強い想いで魔法少女が生まれる世界に現れてしまったモンスターTS転生ロリ 作:暁刀魚
予言の魔法少女ミシェル。
それが今回の黒幕らしいことはわかった。
目的はとか、動機とか、アリスでも詳しいことはわからないらしい。
正確にいうと心当たりはあるんだけど、確証が足りないということだ。
唯一わかってることはただ一つ。
予言にあった最後のフレーズ、“魔法少女を終わらせる”。
これはおそらく、何一つ間違っていないということだけだ。
「問題はどうやって敵の拠点を見つけるか、なんだけど」
私は目の前の光景を眺めながら、こぼす。
それは私たちが考えた問題解決の方法。
どうやって拠点を見つけ出すのか、という問いに対する端的な解法だった。
『A班、それらしい拠点を発見しました!』
「あ、ありがとお、お、お疲れ……様!」
そこでは、スミカさんがマギホを片手にいろんな魔法少女とやり取りをしているところだった。
スミカさんの他にも何人かの魔法少女と元魔法少女が、通信越しの魔法少女とやりとりをしている。
これが何かといえばいたって単純。
敵拠点を見つけるための、冴えたやり方。
それが何かといえば、とても単純。
「
数でゴリ押すという選択だった。
というのも外部の魔法少女組織、正式名称は『魔法少女連盟』というそうなのだけど、この組織は今回の件を結構重く受け止めていたらしい。
んで、重く受け止めていたがためにいつでも魔法少女を動員できるようにしてたんだとか。
そこに予言の魔法少女の話が出てきて、ああやっぱりとなった連盟は即座に魔法少女を動員することができた。
結果、かなり迅速に拠点は見つかったらしい。
マギホがね、超便利なんだ。
通信だけじゃなく探知もできる。
電力を魔力に変換してるとかで、めちゃくちゃ金がかかるらしいけど。
多分今回の捜索で、多分億は吹き飛ぶらしいけど。
まあ、世界が滅ぶよりはましってことで。
「じゃ、じゃあ悪いんだけど……お願いしてもいいかな、コトちゃん」
「りょーかい」
そっからは私の出番だ。
本部で待機していた私が飛行魔法で現地に向かう。
そこで待っているのは、異界化し迷宮とかした空間。
この中に、
「そらあ!」
私はレーザーをしこたまぶち込んだ。
中を更地にするレベルで叩き込んだ。
跡形も残らず破壊するつもりで連射しまくった。
結果、中はうんともすんとも言わなくなったのである。
中に魔法少女や巻き込まれた一般人がいなければ、わざわざ迷宮を攻略する必要なんてない。
私が中を完全にぶち壊せば終わりである。
こうして、予言の魔法少女の拠点は木っ端微塵になったのでした。
ちゃんちゃん。
で、終わればいいんだけど流石にそんな都合よくことが運ぶはずもなく。
中から、私が叩き込んだ量に劣らない魔力が、すごい勢いで噴出した。
「お姉!」
「始まりましたか!」
そこに、ウイナとアリスちょっと遅れて到着。
二人は捜索班に加わっていたからな、私よりフットワークが重い。
それでも、今回集まった魔法少女の中で私とウイナとアリスが一番強いらしく、メイン戦力としてこの場に集合していた。
他にも拠点を発見した魔法少女達も現場にいて、結構な数の魔法少女が集まっていた。
そんな中、ついにそいつは姿を現す。
『やってくれたねえ』
拠点の奥深くから響くような声が聞こえてきた。
その声に、多くの魔法少女が息を呑む。
芯を震わせる、威圧に満ちた声だったからだ。
「……ミシェル!」
『アリス、久しぶりだねえ……くふふ、全然昔と変わってない』
ゆっくりと、声が近づいてくる。
私、ウイナ、そしてアリスが他の魔法少女を庇うように前に出た。
直後――
「ぐっ!」
「ウイナ!」
「体が……重い、魔力が……!」
「……なるほど!」
一体どこからこれほどの魔力を手に入れたのかは知らないが、やってることは私と同じだ。
魔法少女同士の魔力が干渉することを利用して、膨大な魔力でウイナ達を叩きのめした。
そして、ゆっくりとその少女は姿を現す。
「お出ましか……!」
『ほんと、変わってない。くふふ』
果たして、五百年前に伝説といわれた魔法少女、いったいどのような立ち振る舞いをするのだろう。
場の空気を魔力でもって一瞬にして制圧して見せた威圧感は本物だ。
であれば、その姿はいったいどのような――
『ざぁーこ♡』
……メスガキ!?
