これはそんなサラミスに乗り込み、なんとか1年戦争を生き抜こうと奮闘する物語
サラミス型宇宙巡洋艦、という艦種を知っているだろうか。
多くの派生作品を産んだ初代機動戦士ガンダムのやられ役、というと言い方が悪いが新兵器として描かれたMSを引き立てるために活躍があまり描かれなかった連邦宇宙軍の巡洋艦だ。
名前を知らなくても多くの映像媒体で流れているのを見たことがある人もいるだろう。
突然だが、オレはその宇宙巡洋艦サラミスの艦長になってしまったらしい。
何を言っているのかと言われるかもしれないが、オレもよく分かっていない。
昨日、仕事終わりに閃光のハサウェイの劇場版を観終わってさぁ寝よう、としたら意識が薄れたことまでは思い出せたが、気付けば連邦士官服を着て艦長席に座っているとかいったい何事だ?
周囲ではノーマルスーツやら士官服やらを着た部下たち(そう、部下たち、だ!オレの部下?まだ20そこそこのおれの!?)
「艦長、艦長、どうなさいましたか?」
混乱していたオレに呼び掛けてくる人影、ハッとしてそちらを見れば副官兼務の副長オットー大尉の姿が見えた。
「あ、あっ、すまん。疲れからかぼうっとしてしまったようだ。大尉。すまないね。なにかな?」
そう、副長のオットー大尉、知っている。はじめて会うはずなのに彼がオレの副官兼務でバリバリのノンキャリながら巡洋艦の副長にまで登り詰めた切れ者であることをオレは知っている。
「連日の司令部からの呼び出しからの出撃です。お疲れなのも仕方ありませんよ。ジオンの奴ら、コロニー落としなんて暴挙に飽き足らず、次にはルウムも攻めようというんですから。索敵報告にも敵の情報はありませんでした。会敵までは時間がありと予想されます。少しお休みになられては?」
こちらを気遣い、声をかけてきた大尉に生返事をしつつ、オレは自分が何者なのかを思い出した。
そう、オレは宇宙世紀を生きる連邦軍士官、ウィリアムズ・コープ・ペール少佐。
この戦時改装を受けていない旧型サラミス型巡洋艦ミカサの艦長であり、レビル大将の旗下として今まさにあのルウム戦役に出撃しているのだ。
さっきまで、令和の日本で社畜生活をしてたはずなのに何の冗談か。おまけに日本人でなくなってるし。
(まさか、転生したってのか!?しかもガンダムのルウム戦役に!?どんな地獄だよ、これは!?てか、オレが艦長!?いや、どう考えたって無理だろ!!!)
これは地獄のガンダム世界に巡洋艦乗りとして転生してしまったオレが、必死に1年戦争を生き延びる物語だ。