強い想いで魔法少女が生まれる世界に現れてしまったモンスターTS転生ロリ   作:暁刀魚

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十二 様子がおかしい人

 あれからちょっと人に見せられない状態になったウイナを家まで運び、説明を行う。

 魔法少女とはなんぞや。

 私も知らない事があるかもしれないので、ウイナといっしょにアリス先生から講義を受けた。

 その間ウイナは、血走った目でノートに講義の内容を書き込んでいく。

 普段の授業もこれくらい真面目に受けてくれたらなぁ、と熱中していること以外にここまでの集中力を発揮できたらウイナじゃないよな……という思いが交錯する。

 

「へー、じゃあ翻訳魔法みたいな誰でも使える魔法は基礎魔法っていうのか」

「そうですね、有史以来様々な魔法少女が研究し、そして見つけてきた努力の賜物です」

「魔法少女は人類とずっと寄り添ってきたんだ。でも不思議なのはマスコットがいないことだよね、いや逆に昨今の魔法少女はどうしてマスコットが当り前になったんだろう。やっぱり制作にとって説明役って便利なのかな。逆に現実の魔法少女にマスコットが存在しないのは必要ないからだよね。誰かが人為的に作ったわけじゃなくて、そういう機能みたいなところがあるもんね」

「お、おう」

 

 ゴメン早口でちょっと聞き取れなかった。

 まぁウイナが楽しそうなら……いいか。

 

「ウイナ様は本当に魔法少女が好きですね」

「好き! お姉みたいで好き!」

「私みたいてなんだよ」

「ですが、現実の魔法少女は非常に危険を伴います。時に命の危機に晒されることだってあるのですよ? それでも、ウイナ様は魔法少女であることを望みますか?」

「大丈夫だよ! 皆守るから!」

 

 そんなアリスとウイナのやり取りを聞きながら考える。

 これがウイナの善性であり、危ういところでもあるだろう。

 魔法少女を”好き”という動機だけでやろうとすることも、人々を守ることが”当然”だと思っていることも。

 それは嫌な言い方をすれば傲慢だし、人によっては正しさから逸脱するところもあるだろう。

 でも、ウイナは譲らないのだ――絶対に。

 そして私がこれを聞かないのは、答えがわかりきってるからである。

 

「それにしても魔法少女かぁ……魔法少女、うへへ……」

「一応言っておくけど、人に話しちゃだめだからな」

「もーわかってるよ、こういう秘密を守るのは魔法少女のテッソクだもん!」

「本当に大丈夫でしょうか……」

「まぁ見てなって」

 

 不安そうなアリスに、そう返す。

 なにせ――

 

「お母さん、あのねあのね!」

「ウイナ?」

「あ、ごめん! な、なんでもないのー!」

 

 ――無理だから。

 一応、と念頭に置いたのは言っても意味ないと解っていたから。

 それからのウイナは、露骨に怪しかった。

 

「うへへ……うへへ……まほー、めほー……」

「おはよー、ウイちゃんコトちゃん! ウイちゃんどうしたの?」

「まほっ! な、なんでもないまほー! おはよー!」

「おはよう」

 

 語尾にまほがついたり、とか。

 

「じゃあここ、安城ウイナ、読み上げてくれ」

「まほうしょうじょ!」

 

 教師への返事がまほうしょうじょだったり、とか。

 それはもう、至る所でやらかしまくった。

 何も無いところで転びかけること、数回。

 授業で取り出す教科書を間違えること、毎回。

 家に帰ってからも、ドジを繰り返していた。

 

「ほ、本当に大丈夫なのですか、ひいさま! これではあまりにもウイナ様の行動が不審すぎます」

「まぁまぁ、大丈夫だって」

 

 翌日も、そのまた次の日もこんな調子で、アリスの不安は増幅していく。

 が、しかし――特に何か正体バレが発生したりとか、そういうことはなかった。

 

「んふふー、まほまほー」

「……本当になんともありませんね、母君もいつものことのように対応してますし」

「なにせ――いつものことだからな」

「……いつものこと」

「面白い魔法少女モノを見つけると、ウイナっていつもこうなるんだよ」

 

 というわけで、ウイナは普段から魔法少女に関すると様子がおかしくなるので、問題ないのであった。

 ちなみに、それから私たちは何度かウイナの魔法少女としての能力を試している。

 ウイナの宿題が終わったご褒美という体で試しているので、たまにできたりできなかったりしているが、ウイナの魔法に関してはなんとなく解ってきた。

 

「コール・ア・ライト!」

 

 昔から考えてきた呪文から、それらしい名前を選択してウイナが唱える。

 すると、やっぱり私と同じ姿をした光の人型が、その場に現れた。

 

「これ、私以外にできない?」

「多分無理……というかお姉じゃないのはありえないよ! あとやっぱりお姉やアリスちゃんも呪文考えない? 魔法に名前がないの寂しいよ!」

「え、いやぁ」

「そうですね……硝子の双剣……など如何でしょう」

「アリスちゃんが考えてくれたから最高のネーミング! お姉も考えてよぉー!」

「アリスは真面目に受け取らなくていいからな」

 

 なんてやり取りをしつつ、確認した能力はこうだ。

 まず、この光の私は複数生み出すことが出来るが、数が増えれば増えるほど能力が劣化していく。

 能力が強ければ、巨大化なんて芸当も可能だ。

 他にも、この光を憑依させるなんてこともできるらしい。

 私が憑依したウイナは身体能力が向上し、そのスペックはアリスにも劣らない……と言った感じ。

 

「遠距離攻撃がないのが残念ですね。いえ、これは私もそうなのですが」

「そこは……私が補うとか……」

「できます……?」

「お姉には無理だよ……」

 

 くっ……! クソエイムをバカにしやがって……!