現れたのは、黒髪ツインテで真っ黒なワンピースのロリだった。
私よりは少し年上だけど、背丈はどっこいである。
おいおい、闇堕ちメスガキ魔法少女とか、現代の流行の最先端を行ってるな。
「……変わり、ませんね。ミシェル。その人を小馬鹿にしたような態度は500年経っても変わりませんか」
ヴィンテージ・メスガキ!?
500年ものかよ、熟成しまくってんな!
『そういうアリスちゃんは、地面に這いつくばっちゃってだっさーい。あとそこの脳内で一人ツッコミやってるおバカさんは、ちょっと黙ってくれる〜?』
「バカちゃうわい!」
いやいいだろ脳内ツッコミくらい!
ちょっとババアじゃんって思っただけだしいいだろ!
とにかく、だ。
「あんたがミシェルか。寝起きでそうそう悪いが、そのおっかない魔力を引っ込めてくれないか?」
『くふっ、ダメに決まってるじゃん!』
ですよね。
「というか、だ。予言の魔法少女だかなんだか知らないが、なんだってこんなことをする? 魔法少女を終わらせる、だったか」
『えっとねえ、そんなに変な話じゃないよお? 誰だってそうだったらいいなって、心のどこかでちょっとは思ってること』
「へえ、そりゃいったい?」
ミシェルは後手を組んで、ゆらりとツインテを揺らめかせる。
こちらを煽るような、そんな目線。
『
その言葉に、何人かの魔法少女が息を呑んだ。
ここにいる多くの魔法少女は、魔物と戦ったことがない。
だからミシェルの魔物と魔法少女を消し去るという言葉に対する実感は薄いだろう。
それでも、とんでもないことを言い出したと肌で感じているものがいるのは、教育カリキュラムの賜物か?
『この九年、魔物が存在しない世界はどうだった? ――とっても素敵だったでしょ? 女の子が命を懸ける必要のない、当たり前の世界。これが普通の世界なんだって、そう思わない? ――――コトちゃん』
「……そーだな」
実際、それは本当にそのとおりだ。
この世界は歪んでいる。
最初からそうだったからという理由で、十代の女子が命を賭けて戦う世界。
ふざけてるとは、思うよな。
ミシェルはそれを、私に問いかけてきた。
『コトちゃんなら、そうだねって言ってくれると思ったよぉ! くふふふふっ! アタシはねぇ、世界のためにこうして頑張ってるんだよ? これはとっても正しいことなの』
「……それで、魔物と魔法少女が消えると、どうなるってんだ?」
『…………くふっ。そうだよねぇ、まさか何の見返りもなく、魔物が消えるとは思わないよねぇ』
そもそも、本気で魔物が消せるなら、わざわざこそこそ隠れてやる必要もないんだよな。
何より――こいつは、魔物と魔法少女を消すってのも嘘では言ってないんだろうが――
『今いる魔物と魔法少女が、全部死んじゃうだけだよぉ』
――魔法少女に対する”恨み”も、強く抱いているのだから。
「だろうな」
『くふふ、全然驚かないねぇ』
「――眼が雄弁に語りすぎなんだよ。私たちを見る眼が、あまりに憎悪に満ちすぎてる」
『ふぅーん。さすが天眼の魔法少女ちゃん』
私は、ふわりと浮き上がる。
手をかざし、今まさに戦いを始めようと構える――
「
――その瞬間、アリスが私に待ったをかけた。
ちょっとまて、立ち上がろうとしてる!?
「アリス? いや、無茶するなって!」
「……先に、私にやらせていただけませんか」
『へぇ?』
「――友として、止められなかった者として、私はミシェルにかけなければならない言葉があるのです……!」
アリスは、剣を杖にゆっくりと立ち上がった。
無茶しすぎだろ……ああもう!
「負けそうになったら、私が止めに入る。それでもいいな!?」
「……申し訳在りません、ひいさま」
そうして、アリスはゆっくりと前に歩み寄った。
やばいな、私でもちょっとピリピリするくらい魔力が満ちてるってのに、アリスの根性は普通の魔法少女の比じゃないぞ。
流石に、それを止めるほど私もやぼじゃない。
『――ねぇ、アリス。アタシね、あんたに言わなきゃいけないことがあるの』
「なんでしょう、ミシェル」
そしてミシェルもまた、凶暴な笑みを浮かべて構えた。
その手には――二丁のマスケット銃。
『アタシ、アンタのことだいっっきらいなの!』
「知っていますよ、そんなこと!」
かくして、魔人ミシェルと魔法少女アリスの戦いが、始まった。
ヴィンテージ・メスガキとのバトル(前哨戦)です。