蓮ノ空のアイドルクラブのマネージャーの話   作:桜紅月音

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82.幼馴染の絆

 

-部室-

 

「るりちゃんの言ってたことは、正しかった。世界中を夢中にするって、私は口だけで」

 

屋上で、瑠璃乃、未来と別れて部室に戻ってきた慈の姿は部室にあった。

 

「いっぱい取りこぼしてたんだね。私は…るりちゃんの魅力を、この先ずっと潰すところだったんだ。ーー決めた!」

 

慈は決意を決め、白紙に文字を書きこんでいく。

 

 

『旅に出ます 

 

      めぐちゃん』

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

「ルリちゃん、大変だー!」

 

「みく先輩!?どうしたんですか!」

 

「はぁはぁ…とりあえずこれ…」

 

僕はそう言って、るりちゃんに部室で見つけた紙をるりちゃんに渡した。

 

「…えっと…旅に出ます……」

 

るりちゃんはそう声に出して、固まってしまった。

 

「はあああああ!?!?」

 

るりちゃんから発せられた音量に耳がキーンとなり、耳を押えた。

 

「あっ…すみません…」

 

「大丈夫…部室にあって…」

 

「めぐちゃん…」

 

「って…話をしてる場合じゃなかった。めぐを探さないと」

 

「そうですよね!るりは、部屋を探してきます!」

 

「オッケー。僕は、めぐが行きそうな辺りを周ってくるよ」

 

「お願いします」

 

「それじゃあ、後で」

 

僕とるりちゃんはそう言って、お互いの目的地へと向かった。

 

 

 

 

******

 

「どこ行ったーーーーーー!!!!」

 

未来と別れた後、寮の慈の部屋。学校内を探しに探したが居なかった。

 

「全く!『旅に出ます めぐちゃん』ってなに!?そんなさくさく旅立ててたまるか!旅なめんな!ていうか学校なんだと思ってんの!?」

 

瑠璃乃はそう言いながら文句を言っていた。

その時だった。

 

「めぐ、バス停にいるみたい。早く行かないと間に合わなくなる」

 

「バス停…早く行かないと」

 

と言う未来からのメッセージを受けて、瑠璃乃は急いでバス停へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

-バス停-

 

「でっかくなって帰ってくるよ、蓮ノ空」

 

「めぐ、待って!」

 

「なにしてんの!?バカじゃないの!?ほわっつ!?!?」

 

「るりちゃん…みく…あ」

 

どうやら間に合ったみたいで良かった。これで行かれていたら本当に終わりだったから…

バスの運転士さんに『行っていいですよ』とメッセージを送り、バスは走り去ってしまった。

 

「それじゃあ…なんでこんなことをしたか聞いてもいい?めぐ」

 

「そうだよ!るりだって色々聞きたいことあるもん!!」

 

るりちゃんはそう言って、一呼吸を置いて

 

「…はあ、どういうつもりなの、ルリを置いて旅とか」

 

「…そのまんまだよ」

 

「真面目に怒ってっからね。ちゃんと全部話してくれない?」

 

「…解散しようと思って」

 

「みらくらぱーく!を?」

 

「ごめんね。二人とも。私はるりちゃんを舐めてたんだよ。私とるりちゃんなら最強だけど…私のいないところで、るりちゃんは最強になれないって。でも、そんなことなかったじゃん?るりちゃんの方が、世界を夢中にさせる力を持ってたのに……私はそれに気付かなかった。私にはできなかったことを、るりちゃんは出来てた。ほんとはきっと、もっと前からできてたはずなのに…だから私は、るりちゃんに劣ってたってことだ」

 

「めぐ…」

 

僕の隣に居るるりちゃんは、深呼吸をする。

 

「すう…ふう…それで?」

 

「だからるりちゃんと同じく、カリフォルニアに飛んで、武者修行をして帰ってくるよ。るりちゃんをまた、夢中にさせられる私になってね」

 

「……」

 

「ふがいなくてごめん。スクールアイドル。全力で楽しんでね」

 

「ふっ…ふざけんなーーーーーー!!」

 

るりちゃんがめぐに対して怒鳴った。

そして、僕はまたきーんとなってしまった。

 

「…るりちゃん」

 

「いや、マジでふざけんな!あーびっくりした!!」

 

