これは、慈達がチョコをばら撒いた後の未来のバレンタインの日の話。
「随分と疲れてるじゃん、未来」
「まぁ…ね」
今朝に起きた
「そういえば、チョコ美味しかったぞ」
「今朝の?」
「そう!もう、数えられないくらいの数拾ったね」
ドヤ顔で言ってくる。
自慢して言う事ではないとは思う。
「結構ばら撒いたって言ってたけど…」
「俺含めて、男子生徒がほとんど持っていったからね」
「ふ~ん」
「興味ないじゃん」
「だって、僕には関係ないし」
「くぅ~彼女が居るからって、しかも乙宗とか羨ましいぞ、この野郎~」
朱鷺はそう言って、僕の肩をグイグイと押してくる。
「おまけにスタイル良いし。完璧美人だしなー機械音痴なのも可愛い所あるしなー」
「推し変ですか?しかも、彼氏の前で堂々と」
「違うって!乙宗の事を話してただけじゃねえか」
「聞かなかった事にしておくよ」
僕はそう言って、食事を続ける。
「サンキュ。んでだ」
朱鷺はまだ僕に言いたい事があるらしい。
何を話す事があるというのだ。
「まだ何かあるの?」
「スクールアイドルクラブの部長さんが居るから聞いておきたくてだな」
「絶対、本来の目的ってそれだったでしょ…」
朱鷺は、僕の耳元でそっと囁いてくる。
「クラブのメンバーから何個貰ったんだ?」
「めぐの一個だね」
「なんだと!?おめえ、藤島からチョコ貰ったのかよ」
「ふっ、スクールアイドルクラブの部長なもんで」
さっきドヤ顔で煽ってきたから、今度は煽り返す。
「くっ!これなら…俺だってスクールアイドルクラブに入っておけば良かった…」
「いや、最初会った時にこずからめっちゃ嫌われてたじゃん」
「そういや、なんで…嫌われたんだ俺…」
それに関しては、初対面で告白するからに決まってるじゃん…
あの頃のこず、僕以外の男子に対して、警戒心強かったからなぁ…
「それで、藤島のチョコはどうだった?」
「甘い物苦手だから、ビター風味にしてくれて美味しかったよ」
「俺はビターなのは苦手だから…って違う。藤島にさ、俺にチョコ渡すように言ってくれよ」
「いや…自分から言ったらいいじゃん。それに今朝のチョコで十分なんじゃ…」
「いいや、本人から直接欲しいね!」
何を隠そう。朱鷺は、めぐの事が好きなんだとか。まぁ…めぐは、僕の事が好きって言いまくってるけど。
「まぁ…僕から言う事はないから、自分で頑張って」
「それが出来ないから頼んでる…ってどこに行くんだよ」
「食べ終わったから、教室に戻るだけなんだけど…」
「絶対に藤島に言っておけよ」
どこまで拘るつもりなんだよ…そう思いながら僕は教室に戻った。
*******
-放課後-
「みく」
「つづ、どったの?」
「うん、これ」
つづはそう言って、箱を渡してきた。
「今朝、渡すの忘れてたから」
「あーね。でも、ありがとうね」
「うん。お返し期待してる」
「オッケー。お返し頑張って用意するよ」
僕がそう言うと、つづは手を振って去っていった。
つづと別れて、部室に行くと。こず一人だけだった。
「あれ?こずだけ?」
「ええ、花帆は遅れてるみたいだから」
「なるほどね」
僕はそう言いながら、こずの隣に座る。
「そういえば、今朝渡しそびれたのだけれど…」
こずはそう言って、装飾がされた箱を出してきた。
「バレンタインチョコ?」
「ええ、未来が好きそうな味にしておいたわ」
「流石だね」
「何年一緒に居ると思ってるの」
「今、食べてもいい?」
「ふふふ、良いわよ。むしろ今食べて欲しいわね」
こずから許可も貰ったので装飾を綺麗にほどいて、中に入ってるチョコを一つ摘まんで口の中に入れる。
「うん、美味しい」
ビターはビターでも、違うビターの味。
僕は、こっちの方が好きだな。流石こず。
「良かったわ、何気に緊張してたの」
「何を緊張する必要があるの」
「だって…去年は色々とあって渡せなかった訳でしょ?恋人になって渡すの初めてだった訳で…」
「こずも可愛い所があるなぁ~」
「もう//」
僕はこずの髪を優しく触る。
「もう、髪の毛崩れちゃったじゃないの」
「ごめん…こずの髪の触り心地が良くて、つい…」
「いいわ。久しぶりに私の髪の毛、説いてくれない?」
「うん、クシ貸して」
「うふふ」
そんな二人のやり取りを見ていた姿が部室の外にあった。
「入りにくい…」
「普段はあんまりイチャイチャしてないのに、二人きりになるとあそこまでなるんだ」
「みく先輩も梢先輩も可愛い」
一年生三人が二人のやり取りを温かく見守っていたのを、二人は知らない話。
朱鷺健(ときたける)の紹介
未来君達の同級生。
一年生から生徒会に入っていて、言動が変人のように見えるが頭はかなり良い。
沙知先輩に信用されており、次期生徒会長。
慈の事が大好きで、めぐ党の一人。
入学式で、梢に一目惚れし、告白するが玉砕する。そんな時に、慈を見て好きになったとかなんとか。
この作品ではあくまでモブキャラ。