あれから数日後_クラブのみんなの姿は部室にあった。
「な、なんだがこっちまで緊張してきました」
さやかがそう言うのも、花帆が歌詞を完成させたノートをこずがチェックをしている所だからである。
「うん。素敵な歌詞だわ。あなたらしくて、まっすぐな気持ちが伝わってくる。これでいきましょう」
「あっ、ありがとうございます!」
「やったじゃん、花帆ちゃん!」
「まさかひとりで書いてくるなんてねー」
言い方に違いはあれど、みんなから労いの言葉が飛び交う。
「がんばったのね、花帆」
「ま、まあ!梢先輩を優勝させるって誓いましたから、ね!これぐらいできるようにならなくっちゃ、ですよ!」
「ふふっ、ずいぶん頼りになる後輩だこと…でも、だからって急に頼ってもらえなくなるのも、寂しいわね」
「ええっ!?」
「冗談よ、冗談…ちょっとだけだから」
梢はそう言って、花帆から目線を外す。
「どっちですか~~!?」
「よーし!これで曲のめどはついた。ステージ制作もあとひと踏ん張り!いや、ふた…よんふんばりぐらい!」
「今回、招待した人数が多くなってしまって、音楽室が使えませんからね…」
「でっかいステージ作る労力ぱねえー!これからもこれが続くとなると、ルリ、ワクワクしてきちゃった!」
「いっぱいいっぱいトンカンしようね」
「みくもいるし、なんとかなるでしょー!」
慈がそう言った後、唐突に声が聞こえてきた。
「いやあ、みんな元気すぎだねぃ」
「本当に元気すぎて飽きる事はないですよ。ははは」
「うわぁ!びっくりした!いつの間に!?」
沙知先輩と僕の声が聞こえると、花帆ちゃんが驚きの声をあげた。
「ドアの外で様子を窺ってたよ。作詞の出来はあたしも気になったからね。なんせ花帆はものすごーく苦労をしててーー」
「わーわーわー!なんでもありません!なんでもありませんからね!?梢先輩!」
「え?ええ」
すると、めぐが声を出した。
「ハッ!人手だ!にがすなつかまえろー!」
『おー』
めぐがそう声を出して、ルリちゃんとつづが沙知先輩を捕まえにこっちにやってくる。
「未来、助けてくれ」
「僕を人質にしないでください…」
「みくも含めて捕まえろー!」
『おー!』
そして、沙知先輩も合わせてつづとルリちゃんに二人合わせて捕まった。
「つかまっちゃったかぁ。しょーがないなー。なにやればいい?」
「ええ!?いいんですか!?」
沙知先輩の言葉に、さやかちゃんが返事を返す。
「あたしはむしろ、キミたちに助けてもらった立場だからね、もう少しで、1年間、生徒会長としてやってきたことが、無駄になるところだったんだ。これぐらいはもちろん手伝うさ」
「それも元はといえば、私たちのために…いえ、どちらかというのは、不毛なお話ですね。ありがとうございます。助かります」
「生徒会長…ありがとうございます」
「ほんで、さちパイセンは、なにができるんですかー!?」
「なんでもできるよ」
「いやさすがになんでもは!どれも70点ぐらいだよ!当時から、歌は梢!ダンスは綴理!トークは慈!それに未来の方が私よりなんでもできるんだから、キミたちの方がずっとうまかっただろう」
「ふふっ、ご謙遜を」
「流石に沙知先輩には勝てませんって」
「そうだよ。なんだって沙知先輩は、ひとりで私たち3人とユニットを組んでた。バイタリティモンスターだからね!」
「ええーっ!?衝撃の事実!」
「おひとりで…って、スリーズブーケも、DOLLCHESTRAも、みらくらぱーく!も、ぜんぶやってたんですか!?」
「覚える歌と振り付け3倍じゃん!すーげー!」
沙知先輩が衝撃の事実に、一年生3人はそう声をあげた。
「むしろいちばん大変だったのは、ライブの早着替えだぜ!3組連続で出るときは、ひたすらMCで繋いでもらったねい…」
「その話もっともっと聞きたいデス!」
「ぜひぜひ…!」
「はいはい一年っこ。だったら続きは手を動かしながらにするよ!時間がもったいないんだよ!」
このままじゃ、話を続けそうな雰囲気の中、めぐがそう言う。
「ふふっ、そうしましょう。ステージ制作なら、沙知先輩がいれば安心だわ。みんな一から教わったものね」
「ステージ作りか!それなら確かにあたしの得意分野!」
「ボク、釘打つのも、ペンキ塗るのも、すごく上手になったよ」
「つづ、本当に上手になったんで見てあげてください」
「そうかそうか!よーし、そんじゃ久々に腕を振るうとしますかねい!」
「よろしくお願いします!」
「ルリ、今度のライブはとことん楽しんでやるからなー!みんな覚悟しておけよー!」
「蓮ノ空さいきょー」
「ふふっ。では、こちらは沙知先輩率いるステージ制作陣に負けないよう、腕をかけて曲を作らなくっちゃね。花帆、未来、手伝ってくれる?」
「はい、喜んで!」
「オッケー」
「ええ!?みくはこっち手伝ってくれるって言ってたのに!」
僕が曲作りの方に戻る事になったら、めぐが文句を言ってきた。
「あははは、未来も分もあたしが頑張ってやるからさ」
「沙知先輩もこう言ってくれてるんだしさ」
「むむむ…」
「それじゃあ、蓮ノ空学院スクールアイドルクラブを1年間応援してくれた人たちのためにーーみんな、がんばるぞー!」
『おー!』