-部室-
「るりちゃんの言ってたことは、正しかった。世界中を夢中にするって、私は口だけで」
屋上で、瑠璃乃、未来と別れて部室に戻ってきた慈の姿は部室にあった。
「いっぱい取りこぼしてたんだね。私は…るりちゃんの魅力を、この先ずっと潰すところだったんだ。ーー決めた!」
慈は決意を決め、白紙に文字を書きこんでいく。
『旅に出ます
めぐちゃん』
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「ルリちゃん、大変だー!」
「みく先輩!?どうしたんですか!」
「はぁはぁ…とりあえずこれ…」
僕はそう言って、るりちゃんに部室で見つけた紙をるりちゃんに渡した。
「…えっと…旅に出ます……」
るりちゃんはそう声に出して、固まってしまった。
「はあああああ!?!?」
るりちゃんから発せられた音量に耳がキーンとなり、耳を押えた。
「あっ…すみません…」
「大丈夫…部室にあって…」
「めぐちゃん…」
「って…話をしてる場合じゃなかった。めぐを探さないと」
「そうですよね!るりは、部屋を探してきます!」
「オッケー。僕は、めぐが行きそうな辺りを周ってくるよ」
「お願いします」
「それじゃあ、後で」
僕とるりちゃんはそう言って、お互いの目的地へと向かった。
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「どこ行ったーーーーーー!!!!」
未来と別れた後、寮の慈の部屋。学校内を探しに探したが居なかった。
「全く!『旅に出ます めぐちゃん』ってなに!?そんなさくさく旅立ててたまるか!旅なめんな!ていうか学校なんだと思ってんの!?」
瑠璃乃はそう言いながら文句を言っていた。
その時だった。
「めぐ、バス停にいるみたい。早く行かないと間に合わなくなる」
「バス停…早く行かないと」
と言う未来からのメッセージを受けて、瑠璃乃は急いでバス停へと向かった。
******
-バス停-
「でっかくなって帰ってくるよ、蓮ノ空」
「めぐ、待って!」
「なにしてんの!?バカじゃないの!?ほわっつ!?!?」
「るりちゃん…みく…あ」
どうやら間に合ったみたいで良かった。これで行かれていたら本当に終わりだったから…
バスの運転士さんに『行っていいですよ』とメッセージを送り、バスは走り去ってしまった。
「それじゃあ…なんでこんなことをしたか聞いてもいい?めぐ」
「そうだよ!るりだって色々聞きたいことあるもん!!」
るりちゃんはそう言って、一呼吸を置いて
「…はあ、どういうつもりなの、ルリを置いて旅とか」
「…そのまんまだよ」
「真面目に怒ってっからね。ちゃんと全部話してくれない?」
「…解散しようと思って」
「みらくらぱーく!を?」
「ごめんね。二人とも。私はるりちゃんを舐めてたんだよ。私とるりちゃんなら最強だけど…私のいないところで、るりちゃんは最強になれないって。でも、そんなことなかったじゃん?るりちゃんの方が、世界を夢中にさせる力を持ってたのに……私はそれに気付かなかった。私にはできなかったことを、るりちゃんは出来てた。ほんとはきっと、もっと前からできてたはずなのに…だから私は、るりちゃんに劣ってたってことだ」
「めぐ…」
僕の隣に居るるりちゃんは、深呼吸をする。
「すう…ふう…それで?」
「だからるりちゃんと同じく、カリフォルニアに飛んで、武者修行をして帰ってくるよ。るりちゃんをまた、夢中にさせられる私になってね」
「……」
「ふがいなくてごめん。スクールアイドル。全力で楽しんでね」
「ふっ…ふざけんなーーーーーー!!」
るりちゃんがめぐに対して怒鳴った。
そして、僕はまたきーんとなってしまった。
