蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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74.亀裂

 

姫芽と未来が一緒にゲームをやっていた同時刻。瑠璃乃の部屋では_

 

「きょうは、充電切れ耐久配信。まんが、よむ」

 

瑠璃乃が配信を行っていた。

 

「はあああああ…積んだ漫画消化したあああ…!って、2時間も経ってる!!」

 

時間を確認して、二時間が経っていることに驚きつつ、

 

「みんなでいるけど、ひとりでもある。なんて理想的な環境なんだ。ほんと、付き合ってくれてありがと。やー…お構いもできませんで、ごめんねぇ」

 

瑠璃乃はそう言い、コメント欄を見る。

 

「えっ。この配信が一番好き?あはは、お世辞でもありがとー!」

 

瑠璃乃はそう言い、再びコメント欄に目を通す。

 

「…。そっか。マジでそーなんだ。ルリとのんびりしてるだけで良いの? それが1番…そーゆー子も、いるんだなあ」

 

瑠璃乃は続けて

 

「…ルリも分かるよ、疲れた時に沁みる楽しさってあるよね。ハイテンションについてけなくて、なんか置いてかれてるなーって思ったり。盛り上がるだけの充電なくて、ノリ合わせらんなくて申し訳なくなったり。そーゆー時でも、寛げる楽しさってか、居心地の良さ?ってか。うん、あるんだと、ルリ思う。ゆえにルリあり」

 

瑠璃乃はそう言い、コメント欄に再び目を落とす。

 

「そだよね、みんなもあるよね。…好きだって言ってくれて、ありがとね。ふへへ…そろそろ充電本気でヤバいから、終わりにしょーと思うんだけど、その前に1個だけ」

 

瑠璃乃は姿勢を正して、カメラに目線を合わせる。

 

「あのさ!みんなにこんな風にたくさん応援して貰えて、本当に幸せだなってルリ思う、ラブライブ!も経験して、もっともっとスクールアイドル活動頑張りたいって思えた。だから、色々考えて頑張るね。ルリが、みんなにできることをさ!それじゃあーー」

 

「……おっかれしたー」

 

瑠璃乃は配信終了のボタンを押し、ベットに横になり

 

 

「ルリのこと、めぐちゃんのこと、みんなが好きでいてくれる。…がんばらないとな。がんばりたいなー…」

 

「もうすぐバレンタインだし…めぐちゃんと一緒に、みんなになにか返したい。あんまり思いつかないけど…寝る前に、アイディア出しだけでも頑張ってみようかな…」

 

 

 

そして、翌日_

 

 

「というわけで、るりちゃん。今日も今日とて、スクールアイドル活動をやっていくよ!」

 

「おー」

 

「ラブライブ!が終わって、みんな一息吐くこのタイミングこそ、勝負どころ。私たちが一歩抜け出すチャンスなのだ!」

 

「おー!いいねいいね、ルリも今ちょーぜつモチベたけーから!張り切ってこーぜ、めぐちゃん!」

 

「うむ、良い気合だねえ。いくつか叩き台作ってきたから見てくれる?みくも」

 

めぐはそう言って、自分のスマホを渡してきた。

ルリちゃんと一緒になって見る。

 

「いっぱい作ったねえ…めぐちゃんはすごいや」

 

「うんうん、よくもまぁこんなに作った事で」

 

「もっと褒めて♡、でもまあ、形になるかわからないものを並べるだけなら、大した手間はないけどねー」

 

「それでめぐが一番やりたい事って何なの?」

 

「そうそう!めぐちゃんめぐちゃんイチオシは?」

 

「ふふふっ、いいでしょう。みく、るりちゃん、お答えしよう」

 

僕とルリちゃんが聞くと、めぐは自信満々に一本指を立てて話す。

 

「ひとつめ!仮タイトルは『もしかして、みらくらぱーく!ですか!?』私たちが適当にランドマーク前とか立ってて、声かけてきた子と遊ぶ。夢のような1日をお届けするよ♡」

 

「おー!みらくらぱーく!1日レンタル!」

 

「ふむふむ」

 

「ふたつめ!仮タイトルは、『集まれ、ここがみらくらぱーく!』公園の広場を借りて、みんなで一緒に大騒ぎっ。私たちとステージで並んで踊ったら、きっととっても楽しいよね☆」

 

「おー!1日署長ならぬ1日メンバー!」

 

「仮タイトルは『かちこみゲリラ!』私たちが、みんなの学校で突然ライブ!アウェーでも頑張る私たちのところに、応援駆けつけてね!」

 

「おー!1日スクールアイドル!」

 

「べつにその学校のスクールアイドルになるわけじゃないからね!?」

 

「それはそうだけど…別の問題がある気が…」

 

少なくとも、学校には連絡は入れておくべきでは

 

「ま、それはその時にね?ってな感じなんだけど、どうかな?」

 

「そだなー、どれやっても楽しそーだと思うけど。うーむ」

 

「存分に悩んでくれていいよ!」

 

「あーいや、えっとさ。めぐちゃん。ラブライブ!の決勝に出てから…ルリも色々スクールアイドルのこと考えるようになってさ。スクールアイドルのことというか、応援してくれるみんなのことというか」

 

「えっ。嬉しい。どっちも一緒だよ大丈夫」

 

