蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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77.答え

 

「みく先輩~」

 

「よしよし」

 

「こずとさやの所に行く?」

 

「…はい」

 

めぐに言い負かされたるりちゃんをつづと慰めていた頃。レッスン室では_

 

「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト」

 

梢とさやかの二人がダンス練習中で、梢がさやかに見て貰っていた最中だった。

 

「ふう。どうかしら、さっきと比べて」

 

「はい。今の方が安定していると思います。たぶん、立ち位置の問題ですね。具体案があるわけではないのですが、少し別の振りを挟むのはどうでしょう」

 

「そうね、このままだとずれるし…ここ、音を合わせてみましょうか」

 

「あ、良いですね。それなら綺麗に通ると思います。やってみましょう」

 

そして、二人で合わせる

 

『ワン、ツー、スリー、フォー』

 

そして、撮影していたカメラでダンスを見る。

 

「うまく当てはめられたかしらね、さすがはさやかさんと言ったところかしら」

 

「いえ、梢先輩のアイディアあってこそです。これで、良い感じだと思います」

 

「いつもと違うから、ちょっと物足りない?」

 

さやかの様子に気付いた梢は、さやかにそう聞いた。

 

「あ、いえ…そんなことは」

 

「少し、休憩にしましょうか」

 

二人は部室へと向かった。

 

 

 

******

 

「あ、この紅茶とっても美味しいですね」

 

「それは去年の春の紅茶なの。時間が経ったら経ったで、摘みたてとはまた違った、まろやかな味わいがあるでしょう?」

 

「勉強になります」

 

「ふふっ、時期が変わると、風味も変わる。きちんと保管されていれば、香りが飛ぶこともない。別の美味しさが熟成されて…私たちも、色々変わったのかもね」

 

「わたしたちも、ですか?」

 

「きっと去年の春頃なら、さっきのレッスンが出来れば満足だったわ。課題があって、それをこなすための答えを出せた。あとは、練習あるのみ、さやかさんは、違う?」

 

「ぁ…そうですね。わたしはとにかく、答えが欲しかったですし」

 

「去年の私たちが正しかったかどうかは、今となってはもう分からないけれど、今の私たちは、もっと違う味わいを知ってしまった。自分だけでは得られない…きらめきが欲しい」

 

「花咲きたい、ですね」

 

「ふふ」

 

「困ったわ。原因は分かっても、これじゃあ解決策はーー」

 

すると、部室のドアが開いて、

 

「わー!優雅なお茶会開催中だ!」

 

「美味しそう」

 

「二人ともお疲れー」

 

三人が入ってきた。

 

*****

 

「あ、綴理先輩、みく先輩。瑠璃乃さん、休憩ですか?」

 

「え、いや、休憩じゃなくてその」

 

「てーさつ」

 

「あら、それなら未来が好みの新作のフレーバーティーの味も、偵察してもらおうかしら」

 

「えっ?」

 

「あの時の買ったんだ」

 

「ええ」

 

「それじゃ、二人の分は僕が淹れるよ」

 

僕を含めた三人分のカップを取り出して、紅茶を入れる

 

「はい」

 

「ありがとうございます」

 

るりちゃんはお礼を言って、紅茶を飲み始める

 

「なにこれめっちゃ美味しい!ガムシロとか入れなくても甘い紅茶ってあるんだ!」

 

「おかわり」

 

「随分と気に入ったようで…」

 

二人にはとっても気にいったらしい。

 

「…気に入ってもらえてうれしいわ」

 

「お茶菓子もありますから」

 

さやかちゃんはそう言って、自作のお茶菓子を僕達の前に差し出してくれた。

 

「うおー、甘いに甘いとか最強じゃん。ありがとー。さやかちゃん。お菓子も作るんだ!」

 

「はい。梢先輩が教えてくれて、お菓子も日々勉強中です」

 

「さや美味しい」

 

「わたしを食べてるみたいですよー」

 

「ふふっ。お茶会というより、お菓子パーティーになったわね」

 

「偶にはこういうのもありかな」

 

「ふふっ、それもそうね」

 

僕とこずがそう話す中、ルリちゃんが話し始めた。

 

「ルリの知ってるお菓子パーティー、こんなお上品じゃないな?」

 