「…るりちゃん」
「いや、マジでふざけんな!あーびっくりした!!」
「えっ」
「ルリがここまで頑張って来られたのは、スクールアイドルのみんなのおかけで、応援してくれたみんながいたからだよ!でも、頑張ってきたのは、めぐちゃんが居たからじゃ!!」
「それは違うよ。直接スクールアイドルが好きになれたんだったら、もう私を挟む必要なんて…ないんだよ」
「スクールアイドルが楽しいのは本当だよ。この半年のおかけで、すっごくスクールアイドルのことが好きになれた。確かに、もうめぐちゃんを挟むかどうかなんて関係ない」
「…ほら」
「でも、めぐちゃんは肝心なことすっぽ抜けてる!あ、肝心って意味分かる!?あんだすたん!?」
「流石のめぐでも、それぐらいは分かるよるりちゃん」
「みく、馬鹿にしないで!ぼんやりとは分かるけど」
「ぼんやりかよ…」
そこは、嘘でもはっきりと分かるって言って欲しかったな
「じゃあくっきり言うよ。なんのために、一緒にスクールアイドルやるつもりだったんだよ。ふたりで、世界を夢中にするって、そう言ったじゃん!」
「…っ。でもるりちゃん、今の私は、るりちゃんの言ってることも、るりちゃんのことも、全然分かってなくて」
「だからすっぽ抜けてるって言ってんの。ルリの大好きなめぐちゃんは、世界中を夢中にさせるめぐちゃんだよ」
「だから、それがもう私には」
「…そんな顔しないでよ。めぐちゃんは可愛い。めぐちゃんはすごい、めぐちゃんは…いつも…ルリを…だからルリは、いつも、楽しくて…」
「るり、ちゃーー」
「だから…だから!めぐちゃんは、ルリに劣ってなんかいない!!二度と言うな!!」
「ルリ、ちゃん…!?」
ルリちゃんからはっきりと言われた言葉に、めぐは驚いた。
「ルリ、分かったんだ。世界中を夢中にするって言うのはさ。めぐちゃんと、ふたりでやらなきゃ出来ないんだってこと!俯いてる子ひとりひとりに、顔を上げて笑ってほしい。それが、ルリのやりたいこと。できること。ルリのスクールアイドル。ルリが楽しませられるところに、めぐちゃんは届かない」
「…っ」
「でもね、めぐちゃんの言ってたことも、全然間違ってない。いえーって盛り上がってるとこに行くのは、絶対楽しい。そんでその盛り上がる場所を作るのは、やっぱりルリは出来ないんだ。ルリはいつも、めぐちゃんについていくのが楽しくて…それだけだったもん。だからめぐちゃんの手が届くところに、ルリは届かない」
「…」
「ねえ、めぐちゃん、ルリはひとりで遊ぶのが好き。ルリは確かに、ルリ自身を楽しませることは出来るよ。でも、そんなルリが、めぐちゃんと一緒に居る理由はなに?」
「…そっか、そうだね。ごめんね。それ以上言わせちゃ、もうどうしようもないね。うん…私は、かわいい」
「そう!」
めぐの言葉にるりちゃんは頷く。
「私はすごい」
「そう!」
めぐの表情が段々と戻っていく。
「そして…私は、るりちゃんが大好きで。るりちゃんも、私が大好き」
「そう!!」
めぐが段々と普段のめぐに戻っていく
「…ね、るりちゃん。私もね。スクールアイドルが好きだよ。まっすぐな努力が伝わって、楽しませようとがんばればがんばるほどに、みんなが喜んでくれて。ひとりひとりの『楽しい』って声が、ぜんぶ聞こえてくるんだ」
「そうだよ…そうだよ!めぐちゃんは、それができるの!」
めぐは完全に戻ったような気が_ううん、完全に戻ったって言ってもいいかな。
「ん、だからね、るりちゃんが届かない世界のことも、ひとりが大好きなるりちゃんのことも…私がずーっと、夢中にしてみせるから!ね、ふたりで」
「うん、ふたりで」
『世界中を夢中にしよう!』
二人は、仲直りをして、今までよりも固い絆で結ばれたのだった。