ラブライブ全国大会を終えた僕達は東京から金沢に帰ってきていた。
『お疲れ様。惜しかったね。でも、凄く輝いてたよ』
朝、起きると、僕のスマホのメッセージアプリにお姉ちゃんから連絡が届いていた。
『見に来てくれてありがとう、来年は必ず優勝できるようにみんなを支えるから』
とメッセージを送った。
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-部室にて-
「…おはよーございまーす」
そう言って部室に入った花帆は、みんなが居ない事にすぐに気づいた。
「…あれ?まだ、だーれも…あ、きょうは朝練、ないんだったっけ…そっかぁ」
その時、部室のドアが開いて、梢が入ってきた。
「あら」
「あ、梢先輩…」
「おはよう、どうしたの?もしかして、眠れなかった?」
「あ、いえ、そういうわけじゃ、ないんですけど…梢先輩は、なんだが、いつも通りですね」
「…そう見える?」
「違うんですか?」
「私は先輩だもの、こんなときぐらいは、しっかりしていなくっちゃ。去年は結局、辞退をしてしまったから。みんな、初めての経験なのよ」
梢はそう前置きをする
「ラブライブ!の大会で、辞退するのは」
梢がそう言うと、その場に思い空気が漂る。
「…そう、ですよね。決勝まで、いったのに。あたしは…まだ、あんまり実感がなくて、今も足元がふわふわしてるんです。あんなにずっと練習してたのに、ほんとに、たった一日で終わっちゃうんだな、って…」
「…そうね」
梢は花帆の言葉にそう言い、話題を変えるために口を開いた。
「ねえ、花帆さん。もう少ししたら、みんなの様子を見に行こうと思うの」
「え?」
「よかったら、あなたも一緒に来てくれない?」
「それは、でも」
「ね、お願い、花帆さん」
梢はそう言いながら、手を合わせて花帆にお願いをする。
「…わ、わかりました。なにができるかわかりませんけど、その、がんばります!」
花帆は、梢のお願い攻撃に負けてそう返した。
「それじゃあ、まずはお礼に紅茶をいれるわね。きょうは寒いわ。温まってから、みんなに会いに行きましょう」
「はい!あ、手伝います!」
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二人は、部室で身体を温めて、コートを着て外に出てきていた。
「さて…まずは瑠璃乃さん、と思ったのだけれど、寮にもいないし、外出届も提出されていないみたい」
「…っ、こ、梢先輩~!」
その時、花帆が走ってやってきた。
「はぁっ、友達が見たって言ってて…!瑠璃乃ちゃん、ひとりで湖の方に向かった、って!」
「ひとりで湖に…?」
「はい。なんだが、すっごく落ち込んでたみたいで…」
「そう…心配ね。急ぎましょう、花帆さん」
「はいっ!」
そして、二人は湖の方へと急いで向かった。
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-湖で-
「…みず、みずだあ。わあい」
瑠璃乃はそう言いながら、橋の端まで歩みを進める。
「瑠璃乃ちゃん!?危ないっ!」
「え?」
花帆は、瑠璃乃に抱き着いて瑠璃乃を止めようとしたが、逆に二人で落ちそうになっていた。
「そんなフラフラしてたら落ちちゃうよぉ!」
「いや、ちょっと待っ、むしろこれじゃふたりとも、落ちーー!?」
二人が落ちそうになった時、梢が支えに入った。
「セ、セーフね…」
その後、三人は橋から離れて安全な場所に移動した。
「ごめん、瑠璃乃ちゃん!落ち込んで湖に向かったって聞いたから、あたし、つい焦っちゃって…」
「いや~……。そっか、心配かけちゃったのかあ。ごめんね~」
「でも、どうして湖に?」
「みくパイセンに会って、一人になれる場所って聞いたら、ここをおススメされて…なんかね〜やっぱりね〜…ショックだったんだ〜…」
「やっぱり、大会で負けちゃったから…?」
「ん~……ごめん、花帆ちゃん。たぶんルリね、みんなとは違うんだと思うんだ」