「瑠璃乃さん主催のお菓子パーティーはきっと賑やかでしょうね」

 

「そうかな、そうかも!みんながすっごく楽しい感じで盛り上がれるようにーー…あー、やっぱそう思います?」

 

『?』

 

「や、なんてゆーか…いえー!って盛り上がるのが正しいと思います?的な?」

 

「正しい…?」

 

「…私は、いえー、という柄ではないわね」

 

「ふふっ。でもちょっと可愛いですよ。梢先輩」

 

「こずかわいい」

 

「…そうじゃなくてね」

 

二人から言われて、照れるこず。

すると_

 

「もしかしてみくに言ってもらいたかった?」

 

紅茶を飲んでいる最中に、つづが変な事を言うからうせてしまった。

 

「大丈夫ですか!?みく先輩!?」

 

「大丈夫…」

 

「みくパイセン…ルリが摩ってあげます」

 

「ありがとう」

 

るりちゃんが背中を摩ってくれたおかげで、なんとか復活を果たした。

 

「それでやらないの?」

 

「…やってほしい…?」

 

「大丈夫よ」

 

こずはそう言って、咳をひとつして話し始めた。

 

「ひとつ思ったのだけど、シャッフルユニットを提案してくれた時から思っていたけれど、瑠璃乃さんは自分のこれからに悩んでいるのかしら」

 

「あ…えっと」

 

「ごめんなさい。先に言っておくけれど、私には正解は分からないわ」

 

「そーですよねぇ。こちらこそ、ルリの言い方が雑でして…これまで間違ってたとは思わないけど、これだけが正解なのかなって思っちゃって」

 

「この半年で、色々変わりました?」

 

ルリちゃんの言葉を聞いたさやかちゃんが、ルリちゃんにそう聞き返していた。

 

「そーかも、特に、ラブライブ!に出て、色々考えるよーになって、前は、みんなが嫌な気持ちにならなければいいなって感じだったのが、みんなに楽しい気持ちでいてほしいなって思うよーになったってゆーか」

 

「だとしたら、私からひとつだけ言えることがあるわ。その気持ちは絶対に、間違いではないということね」

 

こずの言葉を聞いたルリちゃんはハッとした表情を浮かべていた。

 

「ふふっ、そうですね。ただ…間違いではないというだけでは、正解でもないんですよね、自分が間違っていないと信じて頑張ることが、一番大変です」

 

「…信じて、頑張る、かあ」

 

「さやもこずもすごい、結局間違ってるかもしれないのにね」

 

「そうですね。自分の目指すものに何が必要なのか…それが分かるきっかけがあればと思います。わたしはその…そこにおいてズルをした自覚がありますので…」

 

「ズルじゃないよ?」

 

「偶然の出会いはズルですよ」

 

「探してたんだからずるじゃないよ?」

 

「もう…」

 

「探してたから、ズルじゃない…」

 

「瑠璃乃さん?」

 

つづとさやかちゃんのやり取りを見て、何かを思いついたのか様子が違うルリちゃんにこずが声をかける。

 

「ルリ、分かった気がする! 偵察って…ルリが綴理先輩を退屈させないためになんとか絞り出したことで、ルリはそれしか考えてなかったんですけど」

 

「…」

 

「でもそれが、綴理先輩には、ルリが何かを探してるように見えたんですよね」

 

「だって…ボクを楽しませようとしてくれてたでしょ?」

 

「~~!そっか!」

 

「…よく、分かりませんけど、瑠璃乃さん、きっと綴理先輩はその力になってくれますよ」

 

「がんばる。じゃあ、なんか見つけたみたいだから、行こう!」

 

「おー!じゃあ、失礼します!!みく先輩もありがとうございました!!」

 

「うん、つづと頑張ってね」

 

「はい!おじゃましゃしゃったー!」

 

ルリちゃんはそう言って、つづと二人で部室を後にした。

 

「さて…慈は、どう考えているのかしらね」

 

「仲直りさせてあげたいですね。…ふふっ」

 

「さやかさん?」

 

「あ、いえ、結局、他のメンバーのことも考えてしまうなと。わたしも、梢先輩も」

 

さやかちゃんがそう言うと、こずは一口紅茶を嗜んでから

 

「変わらない味もあるということで」

 

 

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