瑠璃乃と慈が喧嘩した日の昼休み、彼女は朝の事を花帆に話していた。
「つまり、ルリはめぐちゃんにナメられてんだ…」
「ええっと…?」
瑠璃乃の言葉に困惑する花帆。
「ルリの言ってること、まともに取り合ってくれやしない。かくなるうえは”証明”が必要なんだよ、花帆ちゃん」
「うへえ…なんで数学なの…?」
「その証明じゃないよ!めぐちゃんみたいな反応して!いや、めぐちゃんは証明で数学なんてとても結びつかないか」
「ナメてるのは瑠璃乃ちゃんの方じゃない!?」
瑠璃乃の言葉に花帆はそう返す。
「とにかく、何か良いアイディアが欲しいんだ。めっちゃ配信やってる花帆ちゃんなら、何か思いついてくれるかなって」
「えーっと…瑠璃乃ちゃんは、慈センパイを説得したいんだよね?」
「そう、だったんだけど。このままじゃ何を言っても聞いてくれないから、めぐちゃんに見せつけたいんだ。ルリは間違ってないんだって」
「見せつけたいって……それって、どうすればいいの?」
「それは…なんていうか。ルリも完全な正解が見つかってるわけじゃないんだけどね。でも、思ったんだ。みんなを楽しませるためには、ただ楽しいだけじゃダメだっていうか。ルリたちが盛り上がれば良いってわけじゃないんだって」
「たのしいだけじゃ…だめ……???」
瑠璃乃の言葉に、花帆は?マークを浮かべていた。
「うーん、言葉にするのが難しいなあ!どうしたら良いと思う!?」
「わかんないけど!?ええと、慈センパイに見せつけたいんだったらー…あ、こういうのは?」
花帆はその時、思いついた事を瑠璃乃に話す。
「瑠璃乃ちゃんが実際にやってみるのは!こないだの竜胆祭で、さやかちゃんがソロで歌ったよね?」
「ソロ…。みらくらぱーく!、スクールアイドル性の違いで解散…!?」
瑠璃乃の頭に、良くない言葉が過る。
「ええー!?だめだめ!いったん離れてもいいから、またすぐ戻って!」
「!一旦離れて、戻る?」
その時、瑠璃乃に一つの案が浮かんだ。
「それだー!!」
**********
そして、その日の放課後
『ごちゃまぜユニット~!?』
部室で、るりちゃんから説明されて、驚く
僕は、事前にるりちゃんから聞いていた。
「そう!ごちゃまぜ!ルリが花帆ちゃんと組んだりするの!そんで、それそれで準備して、ちょっと時間空けてお披露目ライブ!どう?どう?楽しそーだと、ルリ思う!ゆえに、ルリあり」
「なに、ルリちゃん!スクールアイドル性の違いで解散ってこと!?」
「そーゆーことじゃないけど…証明するためには必要なの」
「証明?」
「数学の方じゃないからね」
「??なんで証明と数学が関係あるの?」
「あっ…」
「めぐ…一緒に勉強しよっか」
「ええ!?なんで!?」
僕の言葉に、ショックを受けるめぐ。
そこまで受ける必要あるのかな…
「…えっと、梢先輩、どう思いますか?」
「…ええ、面白いんじゃないかしら?」
「梢までぇ?」
「ある種、今しか出来ないことだと思うわ。理由は幾つかあるけれど。ひとつめに、来月は来月で蓮華祭…今年の締めくくりが控えていること、今を逃せば、こうした、今回限りの企画は出来ないもの」
「1年の締めくくりなら確かに、奇をてらわず正面から全力をぶつけたいですね。練習時間はしっかりと確保したいです」
「ふたつめに、私たちはラブライブ!を経験して、ひとりひとりがしっかり実力をつけてきたタイミングでもあるということ、だから、普段と違う相手と組むことによって、特に一年生は得るものがあるでしょうね。いわば、応用編のようなものだわ」
「やったー!基礎は卒業だー!」
こずの言葉を聞いた花帆ちゃんは笑顔になっているが…
「基礎は永遠よ」
こずの言葉を聞いた花帆ちゃんはさっきまでの表情と違って、落ち込んでいた。
「そんだけ?」
「みっつめは、ユニットを組んだ相手を、外から見る機会にも恵まれることね。例えば私なら、花帆について新たな発見があるかもしれないし、逆もそうよね」
「自分のスキルアップだけでなく、メンバーの観察と研究、これからのことも見据えられる。はぁ…!瑠璃乃さん、そこまで考えて…!」
「うぇ!あーそーそー!!そーなんです!!」
多分、考えてなかったな。
「んー…じゃあ、最後は?」
「あ、まだあるんですか?」
「あら、よく分かったわね。最後のひとつは…楽しそうよね」
「そっか、楽しんだ、ならいいね」
「いよっしゃー!梢先輩、あざまーす!!…めぐちゃん」
るりちゃんはこずに感謝の言葉を伝えて、めぐに向き合う。
「なに」
「失敗なら失敗で、ルリで間違ってたってなるなら…それでも良い。でも、今譲るつもりはないから!」
「ふーん!あっそ!あとで泣いたって胸は貸してあげないよーだ!」
「要るか!花帆ちゃんに借りるわ!」
「巻き込まれてる!?」
何故か花帆ちゃんは巻き込まれてる…
「えぇっと…これ、大丈夫なんでしょうか」
「シャッフル…寂しい?」
「そ、そういうことではなく!いえ、本当にそういうことではないですよ?」
「そっか、ボクはちょっと寂しい」
「大丈夫ですよ。ちゃんとさやかちゃんも寂しがってますから!」
「からかわないでください!そうじゃなくてその、瑠璃乃さんとーー」
「はぁ…ごめんねみんな。るりちゃんのわがままに付き合わせちゃってさー組む相手はどう決めるの?じゃんけん?」
「みくパイセンに頼んで、くじ作って貰った」
るりちゃんがそう言うと、僕はくじ箱を机の上に置く。
「準備いいじゃん…」
「ステージで見るあなたを楽しみにしているわ。花帆」
「えへへ、センパイにいいところ見せちゃいますね!」
「さや、見てるからね」
「綴理先輩もやるんですからね!?」
「それじゃあ!」
6人はくじ箱の中に手を突っ込み
『せーの!』
一斉にくじを引いた。