんばればどうにかなるんだったら、学校一位だって取ってやるけど!?」
めぐ…
「はは…それはぜひ見てみたいねぃ」
「学校側では、『ネットを禁止するべきだ』という論調がずっとあったんですよね。この時期にまたそれが問題として持ち上がってきたのは、やっぱり、スクールアイドルクラブが原因ですか?」
「えっ!?なんであたしたちが?」
「関係ないと思う」
「未来の言う通りだと思う。この学校のネット活動として、一番目立っているのはスクールアイドルクラブだけど、キミたちが特別やり玉にあげられているわけじゃない、強いて言えば、時代の流れってやるだろうねぃ。環境的に、蓮ノ空にとって『ネット禁止令』はいつかどこかで浮上する問題だったんだ」
今はネット社会だから、沙知先輩が言う通り。どこかのタイミングで発生する問題だろう。
それが今回になってしまっただけで…
「ええい、こんなときに!」
「来年度のこととはいえ、どうするんですか?どうすれば…」
「あたしが生徒会長の間は、毅然とした態度で反対の意を示すつもりだ。ただ、悔しいことに時間の針はいつだって前に進んでいてね。12月の末で任期が切れてしまった後、あたしには打てる手がなくなってしまう。反対勢力を止められるのは、現職の生徒会長だけだ」
「つまり、来年にはネットが禁止されちゃう…!?」
「あるいは…」
「僕達の活動を応援してくれる誰が生徒会長になって、学校側と正面でやりあうしかないね」
「それって…」
「例えば、私や二年生の誰かが、沙知先輩のようにスクールアイドルクラブを辞めて」
梢がそう言うと、花帆ちゃんが辞めないでと言った。
「蓮ノ空って、生徒会長になったら部活出来ないってルールがあるんだ…こればっかりは仕方居ないけど…」
「先輩方…」
「でもそれは、最後の手段、でしょ?」
「うん、もちろん、まだ任期の満了までは時間があるからね。あたしも、やれるだけのことはやってみるつもりだよ。どうせなら、刺し違えてもね、ってねぃ!」
「…無茶はほどほどにですよ。今度こそ」
「ごめんごめん」
すると、一年生達が小さい言葉で何か相談を始めた。
何について話をしてるかは分からないけど、そんな中、花帆ちゃんが声をあげた。
「あの、生徒会長!だったらあたしたちも、お手伝いさせてください!」
「キミたちが…?でも、もうすぐラブライブ!北陸大会じゃ」
「練習の時間は、削りません!ちゃんとやります!でも、スクールアイドルクラブのピンチを、黙って見過ごすなんでできません!」
「…そっか、だったら、みんなもいろいろと考えてみてほしい。ごめん、クラブを辞めた
後も迷惑をかけてしまって」
沙知先輩がそう話すと、綴理が首を横に振って話し始めた。
「ありがと、そうやって、真っ先に話してくれて、それだけでボクは…すごく嬉しい。このあいだのボクにはできなったことだから」
「そうだね、なんでもすぐに話し合えばよかったんだ、まさかこんなに簡単なことだったなんて…わかんなったよ、あたし」
「沙知先輩が悪い訳じゃないですよ」
と僕が言うと、梢とめぐの二人はクスっと笑った。
「よっし、それじゃ、練習外の時間を使って、早速やってみましょう!」