「…違うって?」
花帆に聞かれて、瑠璃乃は答える。
「ラブライブ!本選、すごかった。出場するスクールアイドルのみんなの熱、っていうのかな、それがね、もう熱くて仕方なかったんだ…みんなここに本気なんだなーっていうのがすっごく、すっごく伝わってきて…ここが本当に、みんなの旅の目的地なんだなって思えたんだ」
「すべてのスクールアイドルの、憧れの場所、だものね」
「うん、みんなきっと、めちゃくちゃ『スクールアイドル』してたんだと…ルリ思う。でもさ、ルリは、そんなことに気付ける余裕があったんだよね。ルリ、だけがさ、ルリだけが…ここに居るだけ、だったんだから。それが、申し訳なくて、消えちゃいたくなってる…。イマココ…」
「瑠璃乃ちゃん…そ、そんなことないよ!あんなに練習いっぱい、がんばってたのに…」
「うん…でもそれは、ただ練習してたってだけで…そもそも、ルリひとりだったら、あの場に立つことだってできなかったし…」
瑠璃乃がそう言うと、花帆が何かを言おうとしたが、花帆は梢と目を合わせて、梢が口を開いた。
「確かに、そうかもしれないわね。瑠璃乃さんは、夏から入部をした一年生。歴だって、他の子に比べても短いわ。でもね、スクールアイドルであるかどうかを決めるのは、憧れた日数や、積み重ねた年月だけなのかしら。私はあなたのことも、素敵なスクールアイドルだって、ちゃんと思っている」
梢は瑠璃乃に対してそう答える。
「…梢、先輩」
「その上で、今あなたにとって必要なことは、あのステージに立って、いったいなにを望んでいたのか、自分の小さな心の声に、耳を澄ませてあげることじゃないかしら」
「心の声…ルリに、そんなの、あるのかな」
「願いも夢も、人によって様々だもの、瑠璃乃さんにもきっと、大切な思いがあった。ステージのあまりの眩しさに、少し、見えなくなってしまっているだけなんだわ。そうじゃないと、あんなに一生懸命練習をがんばれるはずがない、ただやっていただけなんて嘘よ。私にはわかるの」
「どうして?」
「私もね、スクールアイドルを見る目には、少し自信があるんだから」
「ルリ、そんなこと初めて言ってもらっちゃった…」
「そ、そう?慈がいつも言ってそうだけれど」
「めぐちゃんも、似たようなことは言ってくれるし、それは嬉しいけども!めぐちゃんはルリが大好きだから、その発言には補正が乗っかる!」
「あ、あたしも!うちの瑠璃乃ちゃんは世界のどこに出しても恥ずかしくない。立派なスクールアイドルだって思ってるからね!」
「花帆ちゃんも、実は少し補正が…」
「乗っかるの!?補正ってなに!?」
「でも、うん…ふたりとも、ありがとうございます。落ち込んでても、こうやって来てくれる人がいるんだって、こんなミジンコのルリにも、石コロくらいの価値があるような気がしてきました…」
「あんなに梢先輩がいいこと言ったのに、まだそこ!?」
「ふふっ、でも普段の瑠璃乃さんって感じよ」
「きっと…今まで『めぐちゃんと楽しむためにやってること』っていうのを、言い訳にしてた部分があったんだと、ルリ思う。だからハッキリと自分で、スクールアイドルだぞー、って胸を張れなかったのかも。勝ち負けとかも、ほんとはあんまり好きじゃなくて…でも、終わってみたら、やっぱり勝ちたかった。負けて悔しいっていうより、たぶん勝ったらもっと楽しかったんだって、そう思うから。だってルリは、楽しいことがしたくてスクールアイドルになったんだ」
瑠璃乃はラブライブ!の事を語った。
そして
「今教えてもらったこの気持ち…この声を、もっとちゃんと言葉にできるように、がんばりたいです!」
「うん、すっごくいいと思う!」
「そうね、素敵だわ。でもその言葉、いちばん慈が聞きたかったでしょうね」
「そういえば、慈先輩は?それにみく先輩と」
花帆は、思い出したかのようにそう瑠璃乃に聞いた。
「めぐちゃんは…あ”」
瑠璃乃は何かを思い出した。
「めぐちゃん…超絶メンタルヤバヤバかも!」
『え?』