「えっ」

 

「ルリがここまで頑張って来られたのは、スクールアイドルのみんなのおかけで、応援してくれたみんながいたからだよ!でも、頑張ってきたのは、めぐちゃんが居たからじゃ!!」

 

「それは違うよ。直接スクールアイドルが好きになれたんだったら、もう私を挟む必要なんて…ないんだよ」

 

「スクールアイドルが楽しいのは本当だよ。この半年のおかけで、すっごくスクールアイドルのことが好きになれた。確かに、もうめぐちゃんを挟むかどうかなんて関係ない」

 

「…ほら」

 

「でも、めぐちゃんは肝心なことすっぽ抜けてる!あ、肝心って意味分かる!?あんだすたん!?」

 

「流石のめぐでも、それぐらいは分かるよるりちゃん」

 

「みく、馬鹿にしないで!ぼんやりとは分かるけど」

 

「ぼんやりかよ…」

 

そこは、嘘でもはっきりと分かるって言って欲しかったな

 

「じゃあくっきり言うよ。なんのために、一緒にスクールアイドルやるつもりだったんだよ。ふたりで、世界を夢中にするって、そう言ったじゃん!」

 

「…っ。でもるりちゃん、今の私は、るりちゃんの言ってることも、るりちゃんのことも、全然分かってなくて」

 

「だからすっぽ抜けてるって言ってんの。ルリの大好きなめぐちゃんは、世界中を夢中にさせるめぐちゃんだよ」

 

「だから、それがもう私には」

 

「…そんな顔しないでよ。めぐちゃんは可愛い。めぐちゃんはすごい、めぐちゃんは…いつも…ルリを…だからルリは、いつも、楽しくて…」

 

「るり、ちゃーー」

 

「だから…だから!めぐちゃんは、ルリに劣ってなんかいない!!二度と言うな!!」

 

「ルリ、ちゃん…!?」

 

ルリちゃんからはっきりと言われた言葉に、めぐは驚いた。

 

「ルリ、分かったんだ。世界中を夢中にするって言うのはさ。めぐちゃんと、ふたりでやらなきゃ出来ないんだってこと!俯いてる子ひとりひとりに、顔を上げて笑ってほしい。それが、ルリのやりたいこと。できること。ルリのスクールアイドル。ルリが楽しませられるところに、めぐちゃんは届かない」

 

「…っ」

 

「でもね、めぐちゃんの言ってたことも、全然間違ってない。いえーって盛り上がってるとこに行くのは、絶対楽しい。そんでその盛り上がる場所を作るのは、やっぱりルリは出来ないんだ。ルリはいつも、めぐちゃんについていくのが楽しくて…それだけだったもん。だからめぐちゃんの手が届くところに、ルリは届かない」

 

「…」

 

「ねえ、めぐちゃん、ルリはひとりで遊ぶのが好き。ルリは確かに、ルリ自身を楽しませることは出来るよ。でも、そんなルリが、めぐちゃんと一緒に居る理由はなに?」

 

「…そっか、そうだね。ごめんね。それ以上言わせちゃ、もうどうしようもないね。うん…私は、かわいい」

 

「そう!」

 

めぐの言葉にるりちゃんは頷く。

 

「私はすごい」

 

「そう!」

 

めぐの表情が段々と戻っていく。

 

「そして…私は、るりちゃんが大好きで。るりちゃんも、私が大好き」

 

「そう!!」

 

めぐが段々と普段のめぐに戻っていく

 

「…ね、るりちゃん。私もね。スクールアイドルが好きだよ。まっすぐな努力が伝わって、楽しませようとがんばればがんばるほどに、みんなが喜んでくれて。ひとりひとりの『楽しい』って声が、ぜんぶ聞こえてくるんだ」

 

「そうだよ…そうだよ!めぐちゃんは、それができるの!」

 

めぐは完全に戻ったような気が_ううん、完全に戻ったって言ってもいいかな。

 

「ん、だからね、るりちゃんが届かない世界のことも、ひとりが大好きなるりちゃんのことも…私がずーっと、夢中にしてみせるから!ね、ふたりで」

 

「うん、ふたりで」

 

『世界中を夢中にしよう!』

 

二人は、仲直りをして、今までよりも固い絆で結ばれたのだった。

 

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