「そっか。それでさ。色んな子が居るなーって思って。だから、なんていうんだろ。ルリも幾つか考えてみたんだ。やりたいこと」

 

「え、そうなの?見せて見せて。えー、ちょっとー。嬉しーなー」

 

「な、なにその食いつき。これだけだけど」

 

ルリちゃんはそう言って、自身のスマホをめぐに見せた。

 

「ふむふむ。うん?うーん…うううううん……!」

 

最初は笑顔だっためぐの表情が段々と厳しくなっていき、最終的には微妙な表情になっていた。

 

「めぐちゃん?」

 

「これじゃあ、フルーツもクリームも乗ってないパンケーキと一緒だよ!きらきら感が足りないよ!青空昼寝大会!ライブ会場漫画喫茶!釣り堀ぷらんぷらんプラン!」

 

「僕は個人的には良いと思うけど」

 

「それはみくの趣味がるりちゃんに似てるからでしょ?」

 

「確かに…」

 

「みくパイセンも言ってる通り、よくね?」

 

「よくねー!!ルリちゃん…あのね、私たちは世界中を夢中にするんだよ!夢中っていうのは楽しい時間が一瞬で過ぎていくことなの!気がつけば目の前の皿が空っぽ♡ おなかいっぱいで幸せ♡ってね。これじゃあスイーツじゃなくて酢昆布だよ!酢昆布もまあおいしいけどね!?」

 

「まじかー酢昆布どうしたらいい?」

 

「どうしたらもなにも。酢昆布からケーキは作れないからねえ…私、料理できないし」

 

酢昆布…色んなレシピあるにはあるけど。

 

「ルリがあんまりちゃんと企画作れてないから、そう思われちゃうのかもしれないけど、でも、ルリの考えてることも間違ってないと思うんだけどなあ。毎日頑張ってると、うおーって盛り上がるほどの元気もなくなっちゃう人もいるんだ、そういう人たちにも、楽しんでほしい。楽しめるものが、やりたい」

 

「ん~?ま、るりちゃんもいろいろとがんばりたい時期なんだってのは、わかったよ。私もるりちゃんをアッと言わせるような企画を、ちゃんと考えるからさ」

 

「あ、いや、べつにめぐちゃんの出したものがビミョかったとかじゃないよ?」

 

「わかってるわかってる。でもみらくらぱーく!が本気で楽しい場所なら、元気ない人たちにもきっと届くよ。ゲートをくぐればそこは無色の遊園地、みらくらぱーく!私たちと一緒に最高のパレードを作ろうよ!ってね」

 

めぐがそう言うと、ルリちゃんの表情が曇った。

 

「うーん、それじゃあなんだけど…遊ぶ元気がなくてゲートをくぐれないような子は?」

 

「そういう子にこそ、やっぱ元気をあげなくちゃって思うよね!盛り上がってる声を聞かせてあげよう!」

 

「だからそれじゃついてこれない子の話で…ええっと、もう少しちゃんと考えてみるから、待ってて」

 

「るりちゃん…まあまあ、うん。るりちゃんはスクールアイドル始めてまだ半年だからね。ほら、いったんはめぐちゃんに任せておきんしゃい」

 

「経験が浅いとかの問題じゃなくてさ。ルリが言ってるのはーー」

 

「私はとうに通り過ぎた場所なのだよ、るりちゃん。どーんと、私の背中を見て育つがいい!」

 

「めぐちゃん、今ルリは真面目な話をしてるつもりなんだけど」

 

「私もちゃんとマジメだよ。楽しめない人がいるなら、それは私たちの努力が足りないってこと。世界中を夢中にするためには、るりちゃんの力が必要なんだから。大丈夫!アイディアは私が考えるからさ。だから一緒に、みんなをどかんと盛りあげるために、がんばろ?」

 

「…それ、本当に一緒に頑張ろってなってる?」

 

「めぐちゃん?確かにルリはまだスクールアイドルのこと、めぐちゃんほど知らないけどさ。めぐちゃんに全部任せるつもり、ないよ」

 

「なに言ってるの?るりちゃん、ぜんぶ任せてくれてもいいんだよ。私はこういうの考えるの好きだし、それにーーるりちゃんがスクールアイドルに付き合ってくれてるだけで、じゅうぶん意味はあるんだからさ」

 

めぐ…それは違う気が…

 

僕がそう思うとの同時に、ルリちゃんが席から立ち上がった。

 

「めぐちゃんは、ルリがめぐちゃんに付き合ってスクールアイドルをやってるだけだと思ってたんだ!」

 

「え?そこまでは言ってないけど」

 

「言ったみたいなもんじゃん!文字にしたらほぼ同じだったよ!」

 

ルリちゃんがそう言うと、めぐも同じように立って…

 

「…てか、るりちゃんこそさ!だいじょうぶだって言ってるじゃん!さっきから、私の話聞いてる!?」

 

言い合いを始めてしまった。

 

「だから大丈夫じゃないの!ルリの言ってる話、ちゃんと考えてもくれないから、そんな風に言うんでしょ!」

 

「はあ!?るりちゃんのことは真剣に考えてますけど!?でもそっちがなんにも聞かないんだったら、どうしようにもないね!」

 

『がるるるるる』

 

『もう知らない!』

 

結局、止める暇もなくめぐとルリちゃんが喧嘩をしてしまった。

 

 

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