 ウイナに魔法を披露する際に、盛大にはずしたのがいけなかった……動かない的への命中率は三割あるのに!

 

 

 ◯

 

 

 ――それからしばらくして、再び魔物の襲撃があった。

 今回は、先日の亀と違って高速で飛び回るタイプだ。

 プテラノドンの形をしている。

 魔物って動植物をもとにしているって聞いてたけど、そういうのでもいいんだ……

 まぁドラゴンとか出てきそうだしな……

 

 戦場は前回と同じく公園、わざわざ飛び回っているのを私が飛行で誘導して連れてきた。

 ここ、ひと目につかないし広くて戦いやすいんだよな。

 時刻は20時、ウイナがおねむの時間になる前なのは助かる。

 

「空の魔法陣、一発しか撃てないから魔物を盾にして対策されると全然意味なくなるんだよなぁ」

「えー、あんなかっこいいのに最強じゃないのもったいないよ、改良しよ!」

「私が改良したら手がつけられなくなりそうなのでやらないぞ。今ですらスパゲティみたいになってそうなんだから」

「……美味しそうでいいですね」

 

 みたいなやり取りをしながら、三人でプテラノドンの相手をする。

 こいつはとにかく速い、私じゃ絶対射撃は当てられないし、ウイナもまだまだ素人だから厳しい。

 アリスは応戦できるけど、飛んでるせいで中々やりにくそうだ。

 前回よりも対策が的確で、しかも私以外の二人も対策してきている。

 これがもっとやばくなっていったら、いよいよ魔法陣を改良した方がよさそうかなぁ。

 

「まてー!」

「空に逃げるとは卑怯な……!」

 

 ウイナはでかい私を召喚して、それで何とかプテラノドンを捕まえようとしている。

 しかし、でかい分動きが鈍重で、すばしっこい敵を捕まえられそうにない。

 アリスも、空の魔物を捕まえることは難しそうだ。

 

「つまり、私がなんとかするしかないってわけだなぁ」

 

 飛び回って、プテラノドンを私は追いかける。

 速度でいえば私のほうが、プテラノドンより圧倒的に速い。

 しかし速く飛びすぎると自身の操縦性が悪くなり、逆に向こうは常に最高速で縦横無尽に飛べるようだ。

 やりにくい。

 

「まぁとはいえ、この状況も悪いことばかりじゃない。外部の魔法少女がこっちを見つけてくれるかもしれないしな」

 

 魔法陣を展開してから二十日、一向に外部からの連絡はない。

 いくらなんでもそれは遅すぎる。

 こちとら、その間にウイナが覚醒したり、ウイナの魔法を試したりしてるのに。

 最近は夜にパトロールをしていないのが原因じゃないかと思って、夜にアリスと外を飛び回ったりもしているのだ。

 だというのに、来ない。

 なのでこうして、魔物とがっつり戦うことで外部の魔法少女を呼び出そうという魂胆である。

 

「……来ないな!」

 

 ――が、戦闘開始からそろそろ一時間が経過しようっていうのに、誰も来やしない。

 流石に誰かしら、街には来てると思うんだが。

 まぁでも、流石にこれ以上続けていても仕方がないな。

 というわけで、私はこのプテラノドンを始末しにかかる。

 

「しかしこの速度、どう攻略するのですかひいさま。あまり高威力で始末しようとするとウイナ様が吹き飛んでしまいます!」

「自分を勘定に入れろ!」

 

 むしろ吹き飛ばしてくれ、みたいな目をするな!

 無論、考えはある。

 

「まぁ見てなって」

 

 そう言いながら、私はある行動に出た。

 ()()()()()()()()のである。

 

「ひいさま!?」

「お姉!? 避けなきゃ危ないよ!?」

 

 対するプテラノドンは、そんな私を見て少し周囲を旋回した後、突っ込んでくる。

 速度を乗せて、私に噛みつこうというのだ。

 結果――

 

 

 私に直撃した途端、ぐしゃっと潰れて、そのまま消滅した。

 

 

「……」

「……」

「よし」

 

 さっきから思っていたんだが、プテラノドンはすべての攻撃を”回避”していたのだ。

 防御しようとは一切していなかった。

 それはプテラノドンの装甲があまり強くないから。

 もっと言えば、攻撃力もぶっちゃけそんなでもないんじゃね? と私は考えたのだ。

 さっきから何度かアリスと打ち合いをしていたけど、空中で力を込めれていないアリスとほぼ互角に見えたのである。

 結果、私は身体強化に魔力を回し、プテラノドンを受け止める選択を取った。

 まさか私が硬すぎたせいで、そのまま衝突して消えるとは思わなかったが……

 

「終わったし、ふたりとも帰るぞー」

「かしこまりました」

「……もうちょっとこう、戦い方とか工夫しない? お姉」

「え、やだよ面倒だし……勝てたんだからいいだろ……」

「やだやだやだ! お姉にはもっとスタイリッシュで、クールで、最強無敵じゃないとダメなの!」

「残念だったな、ウイナの姉はクソエイムで雑で最強無敵な魔法少女だよ」

「最後しかあってないいいいいい!」

 

 かくして、私たちは帰路につく。

 にしても外部の魔法少女、どこにいるんだろうな……ほんと。

 居ないわけではないと思うんだよな。

 だったら――()()()()()()()()()()()()()()かなぁ。




ひえっ
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